ルーマニアでラムサール条約会議が始まりました


ルーマニアのブカレストより自然保護室の安村です。ラムサール条約会議(COP11)の第1日目が終了しました。

初日はまず、午前中に会議への参加登録を済ませ、ブース用の展示物を簡単に設置。その後、NGOグループの会合に参加しました。

ここではまず、ニック・デビッドソン条約事務次長から、COPにおけるNGOの役割や決議の進め方を説明いただきました。

それから、いくつかのテーマごとに、NGOの連盟として声明をまとめるための文書を作成。私は、WWFの「黄海支援プロジェクト」のパートナーである韓国のNGOと共に、「湿地消失の回避、緩和、代償のための統合的枠組み」決議案のグループに参加し、その後、「ツーリズムと湿地」、「水田と農薬使用」を取り上げた他の議論の結果を共有しました。

夕方からは、いよいよ開会式とラムサール湿地保全賞の授賞式です。

開会式では、前回開催国の韓国政府からルーマニア政府に条約の旗が引き継がれ、続いてWWFを含む条約の5つの公的な国際団体パートナーの代表が挨拶しました。

WWFインターナショナルのジム・リープ事務局長もスピーチし、ラムサール条約の創設から40年が経つが、次の40年間で必要とされる食料は、過去8,000年で消費された量に匹敵する、という試算を紹介。生産性が高く、生物多様性の豊かな湿地環境を、賢明に利用・保全することの重要性を訴えました。

ラムサール賞の授賞式では、50年以上にわたり国内外で湿地の研究や保全に携わってきた辻井達一氏が(財団法人北海道環境財団理事長)が、日本人として初めて科学部門賞を受賞。また、ラムサール条約やWWFの創設に功労のあったリュック・ホフマン氏も、条約40周年の特別名誉賞を受賞し、氏の先見性や取り組みが映像と共に紹介されました。

明日以降も会議場の動きを紹介していきたいと思います。

 

 

COP11会場。とても広く、会議場を探して彷徨っている参加者をたくさん見かけます

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スピーチするWWFインターナショナルのジム・リープ事務局長

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授賞式の様子。受賞者が退席すると、会議場の参加者たちはスタンディングオベーションでその功績を称えました。こうした方々の行動がなければ、今のこの場での会議も無かったかもしれないわけで、とても印象的でした。

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自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

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環境保全団体です。

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