国際プラスチック条約 企業連合(日本) 声明
2023/11/01
私たち日本で活動し、企業連合のビジョン・ステートメントに賛同する企業は、汚染の除去のみならず削減、循環、そして、予防において、国際的に調和した規制を導入することで世界規模での変容を促進するための、法的拘束力を持つ世界共通ルールと対策とを盛り込んだ、プラスチック汚染に関する国連条約を支持します。
基本的な立場
条約において、プラスチック汚染を根絶するための野心的な目標や抱負を掲げることだけでは十分ではありません。条約では、それを達成するための具体的な政策手段や措置を確立しなければなりません。そうすることで、私たちはプラスチックの作り方、使い方、考え方を見直し、私たちの世界に前向きな変化をもたらす貴重で現実的な機会をもたらすことができます。
条約の草案は、各国政府が実施すべき中核的な義務と政策措置の明確な選択肢を示すことを基盤としなければなりません。
私たちが望む野心的な条約
サーキュラーエコノミーのアプローチによるプラスチックの生産と使用の削減
- 削減は極めて重要です。リサイクルを推進するだけでは、この危機を解決できないからです。1.5度未満の気温上昇に抑えるために責任を果たすには、化石燃料から生産されるプラスチックを中心に、すべてのバージン・プラスチックの使用を削減しなければなりません。
- 私たちは、自然環境へ流出する可能性の高いプラスチック製品を特定・根絶することを優先し、実質的に大規模に循環させることが不可能な寿命の短い製品への需要を削減していかなければなりません。
- 私たちは、人の健康や自然環境に重大なリスクをもたらす化学物質や汚染物質がこれ以上市場に出回らないようにしなければなりません。
根絶ができないすべてのプラスチック製品を循環
- すべてのプラスチックが安全に使用、リユース、リサイクルされるようにするために、世界的に統一された基準を確立し実施することが重要です。
- リサイクルを可能とする設計を義務付けることと、リサイクルのシステムとインフラの規模を拡大させるためのターゲットをセットで導入しなければなりません。そうすれば、プラスチックが最も価値の高い状態でより長く循環し続け、自然環境への流出を減らすことに繋がります。
- 容器包装やその他の寿命の短い製品を市場に導入するすべての事業者に、使用後の回収・処理のコストを負担し、適正に管理することを義務付ける拡大生産者責任(EPR)制度を確立することは、プラスチック汚染に取り組む上で極めて重要な手段となります。
- 廃棄物処理に従事するインフォーマルな労働者は、プラスチック廃棄物の収集、分別、リサイクルにおいて重要な役割を果たしています。条約は、サーキュラーエコノミーへの安全で公正な移行を可能にするために、彼らの生計、健康、人権を保護し、尊重しなければなりません。
プラスチック流出の予防と回復
- 強固な廃棄物管理手法の実践が必要です。そしてサーキュラーエコノミーの解決策の導入を地域レベルで促進するには、効果的な規制と財政的インセンティブが必要です。
- 既存のプラスチック汚染を軽視すべきではありません。すでに自然環境を汚染しているマイクロプラスチックおよびマクロのプラスチックの除去に取り組む手法が必要です。
その他考慮すべき事項
さらに条約は、経済的手法や財政的インセンティブの導入、監視および報告体制の構築等の、重要で分野横断的な課題に注意を払うべきです。
気候変動問題におけるパリ協定の事例を踏まえ、条約は、プラスチック汚染を終結し、プラスチックの安全な循環を促進する対策に、公的・民間双方の資金の流れを集約させることを求めなければなりません。
条約は、各国政府が国内および世界的な目標に向けた進捗状況を把握できるよう、効果的な監視・報告システムを構築するための明確な手順を定めなければなりません。これを支援するために、条約はプラスチック汚染に関連するリスク、機会、影響に関する企業情報をどのように取り扱うかにつき、原則を示すべきです。
条約は、大企業、多国籍企業、および金融機関によるプラスチック関連の情報開示を義務付け、企業報告が統一された一貫性のある方法で行われるようにすべきです。
国際プラスチック条約 企業連合について
エレン・マッカーサー財団とWWFの呼びかけで発足した「国際プラスチック条約 企業連合」では、プラスチックのバリューチェーン全体に関わる150以上の企業、金融機関、NGOパートナーが参加し、意見を表明しています。そして、プラスチックをサーキュラーエコノミーへと移行させ、プラスチックが廃棄物となり汚染を引き起こすことを阻止することのできる、野心的な国連条約の締結を共同で求めています。この強い意志は共有されています。今必要なのは、上記に示した分野で協働していくことです。
国際プラスチック条約 企業連合(日本) 参画企業(五十音順)
Uber Eats Japan 合同会社
株式会社エコリカ
キリンホールディングス株式会社
サラヤ株式会社
テラサイクルジャパン合同会社
日本コカ・コーラ株式会社
ネスレ日本株式会社
ユニ・チャーム株式会社
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社
株式会社ロッテ
国際プラスチック条約 企業連合(日本)事務局
WWFジャパン
(事務局長:WWF ジャパン サーキュラーエコノミー・マネージャー 三沢行弘)