「愛知目標」が求める、「国として」の生物多様性保全
2011/12/22
草刈です。昨日、日本生態学会の代表の皆さんと一緒に、細野環境大臣に面会してきました。
日本生態学会が、「国立公園の地方移管に対する意見書」を環境大臣に手渡すに際して、日本野鳥の会、日本自然保護協会と共に、WWFとしての見解 を伝えるためです。
今、日本では国内自然保護にかかわる国の権限を、地方自治体に移管する動きが進んでいます。しかし、これが不用意な形で進められると、広い視野で 取り組むべき、国レベルでの保全が難しくなる可能性があります。
自然環境や野生生物の生息域は、人が引いた自治体の境界を越えて広がっているのだから、その保全が自治体ごとに小分けになってしまうことによるデ メリットも考えておかねばなりません。
何より、2010年の名古屋でのCBD-COP10(生物多様性条約会議)で採択された「愛知目標」では、その最初に、国として生物多様性の保全に優先的に取り組むべきこと、が掲げられています。
国立公園を含めた国内の重要な自然環境の保全には、やはり環境省を中心とした、国の主体的な取り組みが必要と考えます。
先月にも細野大臣にはお会いしていて、「環境省の事務・権限を地方に移譲することはすべきでない」と、WWFとしての要望はお伝えしましたが、今回の日本生態学会の意見書も、要点はほぼ同じです。
しかも、国内4,000人の科学者からなる日本生態学会の意見書ですから、政府としては当然重く受け止めるべきものといえるでしょう。
この件については、内閣府からも意見を求められており、来年早々他の団体のメンバーともども、内閣府に出向く予定です。