クイズ!誰の巣でしょう!?
2017/06/24
先日、中国北東部にある長白山(白頭山)のフィールドを訪れる機会がありました。
今も豊かな自然林が残り、シベリアトラ(アムールトラ)の生息も確認されている、北東アジアでも貴重なエリアの一つです。
その森の中を流れる川沿いで、木に掛けられた巣箱を見つけました。
高さは地上から5メートルほど。
下にはマジックで「WWF」と書いてあるこの巣箱は、片腕でやっと抱えられるほどの、結構大きなサイズです。
ということは、小鳥の巣箱ではありません。では、誰の!?
WWF中国のスタッフ、リュウ・ペイチーさんに話を聞いて分かったのですが、なんとこれは、カモの巣箱、でした。
この巣箱を利用しているのは、コウライアイサという、水に潜って魚を食べる珍しいカモの一種で、数が非常に少なく国際的な絶滅危惧種とされています。
その危機の原因の一つが、営巣地の減少です。
コウライアイサは河畔の木の樹洞に巣をつくりますが、こうした木が多く伐られてしまったことで、繁殖に影響がでたと考えられています。
そこで、この「巣箱計画」がスタートした、というわけです。
残念ながら、私は数日間のタッチの差で、訪問のタイミングが合わなかったのですが、5月の巣立ちの時期になると、この高さから次々と果敢に地面に飛び降りて川に向かう、小さなヒナたちの姿も見られるとのこと!
やがて、そのヒナたちも大きく育ち、国境を越える、はるかな渡りの旅に出ます。
広大な森にも負けない、たくましく雄大な生き方をするカモたちが、いつか巣箱に頼らずに生きてゆけるように。
長白山の自然を守る取り組みの広がりを期待したいと思います。
(自然保護室 東梅)