WWFジャパン、WWFインドネシア、ソニーグループ、SynecOが スマトラ島における森林再生活動への Synecoculture™ の活用を目指したパイロット事業を開始
2024/02/19
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、「WWFジャパン」)、WWFインドネシア(以下、「WWFインドネシア」)、ソニーグループ株式会社(以下、「ソニー」)、株式会社SynecO(シネコ。以下、「SynecO」)は、人の手による植栽の管理が難しいインドネシア・スマトラ島の森林再生地に、生態系が持つ自己組織化機能を活用する農法であるSynecoculture™(シネコカルチャー)を導入し、森林再生活動への有効性を検証するパイロット事業を開始します。
WWFジャパンとソニーは2021年4月から、気候変動および森林保全を通じた生物多様性保全の領域における、3年間のWWFコーポレート・パートナーシップ契約を締結し、健全な地球環境の実現に向けた協働を促進しています。このたび、両者はさらなる連携を進め、生物多様性およびネイチャーポジティブに向けてWWFインドネシアが森林保全プロジェクトを進めている極めて重要な森林地域に、SynecOが普及に取り組んでいるSynecocultureを導入します。地元コミュニティとも協働しながら、2024年末までの約1年間でSynecocultureによる生態系への効果を測定し、活動を通じて長期的に森林周辺のコミュニティに貢献するとともに、多世代にわたって活用されうる森林の存続と、生物多様性の保全の両立をめざします。
パイロット事業の主な内容
WWFジャパンとWWFインドネシアは協力して、熱帯林の破壊により危機にさらされている野生生物や生物多様性の保全に向けて、インドネシア 西スマトラ州 ソロク県 スンガイ・アブ村において森林再生活動を行っています。植栽した木にとって必要な明るさを確保し、生育を助けるためには、4年ほど下草の管理が必要となりますが、活動地は急斜面にあることから、人の手による作業が困難であるという課題がありました。本パイロット事業においては、Synecocultureの考え方に基づく戦略的な植生導入と生態遷移の管理により、急斜面でも効率よく多様な植生の定着を図ります。
また、Synecocultureは多種多様な有用植物も生産するため、地域の主要農産物である米や果実以外で収入を得られる仕組みの構築と住民の生計向上にも取り組み、有効性を検証します。
本パイロット事業では、SynecOがWWFインドネシアおよび現地住民に対して、Synecocultureに関する座学およびワークショップ、圃場の立ち上げに対するコンサルティングやメンテナンス、効果測定の企画・分析などを行います。また、WWFジャパンおよびWWFインドネシアが、パイロット事業実施のための準備全般、特に、コミュニティとの連携や圃場の立ち上げ・管理のほか、効果測定などに必要なデータの収集などを行います。
Synecoculture(シネコカルチャー)について
多種多様な植物を混生・密生させ、豊かな生態系をつくりだし、もともと生態系に備わる物質循環などの自己組織化機能を最大限利用するもので、環境負荷を生む耕起・施肥・農薬を必要としない農法です。
SynecO代表でもあるソニーコンピュータサイエンス研究所の舩橋研究員が提唱する栽培法で、人間活動が積極的に介在する事で自然状態を超えた生物多様性や生態系機能を実現します。また、食料生産だけでなく、環境や健康に与える影響までも包括的に考えられた立体的な生態系の活用法であることが特徴です。
SynecOは、それぞれの土地の風土や気候に合わせた植物の栽培に役立つビッグデータの解析技術や、農園管理に役立つ小型・高精度のセンサー技術など、ソニーの技術を活用したSynecocultureマネジメントシステム※1の構築に取り組み、グローバルに展開することを目指しています。
※1 Synecoculture圃場のみならず、広範な自然環境、そして都市部や住環境にある生態系のデータを収集・評価できるシステム
WWFジャパンとソニー これまでの取り組み
WWFジャパンは人と自然が調和して生きられる未来を築くため、環境保全に関するさまざまなプロジェクトを展開しています。またソニーは、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目指す長期環境計画「Road to Zero」※2を掲げ、環境活動を推進するとともに、1989年より過去30年以上に亘ってWWFジャパンの支援および協働を継続してきました。
WWFジャパンとソニーは、持続可能な未来、脱炭素社会の実現を目指して、今後も継続的に協働していきます。
1989年~ 法人会員入会・社員取り組み連動寄付・商品提供などの支援
1991年 チャリティーセール売り上げの寄付
2006年~ クライメート・セイバーズ・プログラムへの加盟
2011年~ スマトラ森林保全プロジェクトへの支援
2013年~ 「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)」※3へ設立メンバーとして参画
2015年 WWFとの協働の下、Science Based Targets initiative(SBTi)※4の承認を日本企業初取得
2017年 自律型エンタテインメントロボット”aibo”チャリティーオークション売り上げの寄付
2021年 コーポレート・パートナーシップ契約を締結
※2 ソニーが2010年に発表した、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目指す長期環境計画。環境に関わる4つの視点から事業活動と製品のライフサイクル全体を通じた目標を設定し、それに向けて活動しています。なお、2022年5月、気候変動領域における環境負荷ゼロの達成年を2050年から2040年に前倒ししました。詳細はこちら(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr/eco/RoadToZero/gm.html)をご覧ください。
※3 「持続可能な紙利用のためのコンソーシアム(CSPU)」:森林に由来する紙について、先進的な取り組みを行なう企業5社が、環境や社会に配慮した「持続可能な紙利用」が社会全体で拡大、浸透することを目指し、株式会社レスポンスアビリティとWWFジャパンとの協働のもとに、2013年11月に立ち上げたもの。その後5社が新たに参画し計12の企業、団体が参画。
※4 気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5度に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を企業が設定することを推進する国際イニシアチブ
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
WWF は 100 カ国以上で活動している環境保全団体で、1961 年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止のための脱炭素社会の実現に向けた活動を行なっています。
【WWFジャパンウェブサイト】
https://www.wwf.or.jp/
WWF® and ©1986 Panda Symbol are owned by WWF. All rights reserved.
ソニーグループ株式会社
テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニーです。ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融などの事業を展開し、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)としています。
【ソニーグループウェブサイト】https://www.sony.com/ja/
Synecoculture(シネコカルチャー)など拡張生態系に関連した環境技術に特化した事業を推進する、ソニーの100%子会社。ソニーが新たな環境技術を育成する取り組みとして2020年9月に創設したコーポレートベンチャーキャピタル(Sony Innovation Fund: Environment)の第一号案件として設立されました。
【SynecOウェブサイト】https://www.syneco.inc/