赤土は悪者?宝物?


沖縄の石垣島より「しらほサンゴ村」の権田です。 沖縄島北部の大宜味村に行ってきました。ここは、「やんばる(山原)」の名で知られる、亜熱帯の森が広がっている地域です。

「やんばる」は、ヤンバルクイナで有名な場所ですが、沿岸の自然にも素晴らしい景観が数多くあります。

たとえば、東村の慶佐次川河口域のマングローブ林は国の天然記念物に指定されており、また大宜味村の塩屋湾は汽水域の湖で、カキの養殖が始まった場所としても有名な景勝地です。

やんばるの山側より海を望む

しかし、どちらも川から流れ込む赤土などの土砂が堆積してきた結果、かつて多く見られたサンゴや、地元の観光業が大きな被害を受けてしまいました。

今回、私たちはここで、地域と協力した新しい赤土防止の取り組みを始めようとしています。

その第一弾として先週、大宜味村で赤土流出防止を目的とした交流会が開かれました。

雨と共に海へと流れ込む赤土(石垣島)

ご参加くださったのは、約30名の地元や近隣市町村、県の関係者の方々。私からも参考情報として、WWFが以前取り組んでいた「久米島応援プロジェクト」の概要をお話ししました。

赤土問題は、地域の暮らしにも深く関わります。 赤土は海に流れ込むと、海水を汚染し、サンゴを弱らせますが、流出の源になっている農地にとっては大事な土壌でもあります。

2014年11月に開かれた赤土流出防止対策取組交流会

初めての交流会でしたが、地元の方の手から手へ次々にマイクが渡り、海をよみがえらせたい、という声や、地域振興のためにも赤土防止に取り組んでいきたい、といった声が聞かれるなど、産業や暮らしにも配慮した対策の必要性を、あらためて考える機会になりました。

こういった機会を今後も重ね、今回参加された地域の皆さんと膝を交えて、時には泡盛も飲みながら、対策活動を進めていきたいと思います。

同じく赤土流出防止対策取組交流会の様子

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自然保護室 国内グループ所属
権田 雅之

南西諸島プロジェクトを担当。陸域での取り組みを行なっています。

亜熱帯に属する琉球列島の島々で、アマミノクロウサギをはじめ希少生物やその生息地の保全に、地域の方々と共に取り組んでいます。問題と地域社会の変革は、国外の他の島々でも同じような問題と解決の縮図。次の一手は東南アジアの島々や地域への拡大もありや。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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