森林の保全
2009/09/14
恵みの森、その保全と持続的な利用をめざして
現在、世界の森林は、1分につきおよそ25ヘクタールずつ失われているといわれています。年間では約13万平方キロ。北海道と九州を併せたくらいの面積の森が、無くなっているということになります。
経済的な効率を優先するあまり、環境に配慮せず、木材が過剰に利用されているため、世界各地では、破壊的な森林伐採が行なわれているのです。
この破壊を今すぐにも止めなければ、何百万人という人々や、鳥、動物たちがすみかを失うことになるでしょう。また、数知れない樹木や、草花が失われ、ひいては地球の気候にまで大きな影響を及ぼしかねません。
WWF は、1962年に最初の森林保護プロジェクトをマダガスカルで展開して以来、約50年にわたって世界各地の森林保全に取り組んできました。 残されている森を守ることはもちろん、生活のために必要とする木材や紙を人間が森林環境に配慮しながら利用する、WWFでは今、そんな仕組みづくりに取り組んでいます。
木材消費大国・日本の課題
2000年から2010年までのおよそ10年間に、実に日本の国土の3.4倍に当たる熱帯の天然林が消失しました。
世界でも屈指の木材輸入・消費大国である日本の消費者が、森林環境に対する意識を持つか持たないかは、世界中の森林保全に大きな影響を及ぼすといえるでしょう。
日本が木材を輸入している国の森林を、消失や劣化から守るためには、原産地で環境や社会的な問題がおきていないかどうかを確認していくことが大切です。
また、荒廃してしまっているところの多い国内の植林が整備され、国産の森林資源が適切に管理・利用されるようになれば、日本に木材を輸出している国における自然林や原生林の乱伐採を防ぐことにもつながります。
持続的な森林の利用
世界の森林環境を、具体的かつ現実的に進めていくためには、ただ伐採や破壊に反対するだけではなく、環境を保全しながら、森林資源を持続的に利用してゆくことが必要です。WWFはそのための社会的な仕組みである、「森林認証制度」の普及と推進に力を入れています。
責任ある林産物の調達を推進
WWFジャパンは、木材や紙を主力商品として取り扱う企業や、環境配慮を標榜する企業や公共団体に対し、使用する木材や紙の原料がどこの森林から伐り出されたかを確認し、それを確実にトレースすることで生態系に配慮した木材製品や紙を扱うことを促す「責任ある林産物の調達」の策定を提案しています。
FSCの森林認証制度の推奨
FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)は、木材を生産する森林、そしてその生産、加工の方法を認証する国際機関の一つです。FSCは、森林環境保全に配慮し、地域社会の利益にもかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材を認証するだけでなく、このFSCのマークが入った製品を買うことで、消費者も世界の森林保全に間接的に関与できる仕組みです。WWFは、世界的な持続的な森林の利用を推進するため、その普及と推進に取り組んでいます。
破壊的/違法な伐採の防止
安い木材を入手するため、またコストをかけずに農場や牧場、紙パルプを生産するための植林地を開拓するために、世界の各地で違法な森林伐採や、放火による森林火災が頻発しています。日本の国内でこのような問題が起きていなくても、日本が輸入し、利用している木材や農産品などには、少なからず森林を犠牲にした方法でされた製品が含まれています。
WWFジャパンは、木材の原産国において、木材や紙パルプの生産国における保護価値の高い森林(HCVF)の伐採や違法伐採を防止し、貴重な森林を保全するための活動に取り組んでいます。
インドネシアでの取り組み
大小の島々からなるインドネシア。かつてはうっそうとした熱帯林に覆われたこの国の島々でも、今では大規模な森林の伐採が行なわれ、原生の姿をとどめている場所は、きわめて希になっています。日本は、インドネシアから大量の木材を輸入する国の一つ。WWFジャパンは、スマトラ島中部のテッソ・ニロをはじめとするインドネシアの各地で、森林保全をサポートするためのさまざまな活動を支援しています。
地球から、森がなくなってしまう前に。
森のない世界では、野生動物も人も、暮らしていくことはできません。私たちと一緒に、できることを、今日からはじめてみませんか?