WWFの呼びかけにより、日本企業2社がカツオ・キハダマグロのまき網漁業でMSC認証を取得~日本の漁獲量に対して、想定約14%(カツオ)・約10%(キハダマグロ)を占める ~


公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWF ジャパン)の呼びかけで漁業改善に取り組んでいる共和水産株式会社(鳥取県境港市)と明豊漁業株式会社(宮城県塩釜市)が、持続可能な漁業の世界的基準であるMSC漁業認証規格を満たしているとして、2024年2月15日付で、中西部太平洋のカツオ・キハダマグロのまき網漁業を対象に、MSC漁業認証を取得したことをお知らせします。

この認証の対象となるのは、中西部太平洋で操業するまき網漁船のうち、共和水産株式会社の第78光洋丸、東海漁業株式会社(共和水産株式会社子会社)の第88光洋丸、明豊漁業株式会社の第36昇喜丸、第88明豊丸の4隻によって漁獲されるカツオとキハダマグロです。日本船籍が中西部太平洋のカツオ・キハダマグロのまき網漁業におけるMSC漁業認証の対象となるのは、初めてのことです。今回認証された漁船による漁獲量(2021年)は、日本の漁獲量に対しカツオは約14%(約15,400トン)、キハダマグロでは約10%(約4,100トン)*を占めると想定されます。

昨今、カツオ・キハダマグロの漁獲量は世界的に増加し、特に中西部太平洋のカツオの漁獲量は急増。資源量は過去最低水準まで減少しているにも関わらず、漁獲圧は増加し続けています。キハダマグロも同様に漁獲圧の増加や資源量の低下が危惧されています。もしこの状況を看過すれば、カツオ・マグロ産業のみならず健全な海洋生態系の存続が危ぶまれ、カツオ・キハダマグロ資源を捕り尽くさないような漁業への転換が世界的に求められています。

WWFジャパンはこの状況を受け、海洋生態系の保全活動の一環として、持続可能なカツオ・キハダマグロ漁業を日本で実現するためのプロジェクトを2020年より開始。漁業関係者や水産会社など日本の重要なステークホルダーに対話を通じて、持続可能な漁業の必要性を働きかけてきました。

その結果、2021年に明豊漁業株式会社ならびに共和水産株式会社と、資源管理に基づいた持続可能なカツオ・キハダマグロ漁業の実現のため、水産資源や海洋環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業に対する認証制度「MSC漁業認証」の取得を目指すことに合意。WWFジャパンのサポートの下、予備審査を行い、その結果に基づき、審査に必要な情報の収集とオペレーションの改善を行なってきました。そして2023年2月、まき網漁船を保有する明豊漁業株式会社、共和水産株式会社が共同で、MSC漁業認証の本審査を受審し、2024年2月15日、カツオ・キハダマグロのまき網漁業のMSC漁業認証を取得しました。

WWFジャパン 自然保護室 海洋水産IUU漁業対策マネージャー、水産資源管理マネージャー
植松周平のコメント

3年余をかけて企業が連携して持続可能な漁業に取り組み、共にMSC漁業認証の取得を実現しました。これは、日本のMSC漁業認証ではまだあまり例がありません。MSC漁業認証の取得は持続可能な水産業のための一通過点に過ぎませんが、世界有数のカツオ・キハダマグロの漁獲国であり消費国である日本において、今回のような連携は、世界のマグロ・カツオ産業のみならず健全な海洋生態系の存続に必要不可欠です。WWFは持続可能な漁業のために、今後も対話を通じた日本のステークホルダーへの働きかけを続けていきます。

水産業は自然資本に支えられた産業であり、水産業の持続可能性の担保には多くの関係者の協働が必要です。WWFジャパンは人類が自然と調和して生きられる未来のため、今後もステークホルダーとの連携を深め、海洋生態系の保全活動を続けていきます。


*明豊漁業株式会社・共和水産株式会社の漁獲量(MSC Track a Fisheryより)、日本全体の漁獲量(FAO Fishstatより)を用いてWWFジャパンが漁獲割合を算出

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