「東京都環境基本計画」は、COP21パリ会議に向けた力強いリーダーシップ 国は自治体の先駆的な温暖化対策に学ぶべき


WWF声明 2015年11月20日

WWFジャパン(世界自然保護基金)は、本日、東京都によって発表された、新しい「東京都環境基本計画のあり方について(中間のまとめ)」を歓迎します。

2008 年に策定された東京都の環境基本計画では、日本で初めてのキャップ・アンド・トレード制度を導入するなど、先進的な政策が実施されてきました。しかし、さ らなる気候変動の進行や、資源制約などの地球規模の問題が顕在化する中、2020年のオリンピック・パラリンピック大会とその後を見据え、このたび抜本的 に改定が行なわれました。

東京都の新しい環境基本計画の中で、WWFジャパンは、特に下記のリーダーシップを歓迎しています。

(1)2030年の温室効果ガス削減目標を30%(2000年比)と設定したこと

  • 国と同じ基準年である「2013年比」にすると38%の削減となり、国の26%削減目標をはるかに上回る

(2)目標達成のための施策の具体的なロードマップを描いていること

  • 省エネルギーの目標設定とキャップ・アンド・トレード制度などの具体的な施策の深化
  • 都民が再エネ電力を選択する仕組みなどを通じて、低炭素エネルギーの導入を供給側に働きかける

(3)気候変動の影響に対する適応計画が位置づけられたこと

  • これまで、温暖化対策とはうたわないまでも、猛暑や水害など異常気象への対応が事実上の「適応策」として行なわれてきた。今回は、深刻化する気候変動への「適応策」として、公式に位置づけられている

上 記は、いずれも自治体が国に先んじて行動を起こすリーダーシップを示すものです。資本金100億円以上の企業830社が集積している東京都において、都が 国を上回る削減目標を掲げ、自主的な行動計画に頼らない、具体的な政策・施策で温暖化対策を進める計画を示すことの意義は大きいといえます。

ま さにCOP21を控えた今、都市が率先して意欲ある計画を掲げ、実効性のある取り組みを行なっていくことは、世界の温暖化対策の機運を盛り上げることにつ ながります。今後は、再生可能エネルギーに関する野心的な目標値の設定と支援策の実施など、さらなる取り組みの強化が期待されます。

東京都 の他、日本には長野県や京都府など、国をはるかに上回る削減目標を持つ温暖化計画を掲げる自治体も見られます。政府の温暖化対策が決して野心的とは言えな い中、日本はこれら自治体の実効性のある取り組みに力を得て、COP21において実効力のある合意が可能となるように注力し、合意が成立した後には、すみ やかに国内対策の計画を策定することをWWFは求めます。

■お問合せ先 : WWFジャパン気候変動・エネルギーグループ Tel:03-3769-1713/climatechange@wwf.or.jp

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