参考情報:賦課金の上限枠の設定は制度の根幹を崩す
2011/08/04
参考資料 2011年7月25日
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法
再生可能エネルギー普及に向けた制度の実現を!
気候ネットワーク 代表 浅岡美恵
環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也
eシフト(脱原発・新しいエネルギーを実現させる会)
今月14日に国会審議入りした「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再生可能エネルギー推進法案)」は、再生可能エネルギーを地域主導で大幅な導入を進め、東北地方復興にも寄与し、持続可能な新しい社会の実現に向けた第一歩を踏み出すための可能性を持った法案であり、今国会での成立が必要です。
しかし、14日の衆議院本会議において、海江田経済産業大臣は電力多消費産業への配慮等から、「消費電力に対する賦課金の上限を賦課金がキロワットアワー当たり0.5円を超えないよう制度を運用」するとの方針を打ち出しています。また、25日の朝日新聞朝刊で、安住国対委員長が「価格面で高い負担をさせない仕組みにすれば方向性が見えてくるのでは」と、法案修正に前向きな考えを示したと報じられ、私たちは大変な危機感を抱いております。ここで示されたような、賦課金に0.5円/kWhの上限を課すことは、再生可能エネルギーの導入を実質的に低く抑えることにほかならず、今後の普及に著しいブレーキをかけることになるからです。
むしろ、現在の電力料金制度の下でも、化石燃料の調達コストが上昇すれば燃料費調整制度によって、現在より7円/kWh程度まで上昇することも想定されます。
10年程度で投資を回収できるよう買取価格と期間を設定して民間の投資を呼び起こし、新規雇用を生み出し、再生可能エネルギーの普及を加速させ、化石燃料依存を減らし、化石燃料の価格上昇の影響を毎年減らしていくことができます。また、大半の製造業では、生産コスト当たりの電力コストは2%以下であり、電気料金上昇による生産コストへの影響は、為替変動に比べれば、決して大きくありません。
将来的にはメリットの方が大きくなるにもかかわらず、電気料金に対する決して大きいとは言えない影響をハイライトして過度に配慮すれば、再生可能エネルギーの導入が進まず、これからの経済再生・再生可能エネルギーによる設備投資・産業育成・雇用創出効果も失うことになります。
賦課金に上限を加え、再生可能エネルギーの導入を制約することになるような修正をするべきではありません。制度の根幹を見失わず、再生可能エネルギーの普及拡大を目的としたよりよい法案として成立させるよう、要請します。
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