ロシア産カニの新たなIUU(違法・無報告・無規制)リスクが 明らかに―オランダ経由の貿易に抜け道の可能性 6月22日はカニの日、新報告書発表


公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:末吉竹二郎、以下WWFジャパン)は、本日、中日新聞との共同調査報告書『日露二国間協定後のロシア産カニの流通の現状とIUUリスクについて』を発表し、オランダなどの第三国経由の流通が抜け穴となり、ロシア国内で多く流通しているような違法・無報告・無規制(IUU)漁業由来のカニが、日本やアメリカなどに輸出されている可能性を指摘しました。WWFジャパンは、世界のIUU漁業を撲滅するために、EUのように全魚種を流通適正化法の対象にし、一貫した方法で輸入管理を行なう必要性を訴えています。

【報告書の要旨】

  • ロシア産の冷凍カニの取引は、2014年の二国間協定制定後、オランダや韓国といった第3国を経由した複雑な中継貿易が増加
  • オランダ・ロシア間の冷凍カニの輸出入量の推移を右図に示した。ロシア側から見たときのオランダへの輸出量増加が著しく、2013年は2,328トンであった輸出量が2020年には15,885トンに急増。一方、オランダ側から見たときのロシアからのカニの輸入量はほとんど増加していない。これは、オランダに輸出されたカニののほとんどはオランダ国内には入らず、オランダの保税倉庫を経て、日本やアメリカなどの他国に輸出されているためであると推測される。
  • オランダ経由の場合、原産地証明書はオランダの商工会議所が発行し、ロシア政府の証明書よりも容易に取得できるため、「日ロ間の規制がきつくなった代わりに抜け道としてオランダが伸びた」という情報に加え、「中継貿易は合法だが、IUU漁業が入り込む余地は大きくなっている」との証言が得られた

WWFジャパン  自然保護室  海洋水産IUU漁業対策マネージャー、水産資源管理マネージャー
植松 周平(本報告書執筆者の一人)

世界有数の水産物消費大国の日本は、その約半分を輸入に頼っており、そのうちの約3割がIUU漁業由来であると推定されています。また、IUU漁業由来の水産物は、一般的に不当に安価に取引されるため、それら水産物が日本に輸入されることにより、真っ当に操業している日本の漁業者に多大な損害を与えています。日本でもカニは大変人気のある水産物ですが、その多くを占めるロシア産カニには、依然としてIUUリスクが存在することが本調査によって明らかとなりました。今後も美味しいカニを食べられる未来のため、そして日本の食を支えるカニ漁業者を守るためにも、WWFは、引き続き流通適正化法の強化にむけた働きかけを続けていきます。

背景

世界のIUU漁業による漁獲量は1,100~2,600万トン(日本の漁獲量の約3~6倍)と試算されており、IUU漁業対策は、その規模の大きさから、国連、G7、G20 、地域漁業管理機関(RFMO)など、多くの国際機関での重要課題に位置づけられています。また、IUU漁業リスクの高い魚種の一つがカニであり、その中でもロシア産カニのリスクが高いと言われています。WWFジャパンが2014年10月に発表したロシア産カニの貿易フローに関する調査でも、国に報告された漁獲量を上回る量のカニが流通していたことが判明。IUU漁業やカニの密輸の実態が明らかになりました※。
2014年12月、ロシア産カニの主要な輸入国である日本は、ロシアからのカニの密輸を防止する目的で日露二国間協定を締結。カニの原産国であるロシアの証明書がなければ、カニを輸入することができなくなり、この協定によって密輸を防ぎ、IUU漁業由来の水産物の流通を減らすことが期待されていました。

※参考:WWF記事「漁獲量を上回るカニが流通?ロシアのカニ密漁の現状」(2015年6月)

本日公開した報告書

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