【Panda Shop story】ユキヒョウの小さなマグカップが大きな支援の輪に
2011/02/07
WWFジャパンの通信販売「パンダショップ」。どうすればもっと多くの人に、モノを通じて環境問題や自然保護活動に関心を持ってもらえるのか?WWFのメッセージを伝えるための商品企画は、常に仮説と試行錯誤の連続です。奮闘するスタッフたちの舞台裏を紹介します。
パトロールができない!車両故障で困り果てるモンゴル
「モンゴルが困ってるんだけど、パンダショップで何とかできないかなぁ…」
パトロール用の車両が故障して密猟の監視活動ができずに困っている… WWFモンゴルの窮状がWWFジャパンの事務局に届けられたその時から、モンゴルに代替車両の購入資金を支援するための商品企画は始まりました。
密猟によって命を落とす希少な野生動物を守るために、WWFモンゴルはかねてから密猟監視活動に注力してきました。
2008年に結成されたパトロール隊「Irves(モンゴル語で「ユキヒョウ」の意)」は、密猟対策に成果をあげていたにもかかわらず、翌年、頼みの綱とするパトロール用の車が壊れてしまい、秋以降、監視活動が中断してしまったのです。
何せ、そのフィールドは、中央アジアの広大な草原と山岳地帯。気候も厳しく、激しい寒暖差、乾燥と砂塵の舞い上がる環境です。そんな国のモンゴルで、車両なしの野外活動はまったく考えられません。
しかし、いつになっても資金集めの目途がまったく立ちません。困り果てているモンゴルを見かねての冒頭の一言でした。
大好評!ユキヒョウを救うためのマグカップ
支援を必要としていた、パトロール隊の名前はモンゴル語で「ユキヒョウ」隊。
そこでパンダショップでは、今も密猟の標的となって生息数が減っているユキヒョウをシンボルに掲げ、車両購入資金を集める商品を企画することにしました。
「何を作るか?」いくつか候補があがった中で、実用性があって価格的に買いやすく、自分用、贈り物用どちらにも需要の見込める品は…
検討の結果、「マグカップ」に決定。ユキヒョウのかわいい写真をプリントしようということになりました。
このマグカップは、陶土にリサイクル原料を使っている岐阜の陶器メーカーに焼いてもらいました。
こうして2010年4月、「密猟対策車をモンゴルに!」の掛け声のもと、「ユキヒョウ・マグカップ」の発売を開始。
1980円で販売し、そのうち1000円をモンゴルに送ることにしました。
初回の生産で1000個を用意しました。ところが販売を開始するや、一人で5個、10個というまとめ買いや、ある企業からの400個という大きな注文が入り、わずか3週間で1000個、はけてしまったのです! 大急ぎで追加注文し、最終的に1650個を仕入れました。
モンゴルからの感謝の言葉は、まずサポーターの皆さまに
この企画で、お客さまからの反応がきわめて高いことには、パンダショップのスタッフも、本当に驚きました。
特に印象に残っているのは、発売から半年以上過ぎて注文のペースが落ちついてきた11月のこと。
「完売までもう一息!」というところで動きがピタッと止まっていました。
そこで、毎週配信しているメールマガジンにそのことを書いてみたのです。
「ユキヒョウ・マグ、完売まであと一歩、1日も早く送金できるよう、ご協力を!」と。
するとどうでしょう!残っていたマグ38個が、配信後一晩で完売となったのです。このときほど、モンゴル支援に対するサポーターの皆さまの熱意を強く感じた瞬間はありませんでした。
この取り組みはWWFジャパンも、日本と同じアジアで活動するWWFモンゴルのスタッフとは、同じ目標に向けて、心を一つにできたすばらしい機会になりました。
WWFモンゴルが、ジャパンからの支援に対する感謝の気持として贈ってきたユキヒョウの額には、次のような文言が入ったプレートが埋め込まれています。
「海を越えた支援が太陽のように、私たちに新しい希望をもたらします。日本の皆さまの温かい心に感謝を込めて-WWF モンゴル」
WWFの真剣な呼びかけに、こんなにも熱く応えてくださるサポーターの皆さまへの、心からの感謝の言葉でした。
小さなマグカップをきっかけに、WWFがサポーターと共に一つのプロジェクトを実現した、ユキヒョウ・マグカップの販売。
このチャレンジを支えてくださった、たくさんのサポーターの方々を、スタッフ一同本当に心強く思いました。
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