東京湾・三枚洲の海が国際的な保護区に!


自然保護室の東梅です。
先日、日本野鳥の会東京の飯田陳也さんが、私たちの事務局に来局されました。

東京湾に面した葛西海浜公園にある干潟、三枚洲を紹介する新しいパンフレットを、わざわざお持ちくださったのです。

そして、何とも嬉しいお話を聞かせてくださいました。

来年、アラブ首長国連邦で開かれる「ラムサール条約」の会議で、三枚洲が条約の登録湿地になるかもしれない、というのです。

ラムサール条約は、干潟や河川、湖沼などの湿地(ウェットランド)を守る条約。これに登録される湿地は、国際的にも認められた湿地保護区となります。

お持ちいただいた三枚洲のパンフレット。これまでの東京湾の歴史や、現在行なわれている活動なども紹介されています。

日本にも現在50カ所ほど登録湿地がありますが、三枚洲の登録が実現すれば、それは少し特別な意味を持ちます。

なぜなら三枚洲は一度、干潟の環境が失われた場所に、人の手で再生された湿地だからです。

1960年代まで、葛西沿岸には自然の干潟が広がり、多くの水鳥や魚類、貝などが息づいていました。

しかし、高度成長期の開発で干潟はほぼ消滅。

その後、東京湾の自然を取り戻す運動の中で干潟の造成が行なわれ、生態系の復元が進められてきたのです。

上空から見た三枚洲。東側の洲は野鳥のサンクチュアリとして立ち入りが制限されています。

1989年の葛西海浜公園の開園直後は、干潟の砂が潮で流されてしまうなど、さまざまな困難がありましたが、飯田さんはじめ多くの方々の努力により、自然はその力をよみがえらせてきました。

そして今では、浜辺にも広いヨシ原が広がり、多くの水鳥が訪れる、見事な海辺の景観を見ることができます。

私ももう10年も前、地元のシンポジウムで、東京湾にもっとラムサール条約の登録湿地が出来る、その可能性があることをお話したことがあったのですが、それがこうして実現しようとしていることには、感無量の思いです。

たくさんの人の手が守り育ててきた三枚洲の海が、世界にその名を知られる日を、今から楽しみにしたいと思います。

ソリハシシギ。春秋に日本の干潟を訪れる渡り鳥です。

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事務局長
東梅 貞義

国際基督教大学教養学部理学科卒業(生物専攻)。英国エジンバラ大学修士号(Master of Science)取得(自然資源管理専攻)
1992年WWFジャパンに入局以降、日本全国各地の重要湿地の保全活動に携わる。
2019年からはシニアダイレクターとして、WWFジャパンが手掛ける地球環境保全活動全般を統括。
2020年7月 WWFジャパン事務局長就任
座右の銘は、Together possible 「一緒なら達成できる」

自然保護に取り組み30年近く。これまでのフィールドは、日本では南は石垣島のサンゴ礁から、北海道の風蓮湖まで、世界ではペンギンの生きる南米の海から、渡り鳥の楽園の黄海、そしてミャンマー・タイの東南アジア最大級の手つかずの森まで。野生生物と人の暮らしが交差する現場で、現地の人々や研究者、グローバル企業、国際機関の方々とご一緒に、自然保護と持続可能な未来を目指して日々取り組んでいます。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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