「自然保護先進国」ブータンでのプロジェクト
2015/02/09
国土の半分以上が保護地域、という国があるのをご存知でしょうか。ヒマラヤ山脈の東部に位置するブータンです。
ブータンは九州ほどの面積を持つ、人口73万人ほどの国。
経済面のみに偏らない、国民の暮らしの豊かさを示す「国民総幸福度」で有名な国ですが、その幸福度を上げる要素のひとつとして自然環境が位置づけられ、自然保護の先進国としても、世界的にその素晴らしさが認められています。
北部の7,000メートルを超えるヒマラヤの高山帯から、南部の標高150メートルの亜熱帯まで、世界でも屈指の豊かな生物多様性が広がるブータンでは、 国土の実に52%が、国立公園などの保護区と、その保護区同士を結ぶ「緑の回廊(コリドー)」といった、法的な保護下にある地域に指定されています。
またアジアでも屈指の「森の国」であり、国の72%が森林におおわれています。
このブータンの現在の自然保護活動について今日、私たちの事務局で、担当スタッフから他の部署のスタッフ向けに、情報共有のための話をしてもらいました。
活動の現場は、ブータン南部と隣接するインドの北東部、「TraMCA(Transboundary Manas Conservation Area、国境を越えたマナス保全地域)」と呼ばれる国境地帯です。
ここでWWFジャパンはWWFブータンとの協力のもと、2012年から、皆さまからのご支援を得て、保護活動を展開。
2011年の第1回調査では14頭と推定されたベンガルトラが、2014年の第2回調査では25頭確認されるなど、その成果が一部ではあらわれ始めています。
ですが、自然保護に熱心なブータンでも、開発と保護のバランスに苦慮しているほか、治安が不安定でゲリラが横行するインド北東部の状況の強い影響を受けており、活動の現場は多くの困難に見舞われています。
TRAMCAでは、ジャパンからの支援によって、調査活動や密猟のパトロール、保護区のインフラ整備など、新たに始まった取り組みも少なくありません。
これからも継続した支援を行なってゆきたいと思います。