日本の自然エネルギーの拡大を!固定価格買取制度に意見
2012/06/01
2012年7月からいよいよ始まる、電力の「固定価格買取制度」。この制度の中身を決める、重要な議論が今政府内で進められています。WWFジャパンは2012年6月1日、資源エネルギー庁が発表した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の施行に向けた主要論点」に対し意見提出。地球温暖化の防止と未来の世代のためになる制度の運用を求めました。
地球温暖化対策の「切り札」
東日本大震災以降、日本政府は原発への依存度を下げる方向性を打ち出し、現在、新しいエネルギー政策をつくるための議論が続けられています。
原子力に頼らず、地球温暖化の脅威にも対応できる、安全で安心なエネルギー社会を築いてゆくためにはどうすればよいのか。取り組みに必要な大きな柱の一つが、太陽光や風力といった、再生可能な自然エネルギーの大幅な普及です。
その拡大の鍵となるの「固定価格買取制度」。2011年に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生エネ買取法)」により導入されることになった制度です。
ヨーロッパなどでは、温暖化対策の主要な政策として早くから導入され、WWFが2008年から日本国内でもその成立を求めてきました。
2012年7月から開始される、この「固定価格買取制度」は、電力会社に対し、個人を含む事業者が自然エネルギーで発電した電力を、「決まった価格」で買い取ることを義務付けるもの。発電する側にとっては、安定した収入が見込めるため、長期的な視野に立った設備投資や計画を考えることができます。
棚上げされた「価格」と「期間」
しかし、この法律が成立した時点では、買い取りの義務だけが決められ、いくらで、どれくらいの期間買い取るのか、といった、肝心な数字については、合意されませんでした。
そして今回、その具体的な議論をまとめた「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の施行に向けた主要論点」が、資源エネルギー庁新エネルギー対策課から発表されました。
ここで設定する価格があまり高いと、電気料金に反映される国民の負担が高くなってしまいます。反面、安すぎれば、発電することのメリットが減じてしまうため、自然エネルギーの普及は期待できません。
今回の「主要論点」の中で、買取価格・期間などをどのように定めるかが、「固定価格買取制度」の効果を、大きく左右することになるのです。
真に効果のある制度とするために
WWFジャパンは、2012年6月1日に資源エネルギー庁新エネルギー対策課に提出した、この「主要論点」に対する意見(パブリックコメント)の中で、国民の負担に配慮しつつも、草の根の再生可能エネルギー事業がきちんと成立するような適切な買い取り価格の調整が重要であることを、あらためて強調しました。
再生可能な自然エネルギーは、温暖化防止の切り札であるだけでなく、いったん普及させれば、枯渇することなく、半永久的に使えるエネルギーです。燃料価格が高騰を続けている石油などの化石燃料に、高いお金を払い続けていく必要もなくなり、長期的には高い価値を持つエネルギーといえるでしょう。
政府は、今回のパブリックコメント終了後、順次、政省令や告示により、固定価格買取制度の内容を規定します。この制度が、温暖化防止につながり、未来の世代のためになる制度として、機能するようになることが望まれます。
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調達価格及び調達期間等、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の施行関係事項に関するパブリックコメント