また早まりました、今年は8月13日から借金生活スタート
2015/08/13
記者発表資料 2015年8月13日
1年分の地球資源を使いはたす日「アース・オーバーシュート・デー」到来!
国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」は、本日8月13日が、人間による自然資源の消費量が、地球が一年間に再生産できる量をほぼ超えた日「アース・オーバーシュート・デー」であると発表しました。この日をもって、わたしたちはいわばわずか8か月足らずで今年1年で再生産できる分の資源を使いはたしたということになり、2015年の残りの期間は、地球がもたらす生態系サービスを"赤字状態"で未来世代からいわば前借して使っていくことになります。「アース・オーバーシュート・デー」は年々早まっており、2000年には10月上旬であったのが、今年は昨年2014年に比べても4日早い到来となりました。
アース・オーバーシュート・デー (2015年の最新データに基づく) | |
---|---|
2012年 | 8月23日 |
2013年 | 8月20日 |
2014年 | 8月17日 |
「アース・オーバーシュート・デー」は、人間が地球の許容量を超えて資源利用していることを一般の人々に広く知らせ、改善をうながすことを目的に、「グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)」が毎年設定しているもので、人間の自然資源に対する需要と環境への圧力をしめす「エコロジカル・フットプリント」のデータを基に、日にちを算出しています。
WWFが設立された1961年の時点では、人間は地球が供給可能な生態学的資源の3分の2しか消費しておらず、人間が環境に与える負担「エコロジカル・フットプリント」は小さく、持続可能なものでした。
しかし、人口と需要は世界的に増加しつづけており、1970年代初頭には、温室効果ガスの排出と海や森からの資源需要量が増大し、地球の生物生産力(バイオキャパシティ)を上まわりました。
とりわけ大きな負担になっているのが、特に化石燃料の利用によって排出された二酸化炭素(CO2)による環境負荷をしめす「カーボン・フットプリント」で、「エコロジカル・フットプリント」の50%以上を占めています。
「現在でもカーボン・フットプリントは急速に伸び続け、エコロジカルフット・フットプリントとバイオキャパシティの差を拡大し続けている大きな要因である。」と、GFNの代表で、エコロジカル・フットプリントの算出手法の共同開発者であるマティス・ワケナゲルは述べました。
年末にフランス・パリで開催される国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、世界の平均気温の上昇を、産業革命前の水準と比べて2度未満に抑えられるIPCCシナリオと整合的な合意がされることが期待されています。
IPCCのシナリオに沿って、二酸化炭素の排出量を、現在の水準から少なくとも30%減らせば、アース・オーバーシュート・デーは、2030年には9月30日にまで遅らせることが出来るとGFNは推計しています。
- ※エコロジカル・フットプリントのその他の構成要素は、現在の状態のまま拡大を続けると想定する。
人間の消費が、森林や水産資源、陸上生態系や水域、そして生物多様性に与えている影響は甚大なものであり、このままの生活を続けていくと2030年にはアース・オーバーシュート・デーは6月末に到来してしまうかもしれません。
WWFは、浪費的な消費を削減して生物多様性を守り、人と自然が調和して生きる未来を築くことを目的に、再生可能エネルギーへの転換や、「FSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)」「MSC(海洋管理協議会)」の認証制度の普及などを通じた自然資源の持続可能な利用を呼びかけています。
関係者のコメント
WWFジャパン 日本のエコロジカル・フットプリント担当 清野 比咲子(きよの ひさこ)
日本の1人当たりのエコロジカル・フットプリントは、世界平均と比べ1.5倍です。もし、世界の人々が日本人と同じような生活を送ると、地球が2.3個分も必要になります。
地球が1年間に生産可能な資源量以上に人間が消費してしまえば、やがて取り返しがつかないことになります。健康で文化的な生活を維持しながら、環境負荷の少ない持続可能な社会へ、日本が世界の手本となるように、地球1個分の暮らしを一緒に始めましょう。
参考資料
グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)とは
持続可能性の指標である「エコロジカル・フットプリント」の発展・普及を通じ、持続可能な経済の構築を目指すNPO団体。パートナー団体と協力してさまざまな調査研究・方法論の標準化を図り、経済活動が地球生態系の許容範囲内で行われるよう、資源勘定(バランスシート)の提供を通じて政策決定者へ提言している。
この件に関するお問合せ
WWFジャパン広報室 Tel: 03-3769-1714 / press@wwf.or.jp
グローバル・フットプリント・ネットワーク日本支部(沖縄):伊波克典研究員
メール:Katsunori.Iha@footprintnetwork.org