プラスチック国際条約の成否を決定づけるINC-4開催に際し、各国が世界共通の法的拘束力あるルール作りを推進することに期待するとともに、日本政府には不必要なプラ禁止を含めた条約規定への明確な支持を求める
2024/04/17
2024年末までのプラスチック汚染を根絶するための国際条約文書制定に向け、2024年4月23日から29日にかけてカナダ・オタワで、第4回政府間交渉委員会INC-4が開催される。
WWFの声明ポイントは以下の通り:
- WWFの分析によると、前回の第3回政府間交渉委員会(INC-3)では多くの国が問題あるプラスチックの国際的な禁止や段階的禁止を支持するなど、野心的で法的拘束力のある国際ルールに賛成している。
- 世界の市民も国際的禁止を支持。WWFが世界32カ国の市民を対象にした意識調査では、85%が、不必要な使い捨てプラスチックを世界共通ルールに基づいて禁止することが重要と回答した。
- INC-4を含めて条約制定までに残される交渉の機会は残り2回で、今回のINC-4は、プラスチック国際条約の成否を決定づける重要な機会となる。各国に禁止等の優先分野で、世界共通の法的拘束力あるルール作りを推進することを期待するとともに、日本政府には総量削減を含めた条約規定への明確な支持を求める。
WWFが、INC-4で議論される改訂ドラフトの策定にあたっての各国政府からの提出意見を分析したところ、多くの国が、最も危険で回避することのできるプラスチックや有害化学物質の国際的な禁止や段階的禁止を支持するなど、ライフサイクル全般に渡り野心的で法的拘束力のある国際ルールへの賛同が集まっている。
日本も署名した、プラスチック汚染を終わらせる高野心連合のINC-4共同大臣声明でも、一次プラスチック(バージンプラスチック)の生産と消費を持続可能な水準まで削減し、不必要で避けることのできる「問題ある」プラスチックを根絶・制限するために、法的拘束力のある共通の国際ルールや管理措置が必要であると改めて強調している。
また、WWFとプラスチックフリー財団が2024年4月11日に公開した世界32カ国24,000人に実施した意識調査によると、87%がプラスチックの生産量を国際的に削減することが重要、85%が不必要な使い捨てプラスチックを世界共通ルールに基づき禁止することが重要であると回答した。
WWFは、大部分の使い捨てプラスチックは不必要で、直ちに禁止することや段階的禁止が求められると考えている。今地球は、温暖化、生物多様性の損失、汚染という三重危機に瀕している。プラスチックの大量生産・大量消費を続けることは、この全ての危機を悪化させることになる。
ついては、WWFは日本政府に対し、この地球の三重危機を克服するためにも、署名した高野心連合の共同大臣声明の趣旨に沿いつつ、プラスチック汚染の解決に最もインパクトのある以下の3つの優先事項を条約文書に確実に盛り込むことを明確に支持し、他国にも働きかけていくことを呼び掛ける。
- 一次プラスチックの持続可能な水準への削減
- 危険性があり現実的に根絶可能な使い捨てプラスチックの国際的な禁止
- 削減・リユース・安全なリサイクルを可能とする製品設計と性能の国際的な要求
以上
WWFインターナショナル 総裁 Adil Najamのコメント
プラスチック汚染は低所得国、中所得国にとりわけ大きな負担を与えているが、これはプラスチック廃棄物がこれらのコミュニティにもたらす被害に、高所得国が責任を持たないでいいということではない。国際調査で大多数が世界共通の法的拘束力のあるルールを支持していることからも、それは明確だ。世界中の多くの人々が、自主的な対策に限界を感じている。各国のリーダーたちは、市民の声を行動に移すべきだ。
WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢行弘のコメント
INC-4で何が決まるかにより、条約の成否が決定づけられることになる。多くの国が参加できる条約を作ることはもちろん大切なことだが、この条約が、各国が自由に決められる規制を寄せ集めたものになれば、地球の三重危機を回避するどころかさらに悪化させていくことを意味する。日本政府には、バージンプラスチックの削減、問題あるプラスチックの禁止、リユースを可能とする製品設計やインフラ構築を、世界共通の義務的ルールとして条約に規定するために、安易に妥協することなく交渉に臨んでほしい。