密猟から野生生物の未来を守るために
2015/03/10
つい先日、インドネシアのスマトラ島で、象牙の密猟者が警察に現行犯逮捕されたというニュースが飛び込んできました。
昨年10月には極東ロシアにおいて、ここ数年で最大規模のシベリアトラの骨の違法取引に関わった犯人が摘発されましたし、ネパールでは2014年2月までの12か月間、トラ・サイ・ゾウの密猟をゼロに抑えたと政府が発表しました。
このように、国際社会の密猟対策は確実に前進を見せていますが、それでもなかなかなくならない野生生物の密猟。
そもそも、絶滅のおそれが高いことから、狩猟が禁止されている生きものを、その法律に違反して捕獲してしまうのが「密猟」です。対象になる生きものは、ゾウやサイ、トラやオランウータン、カメなどさまざまです。
ゾウなら象牙が加工されて印鑑や彫刻品になったり、トラなら毛皮が装飾品になったり、骨が伝統薬やお酒の原料になったり。
絶滅の恐れのある生きものは、狩猟だけでなく、ワシントン条約によって、国際的な取引(輸出や輸入など)も規制されていますが、その希少価値に高値がついて、ブラックマーケットで取引されることもあります。
こうしたものは、おみやげ品として、ふつうのお店で売られていることもあるため、海外旅行に行ったとき、知らずに買ってしまう可能性もあります。
密猟は、希少な野生生物の将来をますます追いつめる問題です。
密猟を防ぐため、生息国では警察官や保護官が厳重にパトロールを行ったり、法律がしっかり遵守されるよう監視や取り締まりを強化したり、さらに外国との貿易窓口になる空港や港で密輸品を発見する取り組みが行なわれています。
そして、私たち消費者にも、できることがあります。こうした問題に関心を持ち、疑いのある商品は絶対に買わないこと。密猟をしても、売れるし儲かる、という状況がある限り、密猟もなくなることがありません。
かつて象牙の一大消費国だった日本。しかし、日本政府はその後、象牙の国際的な取引の禁止に同意し、国内での取引にも、厳しいルールを設けました。
こうした日本の経験を、現在、象牙や犀角の最終消費地となっているアジアの国々に還元していくことも、私たちができる国際貢献といえるでしょう。(広報室・増本)