ガーナの森林はなぜ減った?土地利用変化を示すGISマップを公開 ~カカオ生産がガーナの森林にどのような影響を与えているかを視覚化。 森林破壊ゼロのカカオサプライチェーン構築に活かす~
2025/02/14
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWF ジャパン)は本日2025年2月14日(金)、ガーナ共和国(以下、ガーナ)の1980年、2000年、2020年の土地利用の変化を確認できる「ガーナ・カカオ森林ランドスケープ土地利用マップ(Land Use Map of Ghana Cocoa-Forest Landscape、以下、ガーナ森林マップ)」をNature&Development Foundationと共同開発し、公開しました。https://ghanalandusechange.com/
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「ガーナ・カカオ森林ランドスケープ土地利用マップ」が示す2020年時点の土地利用と凡例
ガーナ森林マップは、1980年、2000年、2020年のランドサット画像(Landsat 4-8 Collection 2 Level-2 scene-based data)を使用し、ガーナ・カカオ森林ランドスケープと呼ばれるガーナの森林地帯における各時点の土地利用や土地被覆の状態を、GIS(地理情報システム)を用いて視覚化したものです。リモートセンシングにより対象地を12種類の土地利用に区分し、精度向上のためサンプリングによる地上での調査も実施したことで、40年間の土地利用状況の変化を把握できます。
ガーナの森林被覆に関するGIS情報はいくつかの媒体で公開されていますが、森林だけでなくカカオやその他の農業利用、鉱物採掘や休閑地等12種類にわたる土地利用区分について1980~2020年の40年間の変化を示すデータを無償で公開しているウェブサイトは、WWFジャパンの調査によれば他に例がありません。
日本における最大のカカオ豆輸入先であるガーナで起きているカカオ農園の拡大は、深刻な環境問題を引き起こし、国際的にも注目を集めています。WWFジャパンの調査では、1980年から2020年の間にガーナの森林面積は約259万ヘクタール減少し、その約半分はカカオ農園への転換が原因であることが分かりました。
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左から1980年、2000年、2020年の土地利用変化。緑・黄緑色が森林、赤・ピンク色がカカオ農園。
ガーナにおける森林減少は急速に進行しており、日本企業にはサステナブルなカカオ調達を進めていく責任があります。ガーナ森林マップは、カカオ農園拡大による森林破壊の深刻な状況を示すとともに、企業が持続可能なカカオのサプライチェーンを築くうえでのリスク把握に役立つと期待します。WWFジャパンは、引き続きガーナの森林をモニタリングし、企業の持続可能な調達を支援していきます。
■WWFジャパン専門オフィサーのコメント
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WWFジャパン 自然保護室 森林グループ グループ長 相馬 真紀子
ガーナをはじめとする世界の森林は減少の一途をたどり、待ったなしの状況です。カカオを扱う日本企業には「ガーナ森林マップ」を活用して、カカオ生産がガーナの森林に与える影響を適切に把握し、原材料調達のリスク管理に役立てていただきたいと思います。また、チョコレートを愛する消費者の皆さまには、本マップをチョコレート生産の甘くも苦い現実について知っていただくきっかけとしていただけたら幸いです。
■補足資料
「ガーナ・カカオ森林ランドスケープにおける郡別土地利用変化」(PDF)
■参考資料
※PDFファイルの送付も可能ですので、ご希望の方は以下問い合わせ窓口までご連絡ください。