食品などが及ぼす環境影響を追跡可能に 新たなブロックチェーン・プラットフォーム
2019/01/23
ブロックチェーンを利用したプラットフォーム
オーストラリアで導入されたこのOpenSCは、食品からティッシュペーパーに至る日用品に、RFID等のデジタルタグを付けることで、商品の原産地から市場までの流れがつながるブロックチェーン・プラットフォームです。
消費者や企業はスマートフォンのカメラ等でその食品や日用品につけられたQRコードをスキャンすると、その製品がいつ、どこで、どのように獲られ、生産されたのか、どのような環境認証が付いているかなど、さまざまな情報を手に入れることが可能となります。
またブロックチェーンを活用することにより、製品が流通する過程や距離、ルートなどを記録できるとともに、保管温度等の情報も追加できます。何より、こうして蓄積されたデータは改ざん不可能となることで高い信頼性を確保しているのが、非常に大きな特徴です。
これにより消費者は、生産過程で生物多様性や地域社会に悪影響を及ぼしている製品を排除し、世界の自然環境や資源の保全に貢献することができます。また企業も、自社製品の生産や流通についての情報を明らかにできます。
このOpenSCは、既に太平洋でWWFがマグロについて導入したブロックチェーンのプラットフォームに続くものとして誕生しました。
環境保全活動の一環として、さまざまな製品への環境配慮と、生産と流通の透明化に取り組んできたWWFと、BCGデジタル・ベンチャーズのブロックチェーンに関する知見を一つにすることにより、今回実現に至りました。
期待される運用と適用製品の拡大
OpenSCは、既存の生産・流通システム(サプライチェーン)やMSCのような環境認証システムをはじめ、他のブロックチェーンをベースとしたプラットフォームとも互換性を持てるようにデザインされています。
その発表にあたり、BCGデジタル・ベンチャーズのディレクターでワールド・エコノミック・フォーラムの「将来の消費」評議会の共同議長をつとめるポール・フニヨル氏はこう述べています。
「OpenSCは環境面において持続可能で、社会面では倫理的な事業を約束するビジネスに、素晴らしい解決策を提供するものです。OpenSCはまた、商品の生産地を明らかにするだけでなく、そのサプライチェーン全体を最適化し、コストの低減や、生産者のリコールへの対応等にも役立ちます」
また、この取り組みを共に推進してきたWWFオーストラリアのダーモット・オゴーマン事務局長は、
「OpenSCにより、消費者、企業、政府は、食品や日用品を購入するにあたり、原料となる生物の生息環境や、野生生物種への影響の低減、また生産者の人権保障を確かなものにする、より多くの情報を利用し、選択することが可能になります。その意味で、革新的な試みです」
と述べ、今後のプラットフォームの運用とそれによる環境・社会への貢献拡大への期待を表明しました。