渡り鳥がつなぐアジアの自然
2011/12/06
自然保護室の安村です。北京にいます。
2日間の日程で、渡り鳥の保全や水産資源の利用を通じて、日本にも大きな関わりのある「黄海」の干潟をどのようにして守ってゆくかを考えるワークショップに参加しています。
ワークショップには北京、上海、香港の各地からWWFの関係者が集まっています。初日は、渤海(ぼっかい)の湾奥にある河北省唐山にある干潟の現状についての調査研究の報告がありました。
この地には毎年数万羽のコオバシギ(Red Knots)が休息のために訪れます。
しかし、1990年代半ばからの埋立てなどの開発行為により、干潟が半減。残された500平方kmほどのエリアに群れが集中するようになっています。
この地域は、ラムサール条約登録地のような保護区にも指定されておらず、残された干潟が消失するようなことになれば、推定で10万羽と見積もられているコオバシギの個体群が、非常に深刻な影響を受けると懸念されます。
ワークショップでは、緊急の対応が必要な案件として、まず、この干潟の保全戦略について意見が交わされました。
まず環境影響評価を行ない、保全や利用に関わる利害関係者を集め、開発と保全のバランスについてのワークショップやセミナーを開催し、政策決定者へ提言書を提出していくなどの取り組みが必要だとの意見が出されました。
コオバシギをはじめ、干潟で生きる渡り鳥たちは、日本をはじめアジアの各国を旅しながら生きています。ここ中国での自然保護が、日本の自然を守ることにもつながっていることを、あらためて痛感させられます。