極東ロシアでアムールヒョウの増加を確認
2015/03/03
記者発表資料 2015年3月3日(火)
極東ロシアの沿海地方南部にある「ヒョウの森国立公園」で、2014年2月~4月に実施された調査により、57頭のアムールヒョウの生息が確認された。同地で行なわれた2007年の調査で、約30頭と推定された数字から、大幅な増加となった。この結果は、これまでの保護活動が奏功し、アムールヒョウが絶滅の淵から徐々に回復していることを示している。
世界で最も北に生息するヒョウの亜種アムールヒョウは、「ヒョウの森国立公園」と、国境を接した中国側の保護区周辺にのみ生息し、今も密猟や、森林の劣化、分断に脅かされている。WWFなどのはたらきかけにより、2012年に設立されたこの国立公園には、現在生き残る個体の大半が生息しており、保護上きわめて重要な地域とされてきた。
ここで、2014年2月から4月にかけ、「ヒョウの森国立公園」とロシア科学アカデミー極東支部が共同で実施し、アムールヒョウセンターとWWFロシアが支援して行なわれた、自動撮影カメラを使った生息調査で、57頭のアムールヒョウが確認された。
調査では3,800平方キロにおよぶ、アムールヒョウの主要な生息地で、200機以上の調査用自動カメラを使い、約1万枚の写真を撮影。毛皮の斑紋を識別し、57頭という確度の高い推定値を算出した。
この調査により、若い個体が縄張りを得ていることや、57頭の内少なくとも8~12頭が中国と隣接する地域に生息し、国境を越えて行き来している可能性があることが分かった。
アムールヒョウやシベリアトラの調査保護に取り組んできた、WWFロシア・アムール支部代表のユーリ・ダーマンは「ロシア側と中国側を合わせて70頭のアムールヒョウが生息している可能性がある」と指摘。また、ロシア大統領府長官で、アムールヒョウセンターの理事長を務めるセルゲイ・イワノフ氏は、「次なるステップは、ロシアと中国の国境にまたがる保護区を設立することだ」と述べている。
日本は、アムールヒョウが生息する地域で伐採された木材を、中国経由で輸入している可能性があり、間接的にその保全に関与している。WWFはアムールヒョウ保護のため、生息地での保護調査を継続するとともに、現地の森林保全を推進するため、日本の企業や消費者に対し環境に配慮した木材の調達・購買を働きかけている。
この件に関するお問合せ
WWFジャパン広報室 03-3769-1714 press@wwf.or.jp