クライメート・セイバーズ・プログラム
2010/01/02
パリ協定が発効し、世界は平均気温の上昇を2度未満に抑えることを共通の目標として温暖化対策を進めています。WWFは、先進的な環境対策を進めている世界の様々な企業に、パリ協定の目標と整合した温室効果ガスの削減に取り組み、その業界における地球温暖化対策推進リーダーとしてより大きな役割を果たしてもらうプログラム"クライメート・セイバーズ"への参加を呼びかけています。
企業に期待される貢献
地球温暖化の原因となるCO2は、企業活動の様々な側面から排出されます。製品や原材料の生産や加工過程をはじめ、輸送における燃料の使用や、販売やオフィスワーク、製品使用時の電気使用もCO2排出源となります。
現在、日本におけるCO2排出量のうち約8割が企業・公共部門から排出されており、このことは、企業が大きな責任を持っているというだけでなく、温暖化問題の解決において、鍵となる役割を果たすことができる可能性を示唆しています。
クライメート・セイバーズ・プログラム
クライメート・セイバーズ・プログラムは、WWFと企業がパートナーシップを結び、企業の排出削減の計画策定とその実施を進めていくプログラムです。企業は、WWFとの対話を通じて「2度未満」と整合した削減目標を掲げ、その達成に向けた取り組み状況を、WWFと第3者機関が検証します。
現在、このプログラムには、アルプロ、インリーソーラー、エイブリィ・デニソン、キャタリスト、コカ・コーラ、ザンテラ・パークス・アンド・リゾート、ジョンソン・エンド・ジョンソン、シールドエアー、スイスポスト、スプリント、ソフィデル、ナショナル ジオグラフィック、ノベリス、ボルボ、レゴ、万科(Vanke)、H&M、HP Inc.、P&G、SKFが参加しています。日本からは、ソニー株式会社が参加しています。
クライメート・セイバーズに参加するためには
- 企業とWWFが話し合いの上、「2度未満」と整合した温室効果ガスの削減目標を策定します。Science Based Targets(※)に沿ったかたちで、自社の事業範囲における排出(Scope 1,2)、そしてその上流・下流における排出(Scope 3)について目標を設定します。
- 原則として、策定した目標はScience Based Targetsに申請し、承認を取得します。
- 策定した目標に対する進捗状況について、毎年WWFと第3者機関が検証・評価を行ないます。
- 削減目標や毎年の進捗確認の実施などについて、事前に協定(覚書)を結びます。
※ WWF、CDP、国連グローバル・コンパクト、そして世界資源研究所(WRI)によるグローバルな共同イニシアチブで、科学的に見て「2度未満」と整合した削減目標の設定を企業に推奨
クライメート・セイバーズに参加している国内外の企業の取り組み事例
現在、世界ではさまざまな企業が、温暖化防止に向けた積極的な取り組みを行なっています。
クライメート・セイバーズへの参加企業募集
WWFジャパンでは、地球温暖化対策推進リーダーとして、WWFとともに温室効果ガス排出削減に率先して取り組むクライメート・セイバーズに参加する企業を募集しています。
クライメート・セイバーズにご関心を持っていただけた場合は、お気軽にお問い合わせください。
お問合せ
WWFジャパン・気候変動担当 池原庸介/山岸尚之/小西雅子
Tel: 03-3769-3509 / Fax: 03-3769-1717
Email: climatechange@wwf.or.jp
日本のクライメート・セイバーズ
ソニー
ソニーとWWFは、2006年7月25日、「クライメート・セイバーズ・プログラム」に共同で取り組むことを発表。正式に契約を取り交わしました。 日本の多国籍企業としては初めてのクライメート・セイバーズとなりました。2010年度までに基準年(2000年度)と比べ温室効果ガスを7%削減することを目標に取り組みを進めた結果、目標を無事達成しました。
2015年度に向けた第2期では、温室効果ガスの排出量を基準年(2000年度)比30%削減する目標を掲げ、実績としては、目標を大きく上回る41%削減を達成しました。
現在は、2020年度に向けた第3期における排出削減に取り組んでいます。第3期の目標は、日本企業として初めてScience Based Targetsから認証を取得した意欲的な削減目標です。
ソニー 関連情報
ソニーが12社目の「クライメート・セイバーズ」に(2006年7月25日)
ソニーとWWFは2006年7月25日、「クライメート・セイバーズ・プログラム」に共同で取り組むことを発表。「2000年をベースに、2010年までに温室効果ガスを7%削減する」という目標を明らかにしました。企業による温室効果ガス削減の取り組みを、WWFと第三者機関が検証する「クライメート・セイバーズ・プログラム」の参加企業は、ソニーで12社目となります。
12社目のクライメート・セイバーズ
ソニーとWWFは、2006年7月25日、「クライメート・セイバーズ・プログラム」に共同で取り組むことを発表。正式に契約を取り交わしました。
クライメート・セイバーズとは、WWFが2000年に開始したプログラムで、企業が掲げた具体的な温室効果ガス削減の目標と取り組みを、WWFと第三者機関が検証する、というもの。温暖化防止に向けた企業の取り組みに、信頼性と透明性を加えることが、最大の特徴です。
これまでに世界から参加していた11の企業に続き、12社目として参加したソニーは、日本の多国籍企業としては初めてのクライメート・セイバーズとなります。
ソニーは今回、数年間にわたり測定してきた自社の温室効果ガスの排出量を基に、株式会社システム技術研究所による排出削減のためのアドバイスを受け、「2000年をベースに、2010年までに温室効果ガスを7%削減する」という目標を掲げました。さらに、クライメート・セイバーズとしては初めて、製品そのものから出る二酸化炭素の排出量についても、削減に向け努力することを明らかにしました。
取り組みの可能性と責任の大きさ
今回の取り組みに際しての、実際の排出量の検証は、ISOの認証機関であるBVQIが行なうことになっています。
また、ソニーは「気候変動による悪影響を防ぐためには、今後、地球の平均気温の上昇を、産業革命以前と比べ、2度未満に抑えることが必要である」という認識についても、WWFと共に確認しました。
すでに、このわずか100年の間に、平均気温はすでに0.6度も上昇しており、今後さらに上昇することが懸念されています。その背景にあるのは、増え続けるエネルギーの使用量と、それを支える石油などの化石燃料の消費に他なりません。
世界各地に生産拠点を持ち、業績の向上も見込まれているソニーが、今回7%の排出削減目標を持ったことは、画期的なことといえます。WWFでは引き続き、日本をはじめ、世界各国で、クライメート・セイバーズ・プログラムの拡大をめざしてゆきます。
記者発表資料 2006年7月25日
ソニーとWWFがクライメート・セイバーズ・プログラムに合意「2010年までに温室効果ガス7%削減」に向け本格始動
日本・東京発/スイス・グラン発:ソニー株式会社(以下、ソニー)とWWF(世界自然保護基金)は本日、地球温暖化防止に取り組む「クライメート・ セイバーズ・プログラム」(*1)に協同して取り組むべく、正式に合意いたしました。この協定は、ソニーの世界中のグループ会社(生産拠点を含む)の事業 活動を含んでいます。
当プログラムでソニーは、「2000年の排出量2,183,765トンをベースに、2010年までに温室効果ガスを絶対量で7%削減する」という目標を掲げています。
ソニーはすべての事業所においてエネルギー効率を高め、燃料を石油から再生可能エネルギーや、温室効果ガスの排出が少ない天然ガスに転換すること によって、この目標の達成を目指します。また特定の生産プロセスで使用する温暖化係数の高い温室効果ガスを、より温暖化係数の低いガスに転換する試みにも 取り組みます(*2)。
ソニーのコーポレート・エグゼクティブ SVP の原直史は、今回の協定内容について次のように述べています。「ソニーは、協定内容の達成に向けて、ソニーグループ全体で取り組んでまいります。また、今 回のWWFとのパートナーシップをはじめとして、今後も幅広いステークホルダーの皆様との協力のもと、地球温暖化防止の活動を推進してまいります。」
さらにWWFとソニーは、製品の年間消費電力量を削減することにより使用時のCO2の排出を削減するとともに、温暖化問題に関して消費者とのコミュニケーションを実施することにも合意しています。
WWFインターナショナル気候変動ディレクターのジェニファー・モーガンは,「ソニーは、企業の社会責任にここまで踏み込んだ日本で最初の電機メー カーです。ソニーは、お客様のため、ソニーのビジネスのため、そして地球の未来のために、エネルギー効率改善を通して最大限の努力をする意志があります」 と高く評価しています。
また、ソニーは、気候変動による悪影響を抑えるためには、気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることが必要である(*3)というWWFの見解を支持しています。WWFは、各国政府と産業界が行動をともにすれば、これを達成することが可能であると考えています。
WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムは、先進的で最先端の企業にとって、市場で競争力のある製品と新しい戦略を展開する画期的な方法です。
*1クライメート・セイバーズ・プログラムとは,WWFが2000年にスタートさせた取り組みで、参加企業に、既存の目標に対してさらに一歩進ん だ、絶対量での温室効果ガス削減目標を掲げてもらい、WWFと第三者機関による検証を受けるもの。この検証によって、企業の自主的な取り組みに、信頼性と 透明感が加わるのが、このプログラムの最大の特徴。
*2CO2が温暖化をもたらす最大の原因のガスである。その他の温室効果ガスには,メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロ カーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)がある。ソニーはこれらの温室効果ガスも削減していく。
*3過去100年で地球の平均気温は0.7度上がった。温暖化の影響は、すべての大陸における氷河の急速な融解、海面上昇,雨季の変動、広大な干ば つ、台風の強大化など、すでにさまざまな形で現れている。大気中における二酸化炭素などの温室効果ガスの濃度が上がるにつれて、平均気温が上昇している。 この気温上昇は,人為的な原因で起こっていると信じるに足る科学の証明があり、その影響は深刻になる一方である。2004年には,280億トンの温室効果 ガスが排出された。産業革命前に比べて2度以上の気温上昇が起こると、人類や自然に対する影響を制御することが不可能になる可能性があり、そうなれば社会 的、経済的ダメージは避けられない。地球温暖化を2度未満に抑える必要があるという見解は、欧州連合をはじめとする多くの政府に支持されている。
参考
*ソニーとWWFジャパンは、地球温暖化問題に関して、過去に、グリーン電力証書システム立ち上げの推進や、京都議定書発効記念イベントなどを共に 行っております。今回のソニーのクライメート・セイバーズ・プログラム参加によってさらにWWFとの協力体制が強化されました。
ソニー CSR・環境活動ウェブサイト:http://www.sony.co.jp/csr
WWFクライメート・セイバーズ・プログラムの更新目標をソニーが発表(2009年11月20日)
2009年11月19日、WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムに参加している、ソニー株式会社は、2011年以降の新たな温室効果ガスの削減目標を発表しました。
このクライメート・セイバーズ・プログラムは、企業がWWFとパートナーシップを結び、温室効果ガスの排出削減計画を立て、それを実施するプログラムで、その企業が業界トップレベルの総量削減目標を掲げ、その実行をWWFが認めた第三者認証機関が検証してゆく取り組みです。
12月のコペンハーゲン会議を前に
2006年に、このプログラムに参加したソニーは、現在、排出削減の目標年を2010年としていますが、今回新たに2011年以降の次期目標を発表。長期目標として、自社による環境負荷をゼロにする、というビジョンのもと、2つの目標を設定しました。
- ソニーグループ全体の事業所から排出される温室効果ガスの総排出量を、2000年度を基準として、2015年度までに30%削減する
- 製品1台あたりの年間消費電力量を、2008年度を基準として、2015年度までに30%削減する
この新しい目標は、業界の中でもきわめて積極的な内容であり、ソニーが引き続き、温暖化対策の推進リーダーとしての役割を果たすことが期待されます。
記者発表資料 2009年11月20日
11月19日、WWF(世界自然保護基金)クライメート・セイバーズ・プログラム(※1)の参加企業であるソニー株式会社(以下、ソニー)は、12月の国連気候変動枠組条約コペンハーゲン会議(COP15/CMP5)の開催に先立ち、同プログラムにおける2011年以降の新たな目標を発表しました (※2)。クライメート・セイバーズ・プログラムは、企業がWWFとパートナーシップを結び、温室効果ガス排出削減の計画と実施を行っていくプログラムで、企業はWWFとの対話を通じて野心的な総量削減目標を掲げ、その実行をWWFが認めた第三者認証機関が検証していきます。
ソニーは、同プログラムに2006年より参加しており、排出削減の目標年を2010年として活動を行っていますが、今回発表した更新目標は、2011年以降に関するもので、以下の通りです。
- ソニーグループ全体の事業所から排出される温室効果ガスの総排出量を、2000年度を基準として、2015年度までに30%削減する
- 製品1台あたりの年間消費電力量を、2008年度を基準として、2015年度までに30%削減する
ソニーは全世界の事業所におけるエネルギー効率向上を徹底し、また再生可能エネルギーの利用をさらに進めることによって、目標達成を目指します。他方、ソニー全体のCO2排出量の約9割を占める、製品使用時のCO2排出の総量を減らすため、製品の年間消費電力の大幅削減にも取り組みます。
「コペンハーゲン会議を目前にひかえた重要な時期に、ソニーが排出削減目標を更新したことは二重の意味で重要である。ソニーは、気候変動を抑制するために企業はリーダーシップを発揮することができ、且つそれはビジネス戦略から見ても意義が高いことを証明してみせた。全ての企業に必要なのは、行動する意志だけである」とWWFインターナショナル事務局長のジム・リープは述べています。ソニーは、長期目標として自社による環境負荷をゼロにするというビジョンを掲げ、そこからバックキャスティングにより今回の新目標を定めています。「企業は単にできることを積み上げるのではなく、危険な将来の気候変動を抑制する上で必要なことは何かという観点から、目標を決定することが重要である」とWWFジャパン気候変動オフィサーの池原庸介は言います。「今回のソニーの目標策定は、まさにこの考え方に合致するもので、自然との共生を前提にした真に持続可能なビジネスのあり方を追求した姿といえる」
ソニーが全事業所からの排出量を2015年までに30%削減するという新目標は、業界の中でも極めて野心的な削減目標であり、ソニーが引き続き温暖化対策の推進リーダーとしての役割を果たすことが期待されます。
※1 クライメート・セイバーズ・プログラムについて
クライメート・セイバーズ・プログラム参加企業は、温室効果ガスの総量排出削減と事業の成長とが両立可能であることを実例として世界に示すことにより、産業界における地球温暖化対策推進のリーダーとして、社会に対し主導的な役割を果たしています(2009年10月現在、世界で合計22社が参加)。参加企業全体で、2010年までに累計5,000万tものCO2を削減すると同時に、他の企業に対する競争力を高め、シェアホルダー・バリュー(株式価値)を着実に高めているのが特徴です。
※2 ソニーの広報発表内容はこちら(ソニーのサイトへ)
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200911/09-133/
WWFクライメート・セイバーズの参加企業であるソニーが新たな温暖化対策目標を発表(2015年6月4日)
記者発表資料 2015年6月4日
【東京発】6月4日、WWF(世界自然保護基金)が世界規模で実施しているプログラム「クライメート・セイバーズ」において、その参加企業のひとつであるソニー株式会社(以下、ソニー)より、2016年度以降の新たな目標が発表されました。クライメート・セイバーズは、企業がWWFとパートナーシップを結び、実効性の高い温暖化対策を進めるプログラムです。企業は、WWFとの対話を通じ意欲的な削減目標を掲げ、その実行をWWFが認めた第3者認証機関が検証します。同日に発表された同社の2016年度~2020年度の環境中期目標『Green Management 2020』の中で、気候変動分野における目標が全てクライメート・セイバーズの目標に相当します。
ソニーは、環境計画「Road to Zero」の下で、自らの事業活動および製品のライフサイクルを通して、2050年までに環境負荷をゼロにすることを目指しています。 今回、温室効果ガスの排出量を2050年までに90%削減※(2008年度比)することを念頭に、2020年度までに5%削減(2015年度比)するという目標を設定しました。これは、2000年度比では42%削減に相当し、ソニーが同プログラムにおいて2010年度、2015年度に向け掲げていた目標をさらに前進させたものです。
近年の国連気候変動会議では、気候変動による影響を抑えるために、産業革命前と比べ世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えることを目指しています。世界が注目する本年末のCOP21(パリ)の合意に向けた交渉においても、この「2度未満」が重視されています。さらに、昨年9月の気候変動サミット(ニューヨーク)を契機に、COP21での意義ある合意の確保に向け世界の産業界の動きも活発化しています。
そうした中、CDP、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)、WWFが共同で「Science Based Targets」という新しいイニシアティブを発足させ、企業自らの温暖化対策においても、「2度未満」と整合した削減目標を立てるよう、世界的に求めはじめています。
今回ソニーが発表した2020年度までの中期目標は、「2050年90%削減※」と整合しており、正にこの Science Based Targets に合致したものといえます。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、「2度未満」に抑えるには2050年に世界で41~72%(2010年比)の排出削減が必要であることが示されていますが、「2050年90%削減※」という削減ペースはこのIPCCの数値を上回るものです。
「ソニーは、2度未満に向けて科学と整合した削減目標を掲げる初めてのクライメート・セイバーズ企業です」とWWFジャパン気候変動・エネルギープロジェクトリーダーの池原庸介は述べています。「G7サミットを目前に控えた重要な時期に、2度未満と整合した画期的な目標が企業から打ち出されことは重要なシグナルです。日本の削減目標案の議論においても、このような長期的な視点が不可欠と言えます」。
ソニーはまた、いわゆるScope 3と呼ばれる自社の事業活動の上流および下流における排出量について把握した上で、そこからの排出削減にも取り組んでいきます。自社の製品使用に伴い発生する年間消費電力量を2020年度までに平均30%削減(2013年度比)し、また取引関係にある製造委託先やサプライヤーに対し温室効果ガス排出量の削減を積極的に求めていくことを中期目標に盛り込みました。これらの排出量はソニーのScope 3の中でも高い割合を占めています。こうした戦略的かつ包括的な取り組みが、国内外の他の企業にもポジティブな影響を与えていくことが今後期待されます。
- ※残り10%は、再生可能エネルギーなどを活用することで削減を進め、「環境負荷ゼロ」を目指します。
関連情報
WWFクライメート・セイバーズの参加企業であるソニーが温暖化対策の目標を達成(2016年9月30日)
記者発表資料 2016年9月30日
排出削減目標「30%」を大きく上回る41%削減を実現
【東京発】WWFジャパンは、「WWFクライメート・セイバーズ・プログラム※1」の参加企業であるソニー株式会社(以下、ソニー)が、プログラム において掲げていた 2015年度に向けた温暖化対策の目標を全て達成したことを発表した。自社の事業活動に伴う温室効果ガスの排出(GHGプロトコルにおけるスコープ1,2の排出)に関する目標「2015年度までに30%削減(2000年度比)」に対して、実績は41%削減となり目標を大きく上回る結果となった。
また、ソニーは、自社の事業範囲の上流および下流(GHGプロトコルにおけるスコープ3)における間接的な排出についても排出量を開示している。中でも最も排出量が大きいのは、販売したソニー製品のユーザーによる使用段階での排出である。これを削減するために、ソニーは製品1台当たりの年間消費電力量に関して「2015年度までに30%削減(2008年度比)」という目標をプログラムにおいて掲げていたが、実績としては33%削減となり目標を達成した。
ソニーは、世界各地の事業所において、高効率機器の導入やエネルギーの循環利用を推進することで、省エネルギーを徹底するとともに、再生可能エネルギーを積極的に活用している。2009 年からは、「エコ・チャレンジ・プロジェクト」を開始し、製造部門の社員が自発的にエネルギーの無駄を無くしていく現場主導の取り組みを浸透させ、水平展開を行なっている。
途中、M&Aによる 半導体関連の工場の増加や デバイス製品の生産負荷が増えたことにより、ソニーグループ全体の排出量も増加した。しかし、新しい工場に対してもソニー独自の削減活動を実施することで 、 結果的に排出量が減少していくという好循環をもたらしている 。
WWFジャパン 気候変動・エネルギー プロジェクトリーダーの池原庸介は、「取り組みの過程においては、生産増に伴う排出増加と削減との両立に悩まされた局面もあったが、総量削減目標の存在によって、 新しい知恵を出し合いながら削減を進めていく風土が形成されたと評価している。排出総量のキャップがイノベーションを加速させる好事例である」と述べている。
ソニーは、2020年に向けた次期削減目標を既に発表済みである。2050年までに自らの事業活動および製品のライフサイクルを通して、環境負荷をゼロにすることを目指す環境計画『Road to Zero』において排出量「ゼロ」を掲げていること を念頭におき、 そこからのバックキャスティングによって、スコープ1,2およびスコープ3に関する意欲的な目標を設定している。世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、科学的な知見と整合した削減目標の設定を推進するイニシアチブ『Science Based Targets※2』からも承認を得ている。
ソニーが温暖化対策の 先進企業として産業界の取り組みをリードしていることをWWFは高く評価し、他の多くの企業が取り組みを深めていくことを強く期待する。
※1 WWFクライメート・セイバーズ・プログラムについて
WWFと、先進的な環境対策を進めている世界の企業が協働して、温室効果ガスの削減を目指すプログラム。参加企業は、温室効果ガスの総量排出削減と事業の成長とが両立可能であることを実例として世界に示すことにより、産業界における地球温暖化対策推進のリーダーとして、社会に対し主導的な役割を果たしている。プログラムが発足した1999年以降、2011年までに参加企業全体で累計1億トン以上のCO2を削減。
※2 Science Based Targets(科学と整合した目標設定)について:
WWF、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアチブ。企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を2度よりも十分低く抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進している。目標設定を支援するためのガイダンスやツールなども策定している。世界で約180の企業が、そうした意欲的な目標設定にコミットしている(2016年9月26日時点)。
*ソニーの広報発表内容はこちら:
クライメート・セイバーズに参加している世界の企業の取り組み
現在、世界ではさまざまな企業が、温暖化防止に向けた積極的な取り組みを行なっています。
ノボ ノルディスク社がWWFのクライメート・セイバーズに参加(2006年1月27日)
二酸化炭素の明確な削減目標を掲げ、地球温暖化の防止に積極的に取り組む企業を認証する、WWFの「クライメート・セイバーズ・プログラム」に、デンマークのノボ ノルディスク社が、新たに参加することが決まりました。デンマークの企業としては初の例であり、世界で10番目の事例となります。
クライメート・セイバーズの新たな展開
クライメート・セイバーズ・プログラムは、企業とWWFが協力して、その企業が排出する二酸化炭素の積極的な削減目標を定め、実際の削減が行なわれたかどうかを第三者機関が認証するプログラムです。
糖尿病ケアのリーディングカンパニーであるデンマークのノボ ノルディスク社は、今回、クライメート・セイバーズへの参加を調印したことで、自社の石油や石炭、天然ガスなどの利用によって生じる二酸化炭素の排出量と、電力などの消費量を削減することを約束。また、この協定を、全世界のノボノルディスクの子会社を対象として実施するとしています。
ノボ ノルディスク社では「このような取り組みが、CO2の排出による地球温暖化対策を支援するためだけでなく、長期的にビジネスの面でも健全であるとの考えに基づき調印しました。エネルギー消費量を減らし、風力タービンや燃料転換など再生エネルギーに移行することにより、将来の課題に取り組んでいきます。また長期にわたって温暖化問題に取り組むことは、将来の炭素制約社会への体勢を整えることになります」とコメントを発表。
WWFデンマークも、同社の意向と決断を高く評価しました。
なお、現在までにクライメート・セイバーズには、フランスのラファージュ、日本の佐川急便、米国のジョンソン&ジョンソン、IBM、ナイキ、ポラロイド、コリンズ、ザンテラ、カナダのキャタリストなどの企業が参加しており、WWFではさらなる参加企業の拡大を目指しています。
共同記者発表資料
WWFとノボ ノルディスク社が温暖化対策の協定に調印
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社(略称:NNPL、社長:クラウス アイラセン、本社:東京都千代田区)の親会社であり、糖尿病ケアのリーディングカンパニーであるノボ ノルディスク社(略称:NNA/S、社長:ラース レビアン ソレンセン/ Lars Rebien Sorensen、本社:デンマーク)とWWF(世界自然保護基金)は、ノボ ノルディスク社が排出するCO2を大幅に削減するという「クライメート・セイバーズ・プログラム」に調印しました。ノボ ノルディスク社はデンマークで初めて、また欧州で二番目に、世界で十番目に調印する企業となります。
本協定に基づき、ノボ ノルディスクはエネルギー消費の割合を大幅に再編し、エネルギーの効率的な利用や再生エネルギーを使用するなど、環境に優しいエネルギー供給によって CO2排出量を2014年までに2004年度比で10%削減することを宣言します。これを行わない場合、当社のCO2排出量は2004~2014年の間に 約67%上昇する見込みです。
ノボ ノルディスク社のエグゼクティブ バイスプレジデントであり環境・生命倫理委員会の委員長であるリサ キンゴーは「当社は、CO2の排出による地球温暖化対策を支援するためだけでなく、このような取り組みが長期的に見てビジネスの面でも健全であるとの考え に基づき、本プログラムに調印しました。エネルギー消費量を減らし、風力タービンや燃料転換など再生エネルギーに移行することにより、将来の課題に取り組 んでいきます。また長期にわたって温暖化問題に取り組むことは、将来の炭素制約社会への体勢を整えることになります」と述べています。
WWF のクライメート・セイバーズ・プログラムは、企業とWWFが話し合って、その企業が排出するCO2を削減する追加的で野心的な目標を立て、それを第三者機 関が認証するプログラムです。ノボ ノルディスクとのパートナーシップについて、WWFデンマークの事務局長キム カーステンセンは「世界各国の政府が温暖化抑制に必要な対策を実施するのを待ってはいられません。したがって我々はできるところから着手していきます。ノ ボ ノルディスクがこの取り組みに自主的に参加してくれることを喜ばしく思っており、より多くの企業が後に続くことを願っています」と話しています。
背景
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ク ライメート・セイバーズ・プログラムは、企業とWWFが話し合って、その企業が排出するCO2を削減する追加的で野心的な目標を立て、それを第三者機関が 認証するプログラムです。WWFは、当社の他にフランスのラファージュ、日本の佐川急便、米国のジョンソン&ジョンソン、IBM、ナイキ、ポラロ イド、コリンズ、ザンテラ、カナダのキャタリスト各社との協定にも調印しています。
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ノボ ノルディスク ファーマ株式会社はこの協定に基づき、化石燃料の燃焼によって生じるCO2の排出量と電力、加熱、蒸気の消費量を削減します。本協定のCO2排出量は全世界のノボ ノルディスクの子会社社を対象としています。
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目標値達成に対する進捗状況は、毎年第三者機関によって検証され、その結果はWWFに提出されます。
ノ ボ ノルディスク ファーマ株式会社は、ノボ ノルディスク社(本社:デンマーク、バウスヴェア、社長:ラース レビアン ソレンセン)の日本法人です。ノボ ノルディスク社は糖尿病治療用インスリンの製造、販売の世界的リーダーであり、インスリン製剤の製造・販売はもちろんのこと、最新のインスリン投与システ ム製品等、世界でも最も幅広い糖尿病用製品群をもっています。また、血友病、成長障害、ホルモン補充療法などの分野でも主導的な役割を果たしており、患者 さん・医療従事者・社会に大きな影響を与える医薬品やサービスの製造・販売を行っています。同社のB株は、コペンハーゲン、ロンドンの各証券取引所に、ま たADR株は、NVOの銘柄でニューヨーク証券取引所に上場されています。
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社に関する詳細な情報は、www.novonordisk.co.jpに掲載されております。また、ノボ ノルディスク社につきましては、www.novonordisk.com(英文)にてご覧いただけます。
発展と温暖化防止を両立!「クライメート・セイバーズ」会合(2007年2月2日)
パリにおいて、2007年「クライメート・セイバーズ」会議が開かれ、その取り組みの成果が発表されました。これは、WWFと「クライメート・セイバーズ」に参加する世界の12企業が、実際の二酸化炭素の排出削減を示すことで、他の企業にも温暖化対策の必要性を訴えるものです。
温暖化対策の先進企業が集う
「クライメート・セイバーズ」プログラムは、企業がWWFとパートナーシップを結び、具体的な温室効果ガスの削減目標を掲げ、実施に取り組むもの。取り組みとその成果は、WWFと第三者の認証機関により検証されることになっています。
現在、世界の12の企業がこのプログラムに参加しており、2010年までのその総削減量は、少なくとも二酸化炭素1,000万トンにのぼります。
2月1日と2日の両日、フランスのパリにおいて、クライメート・セイバーズの会議が開催され、その取り組みと成果が発表されました。12の参加企業は、合同宣言の中で「WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムの参加企業として、我々は多くの経験を積み、企業として発展を続けながら、排出を削減できることを学んだ。排出削減はビジネスと両立する」と宣言。
WWFインターナショナル事務局長のジェームス・リープも、「気候変動に対処することは、ビジネスチャンスを産み、革新的技術を促進させ、雇用機会を世界中に産み出すこと。クライメート・セイバーズ参加企業は、持続的発展とは、机上の空論ではなく、自然や社会、そして企業そのものにとっても利益をうみながら達成できるものであることを示しています」とコメントしました。
WWFの計算では、1300社の大企業が、同様の取り組みを行なうならば、京都議定書が掲げた世界の温室効果ガスの削減目標は達成できることになります。WWFはこれからも、世界の政策決定者と企業の代表に、今すぐに行動を起こし、二酸化炭素の排出削減に取り組むことを訴えてゆきます。
「クライメートセイバーズ」参加企業のコメントより
ラファージュ(世界最大のセメント製造会社)
チーフ・エグゼクティブのブルーノ・ラフォント氏
「当初から我々は排出を削減できると楽観視していた。それでも始めてみてから、我々が導入した削減技術がもたらす変化の早さ、またこのWWFとの約束がもたらした革新への推進力には驚いた。」
ナイキ(スポーツメーカー。今会議で目標の達成を表彰された)
企業責任部のディレクター、サラ・セバーン氏
「クライメート・セイバーズに参加したことで、ビジネスや社会に重大な帰結をもたらす気候変動問題に対して早いスタートが切れた。制約があることが、逆に計り知れない革新を生み出し、企業として発展したにもかかわらず、エネルギー使用においてより効率的になれた。次のステップは、サプライチェーンにこの削減努力を広げることだ。」
ソニー
ソニー・ヨーロッパのエグゼクティブ・バイス・プレジデントのセルジュ・フーシエ氏
「危険な温暖化を防ぐためには、世界平均気温の上昇を2度未満に押さえることが不可欠だという思いで、ソニーはクライメート・セイバーズ・プログラムに参加した。私たちは世界中が協力することで、この2度未満が達成されることを強く望む」
記者発表資料 2007年2月2日 「企業として、利益を出しながら、排出削減に成功する」WWFのクライメート・セイバーズ参加企業は、ビジネスのあり方を示している
フランス・パリ発: WWF(世界自然保護基金)は、先進的な環境対策を進めている世界の様々な企業に、さらに一歩踏み込んだ温室効果ガスの削減を行い、その業界における地球温暖化対策推進リーダーとしてより大きな役割を果たしてもらうプログラム「クライメート・セイバーズ」を行っています。これは、WWFと企業がパートナーシップを結び、企業に絶対量での削減目標を掲げてもらい、対策計画とその実施を行っていくもので、WWFと第三者認証機関が検証します。
現在世界12のリーディング企業がこのプログラムに参加しており、2月1日と2日にパリにおいて、2007年クライメート・セイバース会議を開催、その成果を発表しています。これは、WWFと参加12企業が、その取り組みを紹介することによって、他の企業に、絶対量での削減方法を示すよい機会であり、また、同じ時期に発表される世界で最も権威ある科学的リポートIPCCの第4次評価報告書とあわせて、温暖化対策の緊急性に対する解決策を示すものです。
現在、参加している企業は、日本からのソニーと佐川急便、それにナイキ、ラファージュなどを含む12社で、その削減量は、あわせて2010年までに少なくとも1000万トンにのぼります。「もしあと1300社の大企業がこの行動を行えば、京都議定書の世界の目標量は達成できることになる」と、WWFは述べています。
WWFインターナショナル事務局長のジム・リープは、「気候変動に対処することは、ビジネスチャンスを産み、革新的技術を促進させ、雇用機会を世界中に産み出すこと。クライメート・セイバーズ参加企業は、持続的発展とは、机上の空論ではなく、自然や社会、そして企業そのものにとっても利益をうみながら達成できるものであることを示している。」と述べています。
パリ会議に参加する12企業は、すべて絶対量でその排出のかなりの量を削減することを約束しており、「気候変動に対応する解決法は存在する」と理解しています。パリ会議の合同宣言で、「WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムの参加企業として、我々は多くの経験を積んで、企業として発展を続けながら、排出を削減できることを学んだ。排出削減はビジネスと両立する。」と結んでいます。
WWFは、世界中の政策決定者と企業の代表に、「たった今から行動を起こし、絶対量でCO2削減する」ことを訴えます。
世界最大のセメント製造会社ラファージュのチーフ・エグゼクティブ、ブルーノ・ラフォント氏は、「当初から我々は排出を削減できると楽観視していた。それでも始めてみてから、我々が導入した削減技術がもたらす変化の早さ、またこのWWFとの約束がもたらした革新への推進力には驚いた。」と話しています。
スポーツメーカーのナイキは、今年の会議で、すでに目標を達成したことに対して賞を受けます。ナイキの企業責任部のディレクター、サラ・セバーン氏は、「クライメート・セイバーズに参加したことで、ビジネスや社会に重大な帰結をもたらす気候変動問題に対して早いスタートが切れた。制約があることが、逆に計り知れない革新を生み出し、企業として発展したにもかかわらず、エネルギー使用においてより効率的になれた。次のステップは、サプライチェーンにこの削減努力を広げることだ。」と述べています。
昨年夏に12番目のクライメート・セイバーズになったソニー。ソニー・ヨーロッパのエグゼクティブ・バイス・プレジデントのセルジュ・フーシエ氏は、「危険な温暖化を防ぐためには、世界平均気温の上昇を2度未満に押さえることが不可欠だという思いで、ソニーはクライメート・セイバーズ・プログラムに参加した。私たちは世界中が協力することで、この2度未満が達成されることを強く望む。 ソニーは企業活動本体からの温室効果ガス排出を削減するだけではなく、製品の省エネをさらに追求していく」と訴えています。
温暖化防止をリードする企業12社が「東京宣言」に署名(2008年2月15日)
WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムに参加する12の企業が、2月15日、世界の気候変動に立ち向かう「東京宣言」を発表しました。国際的なビジネス社会が、気候変動への対策をより強化、拡大していく決意が述べられています。
クライメート・セイバーズ東京サミット2008を開催
WWFと企業がパートナーシップを結び、企業の排出削減の計画とその実施を行なっていく、「WWFクライメート・セイバーズ・プログラム」。このプログラムに参加する、世界の12の企業が2月15日、世界の気候変動に立ち向かう決意を「東京宣言」として発表しました。
同日、WWFとソニーにより共催された「クライメート・セイバーズ東京サミット2008」において署名されたこの宣言は、気候変動による危機的状況を避けるためには、「世界の温室効果ガスの排出量を2050年までに50%以上削減しなければならないこと」、そして、気温上昇を2度未満に抑えるために、「今後10年から15年のうちに排出量のピークを迎え、その後速やかに削減させなくてはならないこと」を強く訴えています。
「東京宣言」に署名した企業は、クライメート・セイバーズ・プログラムへの参加以来、自ら定めた絶対量での排出削減目標をすでに打ち出し、実際にそれを超えた成果を挙げています。
今回の宣言でも、各企業がそれぞれのビジネス・パートナーに、効果的な温暖化対策の実行を働きかけることや、社会に向け低炭素型のライフスタイルを普及・促進してゆく決意が述べられており、国際的なビジネス社会による対策をより強化・拡大してゆく意志が強調されています。
WWFインターナショナル事務局長のジェームズ・リープは、今回の宣言について、次のようにコメントしています。
「WWFクライメート・セイバーズ・プログラムと『東京宣言』は、企業が貢献できる気候変動への対策が広範囲であることを示しました。これらの企業は自らの排出量削減目標を定めているだけでなく、政府、より広範なビジネス界、ビジネス・パートナーや消費者にまで対策への取り組みを進んで求めていく意志を持っています。この点についても、WWFは賞賛します」。
今回「東京宣言」に署名した企業は、下記の12社です
アリアンツ・グループ、キャタリスト、ザ・コリンズ・カンパニー、ヒューレット・パッカード・カンパニー、ナイキ・インク、ノボ ノルディスク、ノキア コーポレーション、佐川急便株式会社、ソニー株式会社、スピッツベルゲン・トラベル、テトラパック、ザンテラ・パークス・アンド・リゾート
共同記者発表資料 2008年2月15日
世界をリードする企業12社が「東京宣言」に署名~地球温暖化に対するさらなる取り組みとビジネス界の変革を拡大することを宣言~
東京発-世界をリードするソニー、ノキア、ナイキなど、 WWFクライメート・セイバーズ・ プログラム参加企業12社が、緊急の課題である気候変動に立ち向かう決意を「東京宣言」として発表しました。本日、 WWFとソニーが共同で開催した「クライメート・セイバーズ東京サミット2008」(於:東京港区ソニー株式会社)において署名されたこの宣言は、気候変 動による危機的状況を避けるには、世界の温室効果ガスの排出量を2050年までに50%以上削減しなければならないこと、気温上昇を2℃未満に抑えるため に今後10年から15年のうちに排出量のピークを迎え、その後速やかに削減させなくてはならないことを強く訴えています。
京都議定書発効の3周年を翌日に控え、12社を代表してソニー株式会社代表執行役会長兼CEO(最高経営責任者)ハワード・ストリンガーが発表したこの「東京宣言」には、国際的なビジネス社会が、気候変動への対策をより強化、拡大していく決意が述べられています。
ソニー株式会社代表執行役会長兼CEOハワード・ストリンガーのコメント:
「悪化した環境下ではビジネスの繁栄は不可能だとソニーは考えています。だからこそ、地球への負荷を軽減するためにソニーの技術力とノウハウを駆使すると ともに、各家庭における環境負荷削減を消費者に促すことに尽力しています。ソニーは自らの環境負荷を最小限にするために、企業活動のあらゆる側面において 責任を持って行動すると同時に、ソニー独自の能力を最大限に活用して他企業やビジネス・パートナーとともに環境問題の解決に向けて取り組んでまいります」
「東京宣言」に署名した多くの企業をはじめとするWWFクライメート・セイバーズ・プログラム参加企業は、すでに、同プログラム参加時に自ら定めた野心的 な排出削減目標を超えた成果をだしています。同宣言では、これに加えて、ビジネス・パートナーに働きかけ、気候変動におよぼす影響を低減するための効果的 な対策の実行を促すとともに、ビジネス・パートナーや消費者にむけて、低炭素型のライフスタイルの普及啓発、促進も宣言しています。
WWFインターナショナル事務局長ジェームズ・リープのコメント:
「WWFクライメート・セイバーズ・プログラムと『東京宣言』は、企業が貢献できる気候変動への対策が広範囲であることを示しました。これらの企業は自ら の排出量削減目標を定めているだけでなく、政府、より広範なビジネス界、ビジネス・パートナーや消費者にまで対策への取り組みを進んで求めていく意志があ る点も、WWFは賞賛します」
クライメート・セイバーズ企業は、この宣言を通して早期に自主的、革新的に気候変動に取り組むことがビジネ ス界の緊急の課題であると同時に、恩恵をもたらすことであると強調しています。「東京宣言」に署名した企業は、アリアンツ・グループ、キャタリスト、ザ・ コリンズ・カンパニー、ヒューレット・パッカード・カンパニー、ナイキ・インク、ノボ ノルディスク、ノキア コーポレーション、佐川急便株式会社、ソニー株式会社、スピッツベルゲン・トラベル、テトラパック、ザンテラ・パークス・アンド・リゾートの計12社で す。
2)東京宣言に署名した企業に関しては各企業のウェブサイトをご参照ください(ABC順)。
アリアンツ・グループAllianz Group (www.allianz.com)
キャタリストCatalyst (www.catalystpaper.com)
ザ・コリンズ・カンパニー The Collins Companies (www.collinswood.com)
ヒューレット・パッカード・カンパニー Hewlett-Packard Company (www.hp.com)
ナイキ・インク NIKE, Inc. (www.nike.com)
ノボ ノルディスクNovo Nordisk (www.novonordisk.com)
ノキア コーポレーションNokia Corporation (www.nokia.com)
佐川急便株式会社 Sagawa Express (www.sagawa-exp.co.jp)
ソニー株式会社 Sony Corporation (www.sony.co.jp/index.html)
スピッツベルゲン・トラベル Spitsbergen Travel (www.spitsbergentravel.no)
テトラパックTetra Pak (www.tetrapak.com)
ザンテラ・パークス・アンド・リゾート Xanterra Parks & Resorts (www.xanterra.com)
3)WWFは、先進的な環境対策を進めている世界の様々な企業に、さらに一歩踏み込んだ温室効果ガスの削減を行い、その業界における地球温暖化対策推進リーダーとしてより大きな役割を果たしてもらうプ ログラム"クライメート・セイバーズ"への参加を呼びかけています。
クライメート・セイバーズ・プログラムは、WWFと企業がパートナーシップを結び、企業の排出削減の計画とその実施を行っていくプログラムです。企業は、 WWFとの対話を通じて削減目標を掲げ、温室効果ガス削減目標とその実行を、WWFと第三者認証機関が検証します。
クライメート・セイバーズ東京宣言(仮訳)
ここに署名する私たち企業は、地球の平均気温上昇を産業革命前と比較して最大2℃未満に抑えるためには、必要なあらゆる対策がとられるべきであるという信念を改めて表明いたします。
私たちは、バリでの国連会議の結果、特に同会議が気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書とその結論を認めたことを歓迎しています。同報告書の結 論では、世界の温室効果ガス排出量は、今後10~15年の間にピークを迎える必要があり、21世紀半ばまでには2000年と比べ相当低い水準―半減よりは るかに低いレベル―まで削減されなければならないということが示されています。
地球を危険な気候変動から守るために必要な大幅排出量削減を達成するために、私たちは先頭にたって地球温暖化の課題に積極的に取り組むと同時に、温暖化を新たな機会ととらえて積極的に活動していきます。
クライメート・セイバーズ企業各社はWWFと提携し、二酸化炭素排出量を絶対量で削減する野心的な目標をすでに掲げています。しかし今や、より迅速に具体的な行動をとることが企業にとって急務となっているのです。
そこで、私たちは以下の活動を宣言します。
-
ビジネス・パートナーとの連携を通じて、排出量削減活動の範囲をより広げていくよう努めます
-
消費者や顧客にむけて低炭素型のライフスタイルを普及啓発していきます
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自社のカーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)および排出量削減活動に関する透明性を高めます
-
業界の「大使」として、実証された成功事例を他社に広め、かつWWFクライメート・セイバーズ・プログラムを他の産業部門や地域に拡大していきます
この宣言は、私たちの自主的、実践的、革新的な取り組みが気候変動防止に貢献するという私たちの信念の上に宣言されるものであり、より多くの企業が同様に取り組むことを期待します。
宣言表明クライメート・セイバーズ参加企業(アルファベット順)
アリアンツ・グループ キャタリストザ・ コリンズ・カンパニー
ヒューレット・パッカード・カンパニー ナイキ・インク ノボ ノルディスク
ノキア コーポレーション 佐川急便株式会社 ソニー株式会社
スピッツベルゲン・トラベル テトラパック ザンテラ・パークス・アンド・リゾート
2008 年2 月15 日
Climate Savers Tokyo Declaration
We, the undersigned companies, reiterate our belief that all necessary action should be taken to limit the global average temperature increase to a maximum of 2 degrees Celsius compared to pre-industrial levels.
We welcome the outcome of the UN climate talks in Bali and, in particular, its recognition of the Inter-governmental Panel on Climate Change (IPCC) report and its conclusion that global emissions of greenhouse gases (GHGs) need to peak in the next 10-15 years and be reduced to very low levels, well below half of levels in 2000 by the middle of the twenty-first century.
We are taking a lead in proactively addressing the challenge of global warming and seizing the opportunities it presents to leading businesses to achieve the deep emissions reductions required to keep the planet safe from dangerous climate change.
Climate Savers companies, partnering with WWF, are each committed to ambitious targets to cut our absolute carbon dioxide emissions. However, it is now imperative for businesses to move faster and take concrete action.
Therefore we declare that we will:
-
try to widen the scope of emission reduction activities in partnering with our business partners;
-
promote a low-carbon lifestyle to consumers and our customers;
-
enhance the transparency of our carbon footprint and related reduction activities; and
serve as ambassadors of the industry by sharing proven successful approaches and take leadership to expanding the WWF Climate Savers Programme to more sectors and regions. -
This Declaration is based on the belief that our voluntary, action-oriented, innovative effort will help to fight climate change and that more companies should follow our example.
COMMITTED CLIMATE SAVERS COMPANIES (alphabetical order)
Allianz Group Catalyst The Collins Companies
Hewlett-Packard Company NIKE, Inc. Novo Nordisk
Nokia Corporation Sagawa Express Sony Corporation
Spitsbergen Travel Tetra Pak Xanterra Parks & Resorts
February 15th, 2008
地球温暖化防止のトップランナーを目指す 企業向けシンポジウムを開催(2010年3月31)
2010年3月12日、WWFのクライメート・セイバーズ・プログラムでは、東京の世界貿易センタービルで、「気候変動問題における企業のリーダーシップとは」と題するシンポジウムを開催しました。国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)特別顧問の末吉竹二郎氏による基調講演を皮切りに、各種講演と、さまざまな立場のパネリストによるディスカッションを実施。気候変動問題において、企業がどのようなかたちでリーダーシップを発揮していくべきかについて、約70名の来場者とともに、じっくりと議論を行ないました。
シンポジウム「気候変動問題における企業のリーダーシップとは」
日時 | 2010年3月12日(金) 15:00~18:20 |
---|---|
内容 |
基調講演「気候変動が変えるビジネスの在り方」 「企業の気候変動対策を持続可能にするには」 パネルディスカッション:(敬称略) 「気候変動問題におちて企業が発揮すべきリーダーシップ」 司会:WWFジャパン気候変動担当 小西雅子 |
場所 |
世界貿易センタービル 38階「フォンテーヌ」(東京都港区浜松町二丁目4番1号) |
主催 | WWFジャパン |
問合せ |
WWFジャパン 気候変動プログラム:池原/広報:新井 |
企業が握る地球温暖化防止の「カギ」
現在、日本の排出量のうち、約8割が企業・公共部門から排出されています。これは、企業が気候変動問題に大きな責任を負っている一方で、その対策においてカギとなる役割を果たすことができる可能性を示しています。
日本では、気候変動対策、すなわちCO2の排出削減が、経済活動の減退につながるとして、消極的な意見が産業界を中心に依然残っています。しかし、企業が将来にわたって事業活動を展開していくためには、何よりもまず、健全な地球環境が維持されなくてはなりません。
本セミナーの基調講演に登壇された、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)特別顧問の末吉竹二郎氏は、「気候変動問題への取組みが重視されるこれからの社会においては、企業経営におけるCO2の重要性がいっそう高まり、規制やルール・社会規範が変わり、競争原理も変わる」という点を指摘。経営者が、この問題を真剣に議論すべきであり、きちんと取り組まなければ、企業の将来はないとの意見に、フロアの来場者たちは大きくうなずいていました。
企業の業態によっては、確かに総量での排出削減が難しいケースがあります。しかし、新しい工場やオフィス、発電所などを建設する時などに、従来よりも排出の少ないものをつくる、という姿勢が重要です。
企業とNGOの協力の必要性
また、パネルディスカッションの冒頭では、クライメート・セイバーズ参加企業の佐川急便株式会社およびソニー株式会社より、両社の先進的な取組み事例が紹介されました。
パネリストからは、多くの企業が、WWFなどNGOとの協働が、自社の取組みの大きな社会訴求へとつながることに気付いていない、という指摘がありました。またWWFの側にも、企業に対するアプローチがまだまだ不十分である、といった問題点があることなどについて議論が交わされ、双方にとって刺激となる意見が、数多く出されました。
これらの意見は、WWFにとって今後の活動における大切な指針を確認させるものになったばかりでなく、温暖化防止に対する、企業の前向きな姿勢をひきだすものとしても、貴重な意味を持つものとなりました。
WWFジャパンでは今後、クライメート・セイバーズ・プログラムをはじめ、企業とのさまざまな協働の機会をこれからも追求し、低炭素社会へ向けた大きな力を育ててゆきたいと考えています。
講演資料
- 末吉竹二郎氏「気候変動が変えるビジネスの在り方」
- WWFジャパン 池原庸介 「企業の気候変動対策を持続可能にするには」
- 佐川急便株式会社 日山欣也氏「佐川急便の取り組み」
- ソニー株式会社 冨田秀実氏「ソニーの気候変動への取り組み」
クライメート・セイバーズに参加している海外企業の取り組み
ジョンソン・エンド・ジョンソン | ||
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企業概要 | 薬品や医療機器、診療市場関連サービスを提供している企業。195の支社を51カ国にもち、175カ国以上で販売を展開している。 | |
目標 | 温室効果ガス排出量を2010年までに1990年レベルより7%削減 | |
対策 | チェックリストを利用した各施設での省エネ/施設での再生可能エネルギーの利用/グリーン電力や排出クレジットの購入 | |
IBM | ||
企業概要 | 160カ国以上の国でコンピューター、ソフトウェア、ストレージシステムなどのITビジネスを展開している企業。 | |
目標 | CO2排出量を1998年から2004年までの間に年平均で4%削減 | |
対策 | 再生可能エネルギーの購入、エネルギー効率の改善など | |
ポラロイド | ||
企業概要 | インスタントカメラとフィルム、デジタル画像機、画像ソフトやメディア機器などを世界150カ国で販売している企業。 | |
目標 | CO2排出量を2010年までに1994年レベルより25%削減 | |
対策 | エネルギー利用管理の最適化、設備の更新・最新化、グリーン電力の購入、オンサイトでのエネルギー源の転換 | |
ナイキ | ||
企業概要 | 世界のスポーツ・フィットネスのリーディング企業の一つ。100カ国以上で事業を展開し、約50万人を雇用している。世界各国で、およそ750の契約工場がナイキ製品を生産している。 | |
目標 | CO2排出量を2005年末までに1998年レベルより13%削減 | |
対策 | 省エネ施策、グリーン電力の購入など。2005年までに、シューズや衣類の主要な下請け製造工場も含めた排出削減計画を立てる予定 | |
ラファージュ | ||
企業概要 | 世界の主要な建材メーカーであり、75カ国に77000人の従業員を持つ。グループの4つの部門(セメント、骨材・コンクリート、屋根材、石膏)全てにおいて、分野トップクラスに位置している。 | |
目標 | 温室効果ガス排出量を2010年までに1990年レベルより10%削減 | |
対策 | 混合セメントの使用、製造過程におけるエネルギー効率化、バイオマスなどの再生可能エネルギーの購入・利用 | |
※2005年、WWFとのパートナーシップ更新に伴い、「地球温暖化は2℃未満に抑える」ことを支持すると共に、目標を持つ分野を生物多様性、持続可能な建設、残留性汚染物質へと拡大。 | ||
コリンズ | ||
企業概要 | FSC(森林管理協議会)の認証を受けた材木、削片材、高級ベニヤ材を育成、製造、販売した北米で最初の企業。 | |
目標 | CO2排出量を2009年までに1999年レベルより15%削減 | |
対策 | 熱利用における効率性向上など | |
ザンテラ・パークス・アンド・リゾート | ||
企業概要 | グランドキャニオン、イエローストーンなどの国立公園にある宿泊施設、レストラン、ギフトショップ等の経営などのリゾートマネジメントを行っている企業。 | |
目標 | CO2排出量を2015年までに2000年レベルより10%削減 | |
対策 | 施設に関する再生可能エネルギーの利用、施設の冷暖房・照明のより効率的な利用など | |
キャタリスト | ||
企業概要 | 電話帳等に使用される紙の生産で世界一のカナダの製紙会社。新聞、雑誌等の紙の生産も行っており、年間の生産量は紙・パルプあわせて約250万トンにのぼる。 | |
目標 | CO2排出量を2010年までに1990年レベルより70%削減 | |
対策 | 対策エネルギー消費の抑制、化石燃料からバイオマス燃料への転換、機器の効率向上など | |
ノボ ノルディスク | ||
企業概要 | デンマークを拠点に、世界78カ国をネットワークするヘルスケア企業。糖尿病ケアの分野のリーディング企業。 | |
目標 | 目標CO2排出量を2014年までに2004年レベルより10%削減 | |
対策 | 対策エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの積極利用 | |
テトラパック | ||
企業概要< | スウェーデンを中心に世界165ヶ国に市場を持つ食品包装サプライヤー。 | |
目標 | 目標CO2排出量を2010年までに2005年レベルより10%削減 | |
対策 | 対策エネルギー消費の削減およびグリーン電力の購入 |
各企業の詳細な取り組み内容
WWFアメリカ Climate Savers: Participating Companies(英文)