これからの日本のエネルギーはどうなる?水面下の攻防
2012/06/21
温暖化担当の小西です。
自然エネルギーや原発の将来の比率を決める日本のエネルギーの「選択肢」。「国民的議論にかける」という国の約束は遅れに遅れましたが、6月中には出されることになりました。
それに向け今、水面下で熾烈な調整が続いています。
というのは、経済産業省が6月初めに示した「エネルギー選択肢の原案」をふまえ、環境省が「地球温暖化対策の選択肢の原案」を提示したのですが、その中身に差が生じているのです。
たとえば、選択肢の一つである、2030年時点で「原発を15%」という案の踏み込んだ内容では、環境省が石炭による発電を13%、天然ガスを20%(中位ケース)としているのに対し、経産省では石炭は23%、対して天然ガスは11%としています。
温暖化防止を推したい環境省が、CO2排出量の多い石炭の比重を下げようとしているのに対し、経産省は輸入価格の安い石炭の比重を上げようとしているのです。
ご承知の通り、自然エネルギーは出力が安定しないため、必ずそのバックアップ電源が必要になります。ヨーロッパではその電源に、すぐ出力の上がる天然ガス発電を充てているケースが多く、日本でも同様の措置を取ることが好ましいのですが、その方針が割れているのです。
そもそも、1990年から日本の温室効果ガス排出量が増えた原因は、石炭火力発電所を増やしたことが原因。しかも、発電所などや工場などのインフラは一回作ったら30年は使います。今後も石炭火力発電を今と同じくらい使い続けるのでは、いくら他で温暖化対策を行なっても、効果は帳消しになってしまうでしょう。
原発の比重にばかり目が行きがちな今回の議論ですが、表に出てこない場所では、こうした議論が戦わされています。日本のエネルギーはどうなるのか?まさに正念場を迎えています。