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ウエビナー開催報告:企業が知っておきたい国連による「ネットゼロの定義提案書」(COP27で発表) ~業界団体のロビー活動やクレジットにご注意~

この記事のポイント
2050年ネットゼロが世界共通の目標になったことを受け、企業や自治体など非国家アクターのネットゼロ宣言が相次いでいます。しかし、その内容は千差万別であるため、削減行動の指針が求められていました。国連では、グテーレス事務総長自らが専門家グループを設立。COP27で「ネットゼロの定義提言書」を発表しました。WWFジャパンは、専門家グループに参加したJCLP共同代表の三宅香氏をお迎えし、提案書の内容と日本企業への影響について解説するセミナーを開催しました。その概要と資料をご報告いたします。

セミナーの目的

2022年11月にエジプトで開催された気候変動に関する国連会議COP27において、国連のグテーレス事務総長がリードを取った「非国家アクターによるネットゼロ排出宣言に関するハイレベル専門家グループ」によって「ネットゼロ」の提言書が発表されました。ネットゼロを約束する国の目標が世界の温室効果ガスの80%以上を占める現在、様々な企業や自治体もまたネットゼロ目標を標ぼうしていますが、その内容は玉石混交で、グリーンウオッシング(見せかけの環境対策)も少なくないと言われます。安易なネットゼロ宣言は、本来の目的である1.5℃目標の達成を妨げかねないため、真のネットゼロにつながる世界共通の基準が必要ということで、いわば国連によるお墨付きのネットゼロの定義が出されたことになります。

この基準は特に世界の機関投資家による企業に対する評価に大きく影響を与えることになります。ネットゼロの定義が定まると、その脱炭素へ向かう移行(トランジション)の経路もおのずと決まり、特に日本企業に関心の高いトランジションファイナンスにも影響を及ぼします。

報告書は10の大きな提言からなりますが、日本企業には厳しい内容もあります。たとえば「ネットゼロに向かう科学に沿った削減目標を5年ごとなどの短期、中期、長期に出すこと」「自社のみならず業界団体を通じても、政府などの野心的な温暖化政策に反対してはならず、そうした政策を推進するよう働きかけること」「自社の削減目標達成にカーボンクレジットを利用することはできない。ただし高品質クレジットに限って自社のバリューチェーン外で利用してもよい」などです。

このハイレベル専門家グループに、日本から唯一委員として参加されたJCLP共同代表の三宅香氏をお迎えして、その内容と日本企業への影響についてお話を伺いました。またWWFジャパンの小西雅子から、COP27におけるパリ協定6条(市場メカニズム)の議論からのカーボンクレジット市場への示唆、さらにハイレベル会合の提言書と呼応しているSBTi(パリ協定の目標に向かって科学に沿った目標を企業が設定する国際イニシアティブ)の考え方をお伝えしました。こういった世界の潮流を知ることは、日本企業が2023年にどのような取り組みを進めるべきかを考える上で重要な知見となりますので、その内容をご紹介します。

プログラム

司会 WWFジャパン 田中健

1)解説 国連ハイレベル専門家グループによるネットゼロ提言書
 三井住友信託銀行ESGソリューション企画推進部主管 三宅香氏
 JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)共同代表

2)解説 COP27パリ協定6条からの示唆とSBTiの考え方
 WWFジャパン専門ディレクター(環境・エネルギー) 小西雅子

3)対談 日本企業への影響 三宅香氏・小西雅子

各講演の概要

解説 国連ハイレベル専門家グループによるネットゼロ提言書

三井住友信託銀行ESGソリューション企画推進部主管 三宅香氏

国連ハイレベル専門家グループ設立の目的

昨今、企業・投資家・自治体などの非国家アクターによる2050年ネットゼロ宣言が加速度的に進んでいます。しかし、その宣言の内容にはばらつきがあり、グリーンウオッシングと見られるものもあります。
そこで、2021年のCOP26で、真の排出削減を実現するためにより強固なネットゼロ基準を設定する必要が認識され、グテーレス国連事務総長のリードで、「国連ハイレベル専門家グループ」(HLEG)が設立されました。このグループには人種、国籍、バックグラウンドなど多様性に富んだメンバーが招集され、次の4点について議論するよう要請されました。

1 非国家アクターによるネットゼロ目標の基準と定義
2 ネットゼロ目標に対する、客観的な測定および報告のあり方
3 ネットゼロ宣言に対する検証のあり方
4 これらの基準を国内外の規制に展開するためのロードマップ

提言策定のプロセス

提言の策定は2022年4月にスタートし、①外部ヒアリング、②ディスカッション、③地域別ヒアリング、④パブリックコメントの4つのプロセスで進められました。

外部ヒアリングの一例としては、公正な移行が重要なテーマであることから労働組合や企業のグローバル組織はもちろん、自治体の代表、グリーンピースやオックスファムなどの国際環境NGO、SBTiやRace to Zeroのような科学に整合した気候変動対策の国際的なイニシアチブ、国際的な金融界のネットワークであるGFANZなど、実に多様なセクターの方々と、1〜2週間に1回の割合で、主にオンラインによるヒアリングを重ねました。
また、できるだけ多くの方々にリーチアウトしてほしいという要請を受けて、地域別ヒアリングも行いました。たとえば日本ではJCLPが主催し、2022年8月に説明を行っています。それらの情報を基に専門家グループで議論し、次の5原則を提言書としてまとめました。

ネットゼロの5原則と10提言

1 世界全体で2050年までにネットゼロを達成するための野心的な短期・中期的な排出目標が必須
2 コミットメントだけでは不十分。言行一致すべし
3 徹底的な透明性の追求。計画・進捗状況に関する非競争分野の比較可能なデータを共有すべし
4 計画を科学に基づき作成し、第三者認証を得ることで信頼性を確立すべし
5 すべての行動において公平性と正義を示すべし

さらに、この5原則に基づいて、以下の10項目の提言を出しました。

1 ネットゼロ宣言の発表
2 ネットゼロ目標の設定
3 ボランタリークレジットの活用
4 移行計画の策定
5 化石燃料の段階的廃止と再生可能エネルギーの拡大
6 ロビイングとアドボカシー
7 公正な移行における人々と自然
8 透明性と説明責任の向上
9 公正な移行への投資
10 規制導入に向けた加速

日本企業にとっての注目点とは
このうち、日本企業にとって注意が必要な内容をご紹介していきます。

・ネットゼロ宣言の発表
まず、ネットゼロ宣言はリーダー、トップの名義でなされるべきということです。

・ネットゼロ目標の設定
次に、ネットゼロ宣言から1年以内に5年ごとの目標(2025年、2030年、2035年)を設定してほしいと書いています。2030年目標は当然ですが、それを実現するための2025年の目標値も求められます。
その目標はスコープ1〜3まですべてをカバーすること、また多国籍で事業をしている企業は、自国だけでなく、すべての国の排出量を把握し、目標に入れる必要があります。

・ボランタリーカーボンクレジットの活用
クレジットについて関心のある企業が多いと思いますが、今回の提言では、短中期の目標では計上すべきでないと明記されています。
クレジットの購入に投じる資金があるのなら、自社バリューチェーンのスコープ1・2の設備投資をするなど、まずは自社バリューチェーンの実排出量の削減に優先的に資金を使うべきであるというメッセージと受け取っていただければと思います。1.5度目標を実現するためには、2030年までにどれだけ排出量を削減できるかが喫緊の課題ですので、まずその課題に取り組むべきだということです。

・化石燃料の段階的廃止と再生可能エネルギーの拡大
化石燃料や再生可能エネルギーについては、事業会社、金融機関、地方自治体それぞれが、石炭、石油・ガス、再エネというエネルギー種ごとにどう向き合うべきかが詳細に明記されています。
IPCCの報告書にも、IEAの報告書にも、科学的な見地からも石炭は不要であり、排出量を考えると石炭はもう使うべきではないと書かれていますので、その内容を踏まれた文言になっています。エネルギーは非常に大切なので、真剣に考えてほしいというグテーレス事務総長の思いが強く現れた項目になっています。

・ロビイングとアドボカシー
日本ではそれほどロビー活動が意識されることはありませんが、世界では非常に厳しい目が向けられています。企業として気候変動対策を後退させるネガティブなロビー活動をしないことは当然ですが、気候変動対策を推進するポジティブなロビー活動をもっと積極的に行うべきだとも書いています。
日本企業は政府に対して強く発信をすることはありませんが、世界では政府に対して気候変動を推進する政策を働きかけることも企業の責務とみなされているので、日本の企業もぜひ立ち上がってほしいと言われております。

・規制導入に向けた加速
この10項目の提言が直接、企業、個社に対して影響を与える、拘束力があるということはありません。何に影響するかといえば、まずはRace to ZeroやSBTi、GFANZなどのイニシアチブが、この基準に照らし合わせてレベルアップしていくことが求められます。次いで、それぞれのイニシアチブに参加する各企業が取り組んでいくことになっていくと思います。

この提言書が出た後はどうなるのかという質問をよく受けます。これに対してグテーレス事務総長は、提言はあくまでも先頭集団を走る企業や自治体などの非国家アクターの「目線合わせ」として非常に有効だけれども、ボランタリーな提言にすぎないので、イニシアチブに参加していない非国家アクターのボトムアップするための規制を導入する必要があり、次はネットゼロ規制のタスクフォースをつくりたい、先頭集団を走る非国家アクターの目線合わせと、全体の底上げのための規制の両方に取り組まなければ気候変動問題は解決できないとおっしゃっていました 
 
難しい内容が並んでいますが、提言書の基本は一貫して科学に基づくこと、1.5度目標をめざさなければならないことに尽きると思います。

資料:https://www.wwf.or.jp/activities/data/20230127climate01_miyake.pdf

参考:国連「非国家主体のネットゼロ宣言に関するハイレベル専門家グループ」の提言(日本語版)https://japan-clp.jp/archives/13066(外部リンク)

国連ネットゼロ提言書10の提言
©WWFジャパン

国連ネットゼロ提言書10の提言 ©WWFジャパン

解説 COP27パリ協定6条からの示唆とSBTiの考え方

WWFジャパン専門ディレクター(環境・エネルギー) 小西雅子

パリ協定の制定以来、脱炭素に取り組むことはあたりまえになりました。これからはそれが真の削減行動なのか、それとも見せかけの環境配慮、グリーンウオッシュなのかを見極めることが重要になってきます。
そこで、COP内で締約国が従う国際ルールを決めるパリ協定6条の交渉と、COP外で非国家アクターが自主的に取り組む基準として国連が発表したネットゼロの定義についてご紹介いたします。なぜこの提言書が関心を集めているかといえば、ネットゼロの定義が決まると、おのずとそこに至るトランジションが決まり、ファイナンスが行われることになるからです。

SBTiの基準から見るネットゼロ

国連のネットゼロ提言書を解説するにあたって、パリ協定と科学的に整合した削減目標の策定を認証する国際イニシアチブ、SBTiの基準を紹介します。
SBTiでは、「緩和のヒエラルキー」と呼ぶ優先順位に従って、①1.5度目標に整合する目標を設定し、②エネルギー消費を削減し、③脱・低炭素エネルギーに代替することによってまず自社の排出削減を進めることが最重要とされ、自社の削減目標の達成にクレジットを使用することは認めていません。

カーボンクレジット多用の課題

近年、減目標達成の安易な手法としてカーボンクレジットが注目され、特に森林由来のクレジットが多用されるようになりました。しかし、安易なオフセットは、グリーンウオッシュとして非難される可能性が高くなります。
特に、カーボンニュートラルを宣言し、現在の技術では困難な部分をクレジットでオフセットしようとすると、大量に購入しなければならないため、安価なクレジットを購入しようという動機が強まり、真の削減につながらないクレジットを購入するケースが増えています。とりわけ熱帯雨林などの森林減少由来のクレジットは、古いクレジットが出回っているうえに、過大に発行される傾向があり、公的認証の理論も途上にあるなど問題点が多いため、オフセットに利用しても評価されません。 

まだ排出枠取引市場(コンプライアンス市場)がない日本では、民間クレジットの自主的な運用が中心になっていますが、真に効果のあるクレジットを見極めることは簡単ではありません。クレジットの質を評価する認証機関も玉石混交であり、ボランタリークレジットの品質を保つイニシアチブが立ち上がったものの議論はまだ途上にあります。

カーボンクレジットの本来の目的

そこで、カーボンクレジットの本来の目的から考えることが必要になります。

カーボンクレジットのそもそもの目的は、2030年に約50%の削減を実現すること。2030年までに排出量を半減させることは、現在ある技術で可能であることが科学的にわかっていますので、まずは現在ある技術で自社の削減努力をすることが最優先すべきです。

カーボンクレジットの取引はあくまでも補助的なものにすぎず、地球規模での削減につながるならば使ってもいい、削減につながらないならばむしろ削減努力の害になるので取引をしないほうがいいということになります。

COP27におけるパリ協定6条からの示唆

次に、カーボンクレジットの国際ルールとなるパリ協定6条のメカニズムを参考にするため、COP27における6条の議論からの示唆を紹介していきます。
6条の主なルールはCOP26で決まりましたので、COP27では粛々と詳細なルールを決める交渉が行われました。しかし、まだ議論途上のルールが多く、決定までには時間がかかることが予想されます。

決定したルールには、相当調整しないクレジットは自国のNDC達成にのみ使用可能であり、国外や国際緩和目的に使用することはできないことがあります。

また、森林減少防止などカーボンアボイダンス(防止系クレジット)の議論はあっさり先送りされました。国際法では、難しいテーマの議論は先送りすることによって事実上、実施しない傾向があります。このクレジットには非常に反対が多いので、6条に認められるかどうかは疑問です。

もうひとつ、カーボンリムーバル(除去系クレジット)についても、先送りされました。除去系クレジットには、DAC(ダイレクトエアキャプチャー:大気中から直接CO2を除去する技術)やBECCS(CCS付きバイオエネルギー)などの技術ベースのクレジットと、植林などの自然ベースのクレジットがあります。このうち技術ベースのものについては、監査委員会からCOP27に出されていた提言があっさり差し戻され、各国の意見を反映した再提言をCOP28に提出することになりました。このクレジットに関しても、EUとスイスをはじめ反対が多いため、認められることは難しい状況です。

GXリーグに見るクレジット

ところで、政府が発表したGXリーグによれば、2026年から排出量取引制度が始まります。この中では、企業が自主的に設定した目標を達成できなかった場合、超過削減枠や適格カーボンクレジットの調達によって目標達成することが認められています。クレジットの種類としては、省エネや森林保全などのJクレジット、日本企業が海外で削減したJCMクレジットが例示されています。
また、GX実行会議では、CCSのクレジット化、農林漁業における農地・森林・ブルーカーボンなど自然系クレジットも検討しています。
そのため、クレジットを利用して自社の削減目標を達成することは公的に認められるということになります。

しかし、国際的な潮流では、長期目標と短期目標の達成は明確に分けており、長期のネットゼロのためのDACなどへの投資は必要としながら、2030年目標という短期のネットゼロ目標の実現にクレジットを利用することは評価されません。

貢献アプローチは奨励

けれども、クレジットを購入してはならないということではありません。たとえばSBTiでは、自社の目標達成の手段として使ってはなりませんが、高品質なクレジットに限っては購入を認めています。2030年に向かっての短中期目標は自らの削減努力で果たすことが前提ですが、たとえば残りの排出量に自社内で決めたカーボンプライスをかけて、その分を高品質なクレジットの購入に充てるなどは奨励されています。これらのクレジットは自社の削減目標のオフセットに使うのではなく、「貢献」として扱います。
いずれ2050年に向かっては、産業によって異なりますが、約90%以上の排出量を自社のバリューチェーン内で削減することが求められます。しかしそれでもどうしても残ってしまう残り10%程度の残余排出量に対しては、大気中からCO2を除去するようなDACなどの革新的技術が必要となります。その時のために、今からDACなどの技術開発や持続可能な森林保全に対して開発投資をしていく事は重要なので、それらについての資金を供与することは「貢献アプローチ」として奨励されているのです。

ロビー活動の言行一致

最後に、ロビーについても重要です。どの企業も自社が脱炭素に取り組んでいることを宣伝していますが、政府の野心的な政策に反対しても、あるいは所属する業界団体が反対しても、言行不一致とみなされます。この点について、日本と世界では認識が違いますので、注意する必要があります。

資料:https://www.wwf.or.jp/activities/data/20230127climate02_konishi.pdf

国連ネットゼロ提言書からの重要な指針
©WWFジャパン

国連ネットゼロ提言書からの重要な指針 ©WWFジャパン

対談 日本企業への影響 三宅香氏・小西雅子

小西:今日は、国連のハイレベル専門家グループに日本からご参加なさった貴重な経験を踏まえて、裏話も含めてお伺いできればと思います。まず、非常に多様なバックグラウンドをもつ方々全員が納得する骨子は何だったのでしょうか。

三宅:講演の中で意識して何度も言葉にしたように、1.5度目標を守ることです。科学は1.5度目標を死守するためにあとどれだけ温室効果ガスを出していいのか、何年までに何をしなければならないかを明確に示しています。その科学に基づいた提言を出すという一点に尽きると思います。

小西:クレジットについては、SBTiは短期目標の達成に使ってはならないと明確にしていますが、国連の提言でも明記されましたね。

三宅:クレジットについては、グループの中でもさまざまな意見がありました。しかし、一定量をオフセットするとした場合、その一定量はいくらなのか明記しなければならなくなるので、原理原則を優先すべきだという結論に至りました。
また、提言書にトランスペアレンシー―−−包み隠さないという言葉が何度も出てくるように、クレジットの存在を否定しない、買うことも否定しないけれども、どんなクレジットでどれだけを相殺したことがわかるようにしなければならないと書かれています。

小西:オフセットしていることを開示していても、どのクレジットをどれだけ使ったかは開示していないために、グリーンウオッシュと叩かれる可能性があるので、トラッキング可能なかたちでの公開が重要になるということですね。
また、ロビー活動についても、自社の方針と政府への働きかけ、所属する業界団体の主張を一致させるべきだと踏み込んでいますね。

三宅:日本ではあまり聞かれない概念ですが、欧米では非常に問題視されており、日本企業が裏でネガティブなロビー活動をすることに対して厳しい目が向けられていることは事実です。ネガティブなロビー活動をしないことは当然ですが、ポジティブなロビー活動をなぜしないのか、もっとやってほしいとも言われました。気候変動問題は非国家アクターの存在なくして解決できないので、企業も自治体も政府や所属する業界団体に対してロビー活動をする責任があるし、すべきだと考えられていることを強く感じました。

小西:提言書の最後の10番目には、全体の底上げも必要なので、規制を入れるよう政府にロビーすべきだということまで書いていますね。

三宅:規制をかけるだけでなく、政府がもっと積極的なエネルギー政策を打ち出すべきであり、そのためにはどんなルールにすればいいのか、企業や自治体が参加しやすくするにはどうしたらいいのかといった意見もロビー活動の中で伝えるべきだということです。

小西:グテーレス事務総長は、次のステップをお考えなんですね。

三宅:グテーレスさんは、ボランタリーなイニシアチブだけでは解決できない、規制とのカップリングの両方がそろってはじめて解決できるとお考えです。そのため、世界の国々に対してどういう規制の方策があって、どんなふうに規制すべきなのかガイドラインをまとめるタスクフォースをつくり、次の提言をまとめたいとおっしゃっていました。

小西:次の注目点はそこですね。日本にも、2030年までに再エネ50%は可能だとするJCLPや、2030年までに40%〜50%は可能だと主張するJCIのような業界団体もあるので、そういった団体に所属することもひとつの手ですね。

三宅:おっしゃるとおりです。1社だけでは難しいので、そういう団体に参加していっしょに考える、意見を表明することは非常に大切だと思います。

小西:それがグリーンウオッシュというレピュテーションリスクを避ける方策かもしれませんね。

三宅:そうですね。グリーンウォッシュとされる理由のひとつは、よかれと思ってやったことが実は違うということも含めて、知らないことだと思いますので、そういう団体でいっしょに研究していくことは大切だと思います。

小西:ありがとうございました。

©WWFジャパン

開催概要

日時:2023年1月25日(月)13:30 ~ 15:00
場所:Zoom オンラインウェビナー
対象者:ご関心のある一般の方々
参加費:無料
参加者数:543名

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