IPCCベルリン会議終了!報告書が発表されました


ドイツのベルリンより、温暖化担当の小西です。
こちらで開かれていた、IPCCの第3作業部会の会議が終わり、無事に報告書が発表されました。

第1~第3まで、3つの会議に参加してきましたが、今までで一番疲れました。

内容が経済モデルの研究成果など、非常に難解だったため、理解するだけでも必死だったことと、温室効果ガスの削減分担のような非常に政治的な内容が多かったこと。そして会議は夜を徹して行なわれたこと。

しかし、会議がすべて終わってあと、出来上がった報告の「政策決定者向けの要約」を頭から読むと、改めてメッセージは非常にクリアだなあと思います。

  1. 温暖化は化石燃料使用で引き起こされている。特に石炭の責任が大きい
  2. このままだと100年後には4度前後の気温上昇が予測される
  3. 2度未満に抑える道は残されており、しかも対策をとっても経済成長に与える影響はわずかである。しかし、対策を遅らせれば遅らせるほど高くついて、より困難になる

また、温暖化を防ぐ低炭素社会は、人の健康や生物多様性などに多大な便益があることも明示されました。

今回の報告書の重要なメッセージは、温暖化問題はエネルギー問題であることを明確に前提としていること。

日本では、「エネルギー基本計画」がまさに閣議決定されたところですが、残念ながらその内容には脱炭素社会へ向かう気構えが見うけられません。あらためてIPCCの報告書のメッセージを受け止めて国内のエネルギー計画を見直し、世界の温暖化対策へ寄与していく日本であってほしいと切に願います。

今回発表された、「政策決定者向けの要約」は、通常2~3か月後となりますが、政府から日本語訳が発表されますので、ぜひ読んでみてください。

IPCC報告書の発表記者会見。英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の通訳がついて、共同議長が世界のジャーナリストの質問に答えていく。ジャーナリストのストレートな質問は、長くテクニカルな議論を聞いてきた耳には心地よい!

一緒に会議に参加したWWFの仲間たち。2013年の9月のIPCC会議から始まって、怒涛の国際会議ラッシュ。しばらく会議は出たくないです...

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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