走り出した再エネの普及になぜブレーキ?


どうも、温暖化担当の市川です。
ニュースでご存知の方も多いかもしれません。ようやく軌道に乗り始めた再生可能エネルギー(再エネ)の普及を挫くように、九州電力など複数の電力会社が急に、再エネ事業者からの接続の申し込みを制限した一件です。

九州電力の理由としては、太陽光発電による接続申込みが大幅に増え、もしこのまま申込みされたものが全部発電するならば、春や秋の日中にあまり電力の需要がないときに、太陽光発電からの発電量が、需要を超える可能性があり、電力の供給と需要のバランスがとれなくなる可能性があるためと説明されています。

しかし再エネ先進国のドイツやスペインでは、事前の天候予測を行なうことで、太陽光や風力による発電量の変動を予測し、他の火力発電等との調整を行ったり、広いエリアで変動を吸収したりすることで、変動する再エネの制御を可能としています。

こうしてドイツやスペインでは、すでに発電量の2~3割以上を風力や太陽光を中心とする再エネがまかなっています。

一方、日本ではまだ再エネの占める割合は、大規模水力を除くと、発電量全体の2%程度に過ぎません。

そもそも今回の問題は、固定価格買取制度が導入された他の国々においても、多かれ少なかれ経験してきたことで、広いエリアで風力や太陽光などの再エネの変動を吸収したり、様々な制度を整えていけば、解決策を見出していくことが可能です。

日本では、地域経済の活性化をうたっています。その光明の一つとして期待される再エネ、その普及を制度的にも整備し、さらに支援していくべきです。

私たちも今、徳島県の鳴門市と一緒にプロジェクトを行なっています。地域から、再エネ開発に取り組もうという気運の高まりを、より強い未来に向けた流れにしてゆかねばと思います。

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自然保護室(気候・エネルギー)
市川 大悟

学士(農学)
準学士(機械工学)
高等専門学校で機械工学を専攻後、大学で環境学を修了。卒業後は工学分野の知識を活かし、環境分野とも関わりの深いエネルギー分野のエンジニアを経て、2012年にWWF入局。以降、再生可能エネルギーのプロジェクト担当者として活動。

子どもの頃にどっぷり遊び漬かった田舎の原風景。その自然をこれからも残したいと考えてWWFに。元は畑違いのエンジニアですが、逆に培った工学の経験と環境の知識を糧に、エネルギー面から環境問題の解決に貢献したいと考えています。主な活動は、地域での再生可能エネルギーの導入を手助けすること。モデルプロジェクトの組成や、合意形成の援助、国の制度を変えるための政策提言などを行っています。
人と自然が共存できる社会を、皆さんにお見せできるよう、これからも頑張っていきます!

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