「わいるどアカデミー+(ぷらす)」2016年夏 開催報告


今年で5年目となるWWF会員のつどい「わいるどアカデミー+(ぷらす)」夏休み企画を、2016年7月23日(土)に開催しました。小学生とご家族、合計10名の皆様と共にエネルギーをテーマにした今回のイベントの様子をご報告いたします。

「なんでムダづかいしてはいけないの?エネルギー」

WWF担当スタッフが、サポーターの皆様と直接交流し、環境問題について一緒に学ぶことを目的とした会員のつどい「わいるどアカデミー+(ぷらす)」は、今年も夏休み企画を行いました。今回は、エネルギーの大切さ、エネルギーはどこから来ているのか、そして、無駄遣いするとどうなるのかという3つの側面を中心に、クイズを交えてご参加いただいた皆様と楽しく学ぶ機会となりました。

1.わたしたちはどれだけ電気をつかっているの?

「エネルギーとは何でしょうか?」

何かを動かしたり、変えたりするパワーのことをエネルギーと呼びます。今回は、一番身近なエネルギーである「電気」を取り上げて学びました。

現在、電気は私たちの身近にあるものですが、電気がまだない時代はどのように生活していたのでしょうか。まず、電気がなかった時代の道具の写真をクイズ形式でお見せし、昔の暮らしを皆さんと一緒に想像しました。

昔は食品の保管から調理するまでの間に氷や水、火といった自然の力を利用していました。例えば、棚のような箱に氷を入れて冷気で食品を冷やし、かまどの火でご飯を炊き、二重構造になっている瓶の外側にお湯を入れてご飯は保温されていました。ごはんを食べるためには、とても多くの時間と手間が必要でした。

それが、現在では電化製品があれば簡単に行うことができます。多くの時間と手間がかった食事の準備も、電気の発明と電化製品の発達によってあっという間に簡単にできるようになりました。

それでは、電化製品を動かすために、どのくらいの電気(エネルギー)が必要なのでしょうか?

参加者の方に、ご自分の家庭でよく使う電化製品の消費量をすべて足し算してもらいました。会場では、3602、2870、4000、3957、3257などの数字が出てきました。これらはどのくらい大きなエネルギーなのでしょうか。

全ての電化製品を同時に使用することはめったにありませんが、例えば、夏の夜の一般家庭では約1200Wの電気を使っているといわれています。それを人力(自転車こぎ)で発電しようとすると、大人約12人が自転車をこぐことにより、やっとその分の電気をつくることができます。

2. 電気はどこからくるの?

それでは、その大きな電気はどこから来ているのでしょうか。例えば携帯電話の充電が切れた時は、アダプターにつなぎ、コンセントにさします。コンセントは電線につながり、変電所につながります。そこから送電線というもっと太く遠くまで電気を運べる線につながりその先が、電気をつくっている発電所です。

発電所には、水力発電所、太陽光発電所、海流発電所など多くの種類がありますが、現在、日本で一番多いのは火力発電所です。火力発電所では、水を温めその沸かしたお湯の蒸気をタービンという風車のような回転式原動機にぶつけて回すことにより電気がつくられます。

それではもう少し先にたどっていきましょう。火力発電所で、水を温めるための燃料はどこから来ているのでしょうか。

火力発電所で使われる燃料は主に地中深くにあるガスや石炭、石油などの化石燃料です。それらを土の中から採掘し、出てきた燃料は船などを使って遠くから日本まで運んできます。採掘するための機械も、船を動かすことにも燃料(エネルギー)は使われます。このように、私たちが何気なくスイッチ一つで使っている電気は、遠くからとても多くの労力とエネルギーをつかって、私たちの元に運ばれてきているのです。

参加者のお子さん達も、「電気は大切に」と普段よく聞く意味を再認識されていました。

3.電気はムダにするとどうなるの?

私たちが使用する電気が少なければ、発電所でつくる電気も少ない量になります。少ない電気を作るためには、運んでくる燃料も少しですみます。しかし、私たちが電気を多く利用すると、それだけ発電所でつくる電気も多く必要になり、比例して燃料も多く必要になってしまいます。

そして、電気を作り使用する過程で、電気の他につくられる(排出される)ものがあります。二酸化炭素(CO2)です。多くの電気を使うと比例して多くの二酸化炭素が排出されます。

二酸化炭素が多く排出されるとどのようなことが起こるのでしょうか。

通常は、動植物に必要な太陽の光が地球に降り注ぎ、ちょうどよいバランスで宇宙に跳ね返ります。そのため、地球は動植物が生存するために快適な温度や環境が保たれます。しかし、二酸化炭素が多く排出されると、地球の周りに二酸化炭素の層ができ、その中で太陽の光が反射し、地球が温まってしまいます。これが、地球温暖化といわれる現象です。

地球温暖化になると、私たちはもちろん、動植物の生息している地域が温まり、対応できない生きものは、いなくなってしまう恐れがあります。

ホッキョクグマやユキヒョウなどは地球温暖化の影響をうけるとされる動物のひとつです。温暖化により北極の氷が解けると、海面が上昇し、それにより生息地が追いやられる生きものもでてきます。植物では、ブナの木が温暖化が進むと生息域がなくなってしまうと懸念される生きものの一つです。

参加者の皆さまと記念撮影

私たちは、たくさんの動物や植物から「自然のめぐみ」をもらっています。テーブル、食品、薬、すべてのものが自然界から来ています。そのため、電気を多く使うと多くの燃料を使い、二酸化炭素を排出し、それが大切な自然を壊すことにつながってしまいます。

最後に参加して下さった皆さまに、家に帰ったら電気を使っているところを探してもらい、使うときには、どこから来ているのかを思い出して、大切に使っていただきたいとお伝えしました。大切な地球への負荷を減らすためにも、もう一度ムダづかいをしていないかどうか、電気の使い方を見直していきたいと思います。

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