メキシコにて。「クライメート・セイバーズ」の年次会合に行ってきました


温暖化問題担当の池原です。

先週、「クライメート・セイバーズ」のメンバー企業が一堂に会する年次会合に参加してきました。

クライメート・セイバーズは、温暖化対策に意欲的な企業とWWFがパートナーシップを結び、産業界の温暖化問題への取組みを促進するプログラムで、世界で合計30の企業が参加しています。

今年の開催地はメキシコシティで、WWFメキシコのスタッフが中心となって準備をしてくれました。

会合は、全体会合や個別のセッションなど、さまざまなスタイルで構成されており、参加者は他のメンバー企業の先進事例に真剣に聞き入っていました。

議題の中でも特にユニークなのが「マーケット・ストール」と呼ばれるセッションです。
これは、市場(いちば)で好きなお店を覗いて回るように、別々の部屋で行なわれる各企業の取組み紹介の中から関心のあるテーマの発表を自由に聞いて回る、というもの。

同じメンバーならではの、他では決して聞くことのできない、他社の同じ立場の担当者から本音や裏話などを聞ける貴重な機会になります。

企業の事業範囲における排出のみならず、原料調達、輸送、販売した製品の加工や使用などを通じて排出される温室効果ガス(スコープ3)の測り方や、再生可能エネルギーの有効活用など、いずれも企業にとって関心の高いトピックが設定されていました。

また、先月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会による最新の報告書(気候変動の科学)が発表されたばかりですが、参加企業の多くはすでに同報告書の内容を今後の取組みの前提と考えている様子が伺われ、意識の高さが伝わってきました。

クライメート・セイバーズ企業の意欲の高さが、世界の産業界をリードするものになるように、期待しています。

 

会場の様子

スコープ3の議論では、紙容器を作っているテトラパック社(スウェーデン)と飲料メーカーであるコカ・コーラ社(米)が、上流・下流の関係にあり、両社の間で今後の連携にもつながる積極的な意見交換が行なわれていました。

 

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気候エネルギー・海洋水産室 気候変動・エネルギーグループ
池原 庸介

修士(応用化学、環境マネジメント)
自動車メーカーで環境関連業務に従事した後、英エディンバラ大学大学院で気候変動の研究に従事。2008年にWWF入局。Science Based Targets(SBT)や企業の温暖化対策ランキングプロジェクトなどを通じ、企業の気候変動戦略・目標の策定を支援。公害防止管理者(大気一種)。グリーン電力証書制度 諮問委員。法政大学人間環境学部 非常勤講師

1990年代に環境問題と出会って以来、仕事や研究で環境に携わってきました。気候変動は、人間の暮らしにも生物多様性にも様々な影響を及ぼす世界共通の問題です。企業と協働しながら、脱炭素社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。

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