ロシア初、先住民の伝統的な生活へも配慮した「ビキン国立公園」誕生!
2015/12/04
記者発表資料 2015年12月4日
2015年11月3日、極東ロシアのビキン川流域の116万ヘクタールにのぼる森が「ビキン国立公園」として新たに指定されました。針葉樹と広葉樹が混じり合うこの豊かな森は、シベリアトラの全個体数のおよそ1割が生息する場所であると同時に、先住民の人々の重要な生活の場でもあります。このたびの国立公園制定では、自然環境の保全だけではなく、先住民の人々の権利も保障されたロシア初の国立公園の誕生となりました。
日本海を隔てて北海道と隣り合う極東ロシア地域には、針葉樹と広葉樹が混じる世界でも屈指の豊かさを誇る森があり、シベリアトラやアムールヒョウを生態系の頂点とした多様な生物が生息しています。そんな極東ロシアの森の中でも「ロシアのアマゾン」と称されるほど広大な原生林が残っているのがビキン川流域です。この広大な森は、シベリアトラの個体数のおよそ1割にあたる50頭前後が生息する場所であると同時に、この地の先住民族であるウデヘとナナイの生活の場でもあります。
WWFでは10年以上にわたり、先住民の人々と共にビキン川流域の森林生態系の保全と彼らの伝統的生活様式の保護に取り組んできました。2010年にはこの地域の森林生態系の高い価値が世界的にも認められ、ユネスコの世界遺産候補に登録されました。こうした成果が政府からも評価され、2013年11月と2015年4月の2度にわたりプーチン大統領が、ビキン川の中上流域を連邦政府の保護区とするよう大統領令を発令しました。
大統領令の草案作りを担う作業部会では、WWFロシア・アムール支部代表のユーリ・ダーマンが国立公園設置のための評価報告書を提出しました。報告書では、森林生態系の保全はもちろんのこと、先住民の人々の伝統的な森林利用権が担保され、国立公園の運営へも携われるように特に注意が払われました。その結果、大統領令の後押しもあり、関係機関における法の整備を経て2015年11月3日、先住民の利益に配慮した形で、ビキン川流域の116万ヘクタール以上の森林が国立公園として新たに指定されました。
WWFは今後も先住民の人々の権利を尊重しながら、シベリアトラのすむ森の保全に取り組むとともに、日本でも持続可能な方法で生産された木材製品の購入を推進していきます
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