防衛省による高江ヘリパッド建設工事の強行に強く抗議する
2010/02/24
声明 2010年2月24日
防衛省沖縄防衛局は、2月18日より、沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設予定地において、建設中止を訴える住民の声を無視して工事を強行している。
6か所の巨大なヘリパッド建設予定地は高江の集落を取り囲むように位置し、住民の生活に大きな危険と不安をもたらすだけでなく、多くの固有種が生息し生物多様性に富む「やんばるの森」の環境も大きく悪化させることになる。
WWFジャパンは、防衛省の高江ヘリパッド工事強行に抗議するとともに、建設計画の中止を強く要請する。
那覇防衛施設局(当時)の「環境影響評価図書(2006年)」によれば、ヘリパッド建設予定地とその周辺で、4,000種をこえる野生生物が記録されている。
そのうち12種の植物、11種の動物が地球上で沖縄島だけに生育・生息する固有種・固有亜種であり、また、絶滅のおそれのある種が177種(環境省レッドリスト)、188種(沖縄県レッドリスト)も含まれている。これは「学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと」という世界自然遺産の選定基準を満たしている。
IUCN(国際自然保護連合)の世界自然保護会議(アンマン2000年、バンコク2004年)では、沖縄島「やんばるの森」にのみ生息するノグチゲラ・ヤンバルクイナとその生息場所の保全を日米両政府に勧告している。
日本政府には、生物多様性と絶滅のおそれのある種の保全計画を作成すること、自然遺産への指名を検討すること、保護区を設置すること、ヘリパッドを造らない選択(ゼロ・オプション)を含む環境アセスメントを実施すること、米国政府に対しては、米軍の環境管理基準をもとに野生生物保護の観点から日本政府と協議すること、日本政府の環境アセスメントに協力することを勧告している。
東村高江は、人口が約160人、そのうち中学生以下が約20人の小さな集落である。住民を軍用機の爆音や墜落の危険にさらすことは、基本的人権を無視し平和で健康な生活を保障する日本国憲法に背くことになる。
鳩山内閣は、環境、人権、平和を守ることを最優先にし、高江のヘリパッド建設を中止するべきである。
この件に関する問い合わせ先
WWFジャパン自然保護室 花輪伸一
TEL.03-3769-1713 FAX.03-3769-1717 E-mail : hanawa@wwf.or.jp