石垣島、名蔵湾のサンゴの「白化」


沖縄の石垣島より「しらほサンゴ村」の鈴木倫太郎です。

例年台風が多く襲来するこちら石垣島。

しかし、今年は9月になっても台風が一つも来ていません。

沖縄では毎年、台風によって夏場の海の水温が下がるのですが、今年は台風が来ないこともあり、6月頃から高水温が続いていました。

そのため、石垣島の周辺でも、暑さに弱い造礁サンゴが「白化」し、弱ってしまう現象が目立っています。

名倉湾のサンゴ。 特に、ミドリイシと呼ばれるサンゴの
白化がひどく、すでに死んでしまって表面に藻類がついた
状態も多く見られました。

昨日は、石垣島のシュノーケリング専門のマリンサービス「やーるーや」さんの案内で、島の西側にある名蔵湾内のサンゴを見に行ってきました。

ここは、島の他の場所より白化の割合が高く、7割以上のサンゴたちが白化しています。

それでも、ここ数日、島では風向きが北になり、気温とともに海水温が下がり始めたため、連日30度を上回っていた名蔵湾の水温も、28~29度まで低下。過酷な状況は脱したように感じられました。

ギリギリのところで頑張っているサンゴたちも、回復する可能性がありますので、このまま海水温が下がってくれることを祈るばかりです。

ちなみに、皆さんは「日本全国みんなでつくるサンゴマップ」という取り組みをご存知でしょうか。

これは、海で実際にサンゴやその白化を見た人が、その情報をウェブサイトに投稿し、知らせ合うというものです。

今年は、世界の各地でもサンゴの大規模な白化が報告され、心配されていますが、全てをくまなく調査するのは容易ではありません。

そこで、こうしたたくさんの人たちが参加できる「サンゴマップ」のような取り組みが、白化現象についての情報を集めるのに役立っています。

白化の研究とサンゴの保護を進めるためにも、まだまだたくさんの情報が必要です。

どなたでも参加できますので、もし「白化したサンゴを見たよ!」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ投稿をお願いいたします!

▼日本全国みんなでつくるサンゴマップのサイト

このサイトでは、サンゴの分布や今日本で起こっている白化現象の情報を、見ることができます。

  • 「サンゴマップ」は、2008年の「国際サンゴ礁年」を日本で推進する有志(科学者、教育者、ダイビング業界、NGO関係者)が設立した「サンゴマップ実行委員会」により運営されています。WWFはその 後援団体の一つです。

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自然保護室 国内グループ所属
鈴木 倫太郎

南西諸島のサンゴ礁など海域をフィールドを担当しています。

石垣島・白保の海に初めて出会ってから20余年。それ以来、研究者として、仕事として、サンゴにかかわり続けてきました。サンゴを愛し、サンゴから愛されそびれた男。サンゴ礁の魅力を多くの人に伝えていきたいと思います。

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WWFは100カ国以上で活動している
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