2020年以降の新枠組みへ動き出した国々:ボン会議報告会を開催
2014/07/11
2014年7月2日、地球温暖化の防止に取り組む環境NGOのネットワーク「CAN-Japan(キャン・ジャパン)」は、6月に開催された「国連気候変動ボン会議」に関する報告会を、東京の日比谷図書文化館で実施しました。テーマは「世界は2020年以降の新枠組み合意に向けて動いている-温暖化がもたらすビジネスチャンスとリスクを考える」です。WWFジャパンも、CAN-Japanの一員として出席。また、WWFジャパンの評議員であり、国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問でもある末吉竹二郎氏による特別講演も行なわれました。
2度未満に向けて、世界はどう動き出したのか
2014年4月までに三分冊のすべてが出そろった国連の温暖化の科学に関する最新報告「IPCC第5次評価報告書」は、このままでは世界平均気温が 100年後に4度上昇すると指摘しています。
4度もの気温上昇が起これば、人間の暮らしにも、自然環境にも、未曾有のリスクをもたらします。
少しでも危機的な状況を回避するためには、気温上昇を2度未満に抑えなければなりません。
そのために今、世界の国々は、温暖化防止の「新しい枠組み」に向けた動きを見せ始めています。
先進国も途上国も、すべてが参加することをめざす「新しい枠組み」は、2015年末に合意される予定となっているため、2014年から2015年が交渉の正念場です。
そのステップの一つが、先月(2014年6月)にドイツのボンで開催された気候変動に関する国連の補助機関会合(SB40,ADP2.5)です。
そこで、この会議に参加したNGOのメンバーが、国際交渉の実際と、今後の温暖化対策の重要なポイントについて、報告を行ないました。
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動き出した世界と、動きの見えない日本
各NGOによる報告は、世界の国々が、さまざまな角度から、少しずつではあるものの、2020年以降の新しい枠組みづくりへ動き始めていることを示しました。
一方で、一律に懸念の声が上がったのは、その流れに日本がどのようにコミットしていくのか、その動きが見えないことです。
特別講演を行なった末吉竹二郎さんのお話も、日本の温暖化対策がいかに消極的かを浮き彫りにするものでした。
世界経済という視点から温暖化の問題を見つめ続けてきた末吉さんは、今の日本が温室効果ガスの削減に対して抱く後ろ向きなイメージや、再生可能エネルギーの導入に対する躊躇は、国際社会の一員として責任を放棄しているだけでなく、みすみすビジネスチャンスを失っていることでもあると指摘します。
それは、日本への叱咤でもあり、考え方を変えることさえできれば、さまざまなチャンスをつかむことができるという激励でもありました。
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2015年末の「新しい枠組み」の合意に向けて、国際交渉の舞台は今後、2014年9月に予定されている国連気候サミット、10月に予定されている再びのボン会議、そして12月のCOP20(ペルーのリマで開催予定)へと続いていきます。
WWFジャパンをはじめ、日本のNGOは、世界の動向を追いつつ、日本政府に向けて、2015年3月までに世界の地球温暖化防止に十分に寄与できる目標を決めるよう、働きかけを続けていきます。
関連情報
セミナー開催概要
国連気候変動ボン会議(SB40/ADP2-5)報告会
日時 | 2014年7月2日(水) 14:00~16:30 |
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内容 | ▽ボン会議参加NGOメンバーによる報告 1.ボン会議参加NGOメンバーによる報告 ●「地球温暖化の最新科学と、これまでの国際交渉」 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA) 土田道代 ●「ボン会議(ADP)の結果と今後の交渉の見通し」 WWFジャパン 小西雅子 ●「気候資金~"緑の気候基金"最新動向~」 FoE Japan 小野寺ゆうり ●「2020年に向けた土地利用~森林減少・農業等~」 CIジャパン 山下加夏 ●「国際社会が求めている日本の温暖化対策」 気候ネットワーク/CAN-Japan 伊与田昌慶 動画はこちら 2.特別講演 |
場所 | 日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール (東京都千代田区日比谷公園1番4号) |
参加費 | 1,000円(学生・共催団体の会員500円) |
主催 | Climate Action Network (CAN-Japan) |
共催 | WWFジャパン、気候ネットワーク、FoE Japan、オックスファム・ジャパン、コンサベーション・インターナショナル・ジャパン、グリーンピース・ジャパン、地 球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)、環境エネルギー政策研究所 (ISEP)、レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表部(RAN)、 「環境・持続社会」研究センター(JACSES) |
備考 | 本イベントは、平成26年度独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されました。 |