2025年日本国際博覧会会場建設にかかわる要望書


公益社団法人2025年日本国際博覧会協会会長 十倉雅和 殿
大阪府知事 吉村洋文 殿
大阪市長 松井一郎 殿
内閣官房国際博覧会推進本部 事務局

(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
事務局長  東梅 貞義
 

先に公開・縦覧された「2025年日本国際博覧会環境影響評価準備書」においては、大阪市此花区夢洲における会場建設の概要ならびに環境影響評価が示された。2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博と称す)は、その目的に持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を明記しており、自然環境と生物多様性の保全と回復を図った上で、社会と経済の発展との両立を目指すことが肝要である。

会場予定地となっている夢洲は人工的な環境であるが、造成過程で形成された多様な自然環境に応じて、様々な生物種が確認されている。公益財団法人大阪自然環境保全協会の資料によると、鳥類112種(うち絶滅危惧種51種)、植物206種(うち絶滅危惧種および重要種12種)が確認されている他、ホシハジロについては、ラムサール条約の参加基準も満たすことが判明している。大阪湾は戦後9割以上の干潟が消失したとされており、これらの干潟・湿地環境を維持し、生物多様性を保全することは、大阪市生物多様性戦略の推進の上でも極めて重要である。

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、上記のことを鑑み、大阪・関西万博の会場建設にあたり、以下のことを強く要望する。

  1. 環境影響評価は客観的で透明性のあるプロセスで行うこと
  2. 関係するNPOや団体等、多様な関係者とオープンな意見交換の場を持つこと
  3. 現存する生物や環境への影響を最小限に抑えるとともに、影響が不可避の場合、代償措置を取ること

また、縦覧された「2025年日本国際博覧会環境影響評価準備書」に対しては、国内でこの問題に関心を持つ多くの方々より、地域の豊かな自然環境と、希少な野生生物への配慮を求める意見が寄せられたことと推察する。これらの意見を開示し、検討のプロセスを明らかにし、真摯な対応と計画の見直しを行なうことは、SDGsへの貢献を掲げる大阪・関西万博の本質に欠かせない要素と考える。

以上

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP