インドネシアで見た「植林」の難しさ
2018/10/10
先日、インドネシアのスマトラ島南部にあるブギ・バリサン・セラタン国立公園とその近くの植林地を訪れました。
どちらも日本とインドネシアのWWFが協力して、森の保全と回復に努めている場所。
ですが、2つの場所の差は歴然としていました。
多様な木々が高い密度で息づく国立公園に対し、植林地には太い木がなく、空も開けた感じになっています。
この植林地はもともと自然の森でしたが、伐採や焼き畑により10年以上前に森が消滅。以来、約10年にわたって森林の再生が続けられてきました。
しかし今も取り組みは終わっていません。どうしてでしょうか。
実は、熱帯では植物の成長が非常に速いため、植えた苗が他の草やツルに覆われ、すぐに枯れてしまうのです。
このため、森林回復を自然の力に委ねられるようになるまで、現地では人が絶えず下草を刈り、ツルを取り除いて、植えた苗がしっかり育つようにメンテナンスをしなくてはなりません。
苗が10メートルくらいまで育っても安心はできません。
幹に葉を張り付けるようにして上へ上へと這い上がり、てっぺんまで覆い尽くしてしまう、怪物のような植物がいたりするからです。
さらに、必死に守ってきた苗が、激しい雨や乾期の水不足でやられてしまったり、野生のゾウに踏み荒らされてしまう!ことも。
もとより、10年経っても巨木に育つわけではありませんから、「森をよみがえらせる」という取り組みは、言葉にできない大変さに満ちています。
森林回復といえば「植林」と誰もが考えがち。
ですが、苗を植えただけで終わるような活動は、ここインドネシアには一つもありません。
現地スタッフたちの頑張り、そして失ってしまった森の尊さを伝えながら、日本からもこの取り組みを応援してゆかねばと思います。(会員サポート担当:今村)