寒さに負けるな!渡り鳥


広報の三間です。
二月も終わり、東京でも梅が咲き始め… と、思ったら、やってきたドカ雪。そろそろ渡り鳥の季節だと思うのですが、こんな天気では鳥も大変でしょうね。

これから先、ぜひ会いたい鳥たちに、シギやチドリがいます。これらは「旅鳥」と呼ばれる渡り鳥で、主に春と秋、日本の干潟や湿地にやってきます。

旅鳥は、日本より温かい南で冬を過ごし、さらに北の北極圏などで夏の繁殖期を迎える鳥。いずれも、地球を北から南へ、大距離を飛んで旅する鳥たち、というわけです。

日本はつまり、その途中に立ち寄るだけの「中継地」なので、大して重要ではない… かというと、そうではありません。

前に同じく、大西洋の渡り鳥の中継地、デンマークのワッデン海で聞いた話ですが、夏前にこの海を訪れるコオバシギという鳥は、体重が倍以上になるほどここで「食いだめ」をしてから、繁殖地の北極圏に向かうとのことでした。

なぜなら、北極圏ではひと夏の間、飲まず喰わずで(!)子育てに専念するからだそうです。で、すっかりやせて、秋にまた中継地に戻ってきて、沢山食べて体重を増やし、今度はアフリカの越冬地に飛ぶ。
なんと過酷な旅を続けていることか!

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とにかく、渡り鳥にとって「中継地」は生きる上で大事な大事な場所なのです。そしてその自然は、そうした命を支えるだけの、豊かさに満ちた場所で もあります。

人もその恩恵を受けます。海藻や貝を採り、魚やタコを獲り、海苔を育てる。全ては、太陽の光と、潮の満干がもたらす海の恵みに他なりません。

こうした浅い海と自然の海岸は、今では各地で埋立てられてしまいましたが、まだ残っている場所には、今年も旅鳥たちがやってくるでしょう。

もう少し温かくなったら、季節を告げる彼らに会いに行きたいものです。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
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環境保全団体です。

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