参考情報:賦課金0.5円/kWh、再エネ4%の伸びで頭打ち
2011/08/04
参考資料 2011年7月27日
eシフト(脱原発・新しいエネルギーを実現させる会)記者発表資料
昨日27日、阿部知子議員ら再生エネ法早期成立署名議員による勉強会が開催され、固定価格買取制度に関する省庁ヒアリング及び記者会見が行われた。
7月14日衆議院本会議で海江田経産大臣は、電力多消費産業への配慮からか、「消費電力に対する賦課金の上限を、キロワットアワー当たり0.5円を超えないよう制度を運用」するとの方針を打ち出されている。これでは再生可能エネルギーによる電力の割合は4%しか伸びず、法案の主旨に反する、問題である、としての緊急開催である。
本来、固定価格買取制度を導入する目的は、再生可能エネルギーを大幅に増やしていくことである。また買取り費用は広く電力使用者で応分に負担するのが制度の主旨である。本日の勉強会では、この実質上限枠が法案の条文に加える修正が水面下でなされている問題点も指摘された。経産省は、0.5円/kWhを賦課金上限とする場合、再生可能エネルギーの導入量は2020年までにわずか4%程度の増加にとどまる、との試算を認めた。
経産省が配布した資料では、賦課金を0.5円/kWhとした場合、電源構成に占める再生可能エネルギー等の発電量の割合が現状の約9%から4ポイント伸びて、13%になるとあったが、山田正彦議員が質問したところ、現状の約9%のうち7%が大規模水力発電(ダム)であるため、13%に伸びると言っても、この大規模水力発電を引くと、現在は2%程度である太陽光や風力、バイオマス、地熱、小水力による発電量が、2020年までに6%程度になる、つまり伸びは4%になる、ということを認めた。
再生可能エネルギーの導入量が無理なく伸びるためには、賦課金に上限を設けることは適切ではなく、目標となる導入量を見据えた柔軟な制度設計が必要である。2020年までの再生可能エネルギーの導入目標を高く掲げ、それを実現するための制度であることを改めて認識する必要がある。賦課金に上限を設けると(キャップをかけると)、一定量以上の再生エネの導入が進まず、伸びは頭打ちとなり、制度の本来の主旨をゆがめることになる。例えば、2020年までにドイツ並みの30%を超える再生可能エネルギーによる電力の導入を目標とした場合には、最大3円/kWh程度まで賦課金が上昇すると想定されるが、将来の価格高騰が想定される化石燃料の節約効果や数兆円規模の経済効果等が期待される (ISEPブリーフィングペーパー7/25参照)。再生可能エネルギーによる賦課金はすでにある燃料費調整制度で想定される7円/kWh程度の電気料金の上昇と比べても過度な負担とは考えられない。
サミットにおいて菅首相が掲げた2020年代初頭には電力の20%、1000万戸に太陽光パネルという目標がすでに示されているにも関わらず、経産省の示した13%という目標は麻生政権のものであったことも指摘され、阿部知子議員は「せめて麻生政権の目標よりは今回は上を狙いましょうよ」と述べた。合わせて調達価格等の決定方法や優先接続の条項について法案の一部修正要望を提出する予定があることを発表した。今回の勉強会には国会議員30名が出席していたが、一部の国会議員だけで密室で法案の修正協議がなされていることへの問題も指摘された。国民不在のまま本制度の根幹を決めるのではなく、市民にも見える透明性の高い議論を進める必要がある。