いよいよ奄美群島が国立公園に


先日、環境省が、奄美群島の島々を国立公園に指定すると発表しました。

国が、この地域の生物相やそれが織りなす景観の重要性を認め、保全する方針を明らかにしたのは、歓迎すべきことです。

奄美群島とは、奄美大島から、沖縄本島が望める与論島までの島々を含む地域で、今回の公園指定には、そのうち奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の陸域と一部海域が含まれる見込みです。

その保全については、私たちもこれまで、地域の自然保護や調査活動の助成に取り組んだほか、鹿児島県が策定した生物多様性地域戦略への提言などを実施。地元市町村やNPOの関係者の皆さんとも、保全施策や抱えている環境課題について協議を重ねてきました。

こうした地元と協働で進めてきた活動が目指すものは、アマミノクロウサギをはじめとした希少な野生生物と、その生息地の保全と利用の両立です。

今回の国立公園の指定は、そんな取り組みを行なってきた地元の皆さんにとっても、一つの前進と言えるでしょう。

一方で、現場が抱える課題は少なくありません。

たとえば、今回保護区に指定された区域では今後、利用促進のための施設整備が計画されますが、道路整備など、観光誘致を強化する視点で進めてしまうと、自然環境が悪影響を受けるおそれがあります。

また、人の手で島々に放されたマングースやノヤギ、ノイヌやノネコ、イタチなどの外来生物への対策も必要です。

私たちも、これまでの南西諸島プロジェクトで得た、地元関係者やNPOとの連携と経験を基に、こうした問題の解決につながる取り組みを進めたいと考えています。

国立公園に続く世界遺産登録に向け、観光客も増加する中、どんな形で活動が進んでいくのか。経過はまた随時ご報告していきます。(自然保護室 権田)

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自然保護室 国内グループ所属
権田 雅之

南西諸島プロジェクトを担当。陸域での取り組みを行なっています。

亜熱帯に属する琉球列島の島々で、アマミノクロウサギをはじめ希少生物やその生息地の保全に、地域の方々と共に取り組んでいます。問題と地域社会の変革は、国外の他の島々でも同じような問題と解決の縮図。次の一手は東南アジアの島々や地域への拡大もありや。

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