モニタリングサイト1000交流会が開催されました


北海道根室市で、第7回モニタリングサイト1000交流会が開かれました。この交流会は、日本の干潟に飛来するシギやチドリなどの渡り鳥の調査にたずさわる人たちが集い、国内各地の干潟の状況と、北海道内の調査結果、また、数値データだけでは掴めない渡り鳥の渡来地の現状などを共有するため、開催されたものです。

日本の渡り鳥の現状を見つめて

日本各地の沿岸に広がる干潟や砂浜を、主に春秋の季節に訪れる、シギやチドリなどの渡り鳥。

このシギ・チドリ類は、秋になるとはるかシベリアから飛来し、干潟でゴカイやカニ、貝などの小動物を食べ、さらに東南アジアやオーストラリアの海辺へと飛び立ってゆきます。

シギやチドリが多ければ、その干潟は生きものが豊かな証。渡り鳥は、海辺の自然の豊かさをはかる、一種の「ものさし」というべき存在です。

この渡り鳥を全国的に調査(モニタリング)する、環境省の事業「モニタリングサイト1000」の交流会が、2010年11月6日、北海道根室市の春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターで、環境省とNPO法人バードリサーチの主催により、開催されました。

この交流会は、今回で第7回目となり、正式名称を「モニタリングサイト1000海域・干潟分野シギ・チドリ類等個体数変動モニタリング調査交流会」といいます。

交流会には、日本各地で調査されている渡り鳥の飛来地(モニタリングサイト)の調査員約40名が集合。全国調査の実施目的や、結果、課題等を確認し、調査体制を向上させるための意見交換を行ないました。

また、調査員からは、北海道の主要な調査地の現状についても紹介してもらい、数値データだけでは掴めない渡来地の状況も共有しました。

渡り鳥を守ることで、日本の沿岸の自然を守る

WWFジャパンではこれまで、「モニタリングサイト1000」の前身となる環境省の事業「シギ・チドリ類個体数変動モニタリング調査」の頃から、各地域で実際に調査にたずさわる調査員やNGOの協力を得て、全国のシギ・チドリ類の調査体制の確立に取り組んできました。

その成果もあり、2003年から開始された「モニタリングサイト1000」の中で調査対象としている、さまざまな渡り鳥の中でも、シギ・チドリ類は最も早く調査体制が確立された項目の一つです。

今回の交流会には、WWFジャパンのスタッフも参加し、調査の結果を渡り鳥や干潟の保全策に応用するための、シギ・チドリ類ネットワークの紹介を行ないました。 このネットワークは、正式名を「東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク」といい、日本を含む東アジアからオーストラリアまでを範囲とした、渡り鳥の飛来地の保全に、国境を越えて取り組む、国際的な枠組みです。

日本では、春秋、冬季を含めたシギ・チドリ類の全国的な調査が行なわれるようになってから、すでに10年が経過しており、調査データも蓄積されてきたことから、こうしたデータが、国内外の渡り鳥の渡来地の保全に応用されることが期待されています。

WWFとしても、国際的な保全のネットワークである、「シギ・チドリ類ネットワーク」と連携しつつ、日本に飛来するシギ・チドリ類とその生息地の干潟をどう保全するか、今後の課題に取り組んでゆきます。

 

関連リンク

モニタリングサイト1000

 
モニタリングサイト1000交流会
モニタリングサイト1000交流会2

日本の沿岸域を訪れるシギ・チドリのなかま


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北海道の鵡川河口(むかわ市)からの発表

モニタリングサイト10004

交流会が開かれた翌日には、風連湖でのエクスカーションがありました。


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風蓮湖・春国岱は、シギ・チドリ類ネットワークの国内9番目の新たな参加地。また2010年で、「ラムサール条約」登録5周年を迎えました。

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