ガジャー!ガジャーだ!


ボルネオ島のサバ州より、自然保護室の小林です。

今、サバの北ウルセガマで行なわれている森林再生プロジェクトの現場に来ています。

ここは、オランウータンの密度が非常に高い場所ですが、森林伐採により大きなダメージを受けてきました。その森林を再生すべく、現地スタッフは日々頑張っています。

そんな現場で、一仕事を終えてスタッフ用の小屋で休んでいたところ... オランウータンと遭遇!

状態の良い森でも、なかなか出会えないオランウータンなのですが、ここでは比較的よく見られます。

はっきりとした理由はわかりませんが、森が荒れていて高木が少ないために観察がしやすいというのが一つ、そしてやはり生息密度が高いのでしょうね。

なんて、物思いにふけっていたら、「ガジャー!ガジャーだ!」と現地スタッフの声が!そう、ガジャーとは、マレー語でゾウのこと! 急いで外に飛び出しました。

なかなか出会うことのできない野生動物との出会いにまたまた感動。

話を聞いていると、このゾウはよく小屋のそばにあらわれるそうで、現地のスタッフに「コヤック」と名付けられています。

「コヤック」は「破る」とかそういった意味で、理由を尋ねてみたところ、WWFのサインボードを壊してしまったんだそうです!苦笑

また、こうしたゾウが、森林再生のために植えた木々を、踏み倒したり、折ったりすることもあります。

つまりせっかくの植林を邪魔するわけですが、自然が相手ですから、なかなか一筋縄ではいきません。

そんな中でも笑顔を絶やさず、懸命に働いてくれている現場のスタッフたちに、ボルネオの森や動物たちへの思い入れの強さを感じました。負けてられんな!と心を新たにした次第です。

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ボルネオに生息するゾウは、ボルネオゾウとかピグミーエレファントといわれて、世界で一番小さいゾウとして知られていますが、彼らもまた、生息数を減らしています。

出会ったメスのオランウータン。その仔と思われる2頭も見ることができました。

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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