密猟を防げ!インドで「タイガーネット」がスタート
2010/01/20
絶滅の危機にある自国のトラを密猟から守るため、インド政府は新しいウェブサイト「タイガーネット」を立ち上げました。このサイトは、保護区のレンジャーなどが、トラの密猟や保護に関する情報を記録・共有するためのもので、透明性が高い確実な情報を、保護活動に役立てることを目的としたものです。
インドのトラを守れ!
インドはこれまで、世界で最も多くのトラが生息する国とされてきました。しかし、近年の調査によれば、インド国内でもトラは減少していることが明らかになっており、その推定個体数は、最大でも約1,600頭あまりとみられています。
保護区の設立や、トラの毛皮、骨など(伝統薬の原料とされる)の取引規制といった保護活動が、今も行なわれていますが、密猟や密輸は跡を絶たず、保護区の十分な管理もままならない地域が多くあります。
そのような中で、インド政府の国立トラ保護当局(National Tiger Conservation Authority (NTCA)が、新しいウェブサイト「タイガーネット」を公開しました。
このサイトは、インドのトラ保護区の責任者や野生生物の調査員などが、入手したトラの死亡や密猟、そのパターン、押収した骨や毛皮になどに関する重要な情報を、それぞれ入力し、共有することを目的としたものです。
情報戦で密猟と戦う
今回のサイトの開設については、野生生物の国際取引を監視する国際団体トラフィック・ネットワークも、支援を行ないました。各地で起きる密猟への対策を支援するには、トラの死亡や密猟に関する、正確な情報を集めることが欠かせないからです。
新しく始まった「タイガーネット」の取り組みは、保護の現場のスタッフのみならず、それを取り締まる法律の執行担当官にも、関係した情報を提供することを可能にするため、実際の密猟対策の強化にもつながります。
また、これまでにも、インドでは、トラの死亡や密猟をめぐる情報や報告が共有されてきましたが、その扱いや正確性についての疑問や、当局の情報とNGOの情報の間にみられる相違など、久しく問題点が指摘されていましたが、これらの解決にも役割を果たすことが期待されます。
この「タイガーネット」、トラや、トラの保護区内に生息する、さまざまな野生生物について、現場からの情報をとりまとめた、最初の統合されたデータベースとして、今後の活用が注目されます。
関連情報
より詳しい記事はこちら
2010年1月7日 トラフィック イーストアジア ジャパンのサイト
「タイガーネット」について
http://www.tigernet.nic.in
インド国内のトラの死亡、密猟等に関する情報を提供する「タイガーネット」。
情報はウェブサイト上で公開されるが、情報の入力は、ログインできるフィールドで活動する担当責任者や主任野生生物監視員に限られる。