苗木の種からつくるゾウの足跡
2017/06/26
日本の皆さんこんにちは!
WWFインドネシアのエディです。私の仕事は、スマトラ島の中央部にあるテッソ・ニロ国立公園の森林を再生させることです。
ここは、アジアゾウやサイチョウなど、多くの野生生物のすみかを守るため、2004年にWWFなどの働きかけで設立された国立公園です。
国立公園とはいえ、かつては製紙会社が伐採し、その後に造成した植林地や、不法に侵入した人が開拓した後、放置された土地などもあります。
私は2011年から周囲の村の人々の理解と協力のもと、こうした土地に在来種、つまり本来の自然の森で生育していた樹種を植え、森をよみがえらせる活動を続けてきました。
作業は、ハチやヒル、またかみ付いてくる軍隊アリにも負けず、在来種の種を森の中から探し出すところから始まります。
種を無事に採取し、苗床に移して発芽させ、十分な高さまで育てても、勝負はそこから。
まず植えた苗木は、すぐに周囲の草に覆われてしまうため、下草狩りが欠かせません。
また土が乾燥しないよう、土に適度に草をかぶせたり、苗木に添え木をしたりと、少なくとも3年はメンテナンスを行なう必要があるのです。
植林用キャンプに、マレーグマが出没することもありました。
手塩にかけた苗木がゾウに踏みつぶされてしまうことも。
でもこれは自然の営みです。
この森は、もともとゾウのすみかだったのですから。
私の夢は、木を植えてきた場所がゾウの足跡でいっぱいになること。
そのためにも、在来種の植林は欠かせない取り組みです。
私は今、この取り組みを、WWFジャパンのサポートで一緒にできていることを、嬉しく思っています。
森がよみがえるまでは、何十年とかかりますが、これからも続けてゆきます。(聞き取り、編成:自然保護室 伊藤)