東京湾・三枚洲の海が国際的な保護区に!
2017/12/28
自然保護室の東梅です。
先日、日本野鳥の会東京の飯田陳也さんが、私たちの事務局に来局されました。
東京湾に面した葛西海浜公園にある干潟、三枚洲を紹介する新しいパンフレットを、わざわざお持ちくださったのです。
そして、何とも嬉しいお話を聞かせてくださいました。
来年、アラブ首長国連邦で開かれる「ラムサール条約」の会議で、三枚洲が条約の登録湿地になるかもしれない、というのです。
ラムサール条約は、干潟や河川、湖沼などの湿地(ウェットランド)を守る条約。これに登録される湿地は、国際的にも認められた湿地保護区となります。
日本にも現在50カ所ほど登録湿地がありますが、三枚洲の登録が実現すれば、それは少し特別な意味を持ちます。
なぜなら三枚洲は一度、干潟の環境が失われた場所に、人の手で再生された湿地だからです。
1960年代まで、葛西沿岸には自然の干潟が広がり、多くの水鳥や魚類、貝などが息づいていました。
しかし、高度成長期の開発で干潟はほぼ消滅。
その後、東京湾の自然を取り戻す運動の中で干潟の造成が行なわれ、生態系の復元が進められてきたのです。
1989年の葛西海浜公園の開園直後は、干潟の砂が潮で流されてしまうなど、さまざまな困難がありましたが、飯田さんはじめ多くの方々の努力により、自然はその力をよみがえらせてきました。
そして今では、浜辺にも広いヨシ原が広がり、多くの水鳥が訪れる、見事な海辺の景観を見ることができます。
私ももう10年も前、地元のシンポジウムで、東京湾にもっとラムサール条約の登録湿地が出来る、その可能性があることをお話したことがあったのですが、それがこうして実現しようとしていることには、感無量の思いです。
たくさんの人の手が守り育ててきた三枚洲の海が、世界にその名を知られる日を、今から楽しみにしたいと思います。