国際希少種ミゾゴイの生息地に産業廃棄物処分場は相応しくない!


記者発表資料 2017年8月22日

WWF、日本自然保護協会、日本野鳥の会が共同で、石川県知事に意見書を提出

1.石川県輪島市に計画されている産業廃棄物処分場の建設事業を、県は認可すべきではない。
2.事業計画区域は、国際希少種のミゾゴイをはじめ、生態系の上位にある鳥類5種が生息し、豊かな生物多様性を擁する、非常に重要で希少な地域である。
3.日本の広葉樹の巨木に覆われた湿潤な谷地に繁殖するミゾゴイには、極めて好適な環境で、代替地はない。

公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区 会長:德川 恒孝 以下、WWFジャパン)は、公益財団法人 日本自然保護協会(東京都中央区 理事長:亀山 章)、公益財団法人 日本野鳥の会(東京都品川区 会長:柳生 博)と共に、谷本正憲 石川県知事あてに、同県輪島市門前町大釜に計画されている産業廃棄物処分場建設事業(門前クリーンパーク建設事業)に関して、添付の意見書を本日8月22日に提出いたしました。

門前クリーンパーク建設事業は環境影響評価の縦覧が終了し、現在、石川県による開発許可の段階にあります。3団体は、意見書のなかで「当該事業の認可はするべきではない」とし、同県の生物多様性保全に対する真摯な対応を強く求めています。

事業対象地の位置する能登半島には、さまざまな生きものを育む豊かな自然環境が広がっています。里には、里山の恵みを受けた暮らしと、人々が受け継ぎ守ってきた日本の原風景が残されています。棚田やため池等で形成される里山の景観と、海女(あま)漁、揚げ浜式製塩や里海の資源を活用した伝統技術が受け継がれていることから、2011年には、能登半島の4市5町が「能登の里山里海」として、世界農業遺産に認定されました(世界農業遺産「能登の里山里海」情報ポータルより)。

能登半島が、世界から評価された豊かな生物多様性を有する場所であることは、本事業の環境影響評価の手続きの中でも明らかにされています。現地での環境調査の結果、生態系の上位種である、ミゾゴイ、サンコウチョウ、ミサゴ、ハチクマ、サシバの鳥類5種が確認されています。このことは、これらの種の食料となる両生類、甲殻類、小型鳥類、昆虫類といったさまざまな種が、高密度に生息することを示しており、今や日本でも非常に希少な場所となっています。

ひとたび産業廃棄物処分場が建設されれば、これらの種は生息地を失うことになります。なかでもミゾゴイは、繁殖地が世界でもほぼ日本の山林に限定される、固有種に準じた渡り鳥で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「EN(絶滅危惧種)」に指定されている国際的な希少種です。本事業が計画されている大釜地区は、ケヤキ、スダジイ、ホオノキ等の広葉樹の巨木に覆われた湿潤な谷地で、ミゾゴイの生息・繁殖には不可欠な環境です。計画されている廃棄物処分場は、この地域には相応しくないと考えます。

石川県が、自ら策定した「石川県生物多様性戦略ビジョン」に矛盾することなく、里山里海を中心に据えた生物多様性の保全を、一つ一つの取り組みの着実な実践によって実現していくことを期待します。

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本リリースに関するお問合せ

WWFジャパン C&M室プレス担当:新井 Tel: 03-3769-1714 Email: press@wwf.or.jp 

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