「石炭の国」で上がる自然エネルギーを求める声
2013/11/16
ポーランドのワルシャワより、温暖化担当の小西です。
国連会議(COP19)の会場で11月13日、WWFは、「排出量を増加させるカーボン・バブルを防ぎ、低炭素社会に投資しよう」と題したサイドイベントを行ないました。
気候変動の深刻な影響を防ぐため、地下に眠る石油や石炭などの化石燃料を新たに掘り出すのではなく、太陽、風力、水力など地上にあふれる再生可能な自然エネルギー資源に転換することを求めるものです。
12日には、IEA(世界エネルギー機関)が「現在、埋蔵が確認されている化石燃料の3分の2以上を地下に残したままにしておくべき」という、指摘を含めた新しい報告書を発表しましたが、このサイドイベントでも、金融業界の動き、途上国の挑戦、若者による脱化石運動の広がりなど、化石燃料のない未来をめざすさまざまな取り組みが発表されました。
特に注目を集めたのは、WWFポーランドの発表です。
世界第9位の石炭の生産国であるポーランドは、一次エネルギーの60%、電力の92%を石炭に依存しています。さらに、首相の下の政策提言機関は、石炭を2060年までに100%に引き上げるのが一番安いオプションだとする提言を発表しています。
しかし、市民団体がつくるポーランド気候連盟は、省エネルギーと再生可能エネルギーの推進を求める対案を示し、石炭を使い続ける計画に反対しているそうです。
もし、ポーランドが石炭から再生可能エネルギーへの転換を実現すれば、世界の石炭の生産国と輸入国にも大きな影響を与え、温暖化防止に向けた国際交渉を前進させることになるでしょう。
この5年間で2度もCOPの議長国になったポーランドには、過去のエネルギーである石炭に固執せず、未来のエネルギーである再生可能エネルギーに投資する役割を担ってほしいものです。