新たなサメ・エイがワシントン条約の規制対象に
2016/10/06
こんにちは、トラフィックの白石です。
海の王者と強いイメージのあるサメ。ですが近年、フカヒレや肉を目的とした過剰漁獲などにより、世界各地で資源の減少が懸念されています。
サメは100か国以上で漁獲されているとも言われ、IUCNのレッドリストでも現在約1000種のサメとエイのうち、約17%が絶滅危機種とされ、45%が情報不足となっています。
そうした中で、ワシントン条約(CITES)でも、取引規制の対象となるサメの種が増加傾向にあります。
先日終了した、南アフリカでの第17回ワシントン条約締約国会議でも、新たに附属書Ⅱにサメ・エイ類を掲載する提案が採択され、取引規制の対象となりました。
今回、対象となったのは、クロトガリザメ、オナガザメ類、イトマキエイ類です。
日本は2014年にクロトガリザメ約1トン、オナガザメ類を約150トン水揚げしていますので、いずれも関係のある種です。
しかし、サメをはじめ水産資源として商業的に利用される野生生物の取引を、ワシントン条約で規制する試みは、まだ試行錯誤が続けられています。
海の動物はデータの収集や種の識別が難しく、漁業や取引の管理が困難な国も多いためです。
また、サメについて気にかかるのは、日本政府がサメに関するワシントン条約の決定をすべて「留保」している点。
このことは、ヒレの識別シートの作成への助成など、条約のより良い施行に協力する日本政府の姿勢とは相反するものであるため、私たちも留保の撤回を求めてきました。
他にも、トラフィックでは、WWFや他のNGOとともに、『サメ・エイ類保全のための世界的な優先事項:2015-2025年戦略(Global Priorities for Conserving Sharks and Rays: A 2015-2025 Strategy)』を策定。
取引規制だけではないさまざまな視点から、サメやエイの保全に取り組んでいます。
サメは水産資源ではありますが、同時に海の生態系を構成するかけがえのない生きものです。
そんなサメたちが生きられる健全な海の環境を、守ってゆかねばならないと思います。