マタタビとワンヘルス
2021/02/10
少し前に「猫にマタタビのなぞ、解明」というニュースが伝えられました。多くの愛猫家同様、私もへぇっと感心しながら読みました。
私のネコたちがマタタビをゴシゴシ身体に擦り付け、ザリザリ舐めるのは、蚊よけの為だったとは!
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マタタビ(Actinidia polygama)同様、イヌハッカ(Nepeta cataria、別名キャットニップ)も多くのネコに好まれます。この植物には、「ネペタラクトン」という物質が含まれていて、蚊などを忌避する効果があることが示されていました。最近公表された岩手大学の研究は、マタタビに含まれる類似の物質「ネペタラクトール」に関するものです。
ネコが蚊に刺されると犬糸状虫 Dirofilaria immitis、一般的にフィラリアと呼ばれる寄生虫に感染してしまうことがあります。フィラリアの主な宿主はイヌなので、ネコのフィラリア症はイヌほど多くありませんが、フィラリア症が原因で命を落とすネコもいます。
気候危機によって蚊の分布域が拡大することで、フィラリア症など蚊が媒介する感染症の拡大も懸念されています。
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気候危機は気候のみに影響する問題ではありません。日本の平均気温が上昇すると、デング熱などの感染症を媒介するヒトスジシマカの分布域も北へ拡大。今世紀末には秋田県にまで達するという予測があります。病気のリスクに怯え「悪い蚊は、いねがー?」と逃げ惑う未来は、なんとか防ぎたいものです。
実は、フィラリア症は、まれではありますが人にも感染する、人獣共通感染症でもあります。飼っているネコやイヌがフィラリアに感染している場合、当然飼い主が感染する危険性は高くなります。
そう考えると、マタタビは、ネコの健康だけでなく、人の健康を守ることにも貢献しているといえるかもしれません。
愛猫が私の為(?)に一生懸命マタタビで蚊よけに励んでくれているのですから、私は蚊を増やさぬよう気候危機を解決する努力しなくてはバランスが取れません。
そしてまた、人・動物・生態系(環境)の健康をひとつと捉え、それぞれがバランスよく健全にあるべきという「ワンヘルス」の大切さをきちんと認識することが必要だと感じました(淡水・教育・PSP室 若尾)。
写真:Qwert1234 at Japanese Wikipedia, CC BY-SA3.0