ブータンの森に届いた!日本からの声


標高7000メートルの高地から150メートルの亜熱帯の森まで、多様な景観を持つ自然の宝庫ブータンで、今WWFの自然保護プロジェクトが進められています。WWFジャパンも2012年よりこの取り組みの支援を開始。現在までに国内の多くのサポーターの皆さまにご支援と応援の声をいただき、活動を進めてきました。プロジェクトの現状と、日本からの応援に対する、現地の声をお届けいたします。

進展を見せるプロジェクト

雨季真っただ中の、2013年7月。ブータンの首都ティンプーにある、WWFブータン事務所に、ブータン南部にある3つの保護区(ロイヤル・マナス国立公園、フィプソ野生生物保護区、カーリング野生生物保護区)のそれぞれから、3人のマネージャーと1人のレンジャーがやってきました。

マネージャーたちは、各保護区で動植物を守るレンジャーたちの長であり、保護区の責任者でもあります。

彼らはWWFスタッフとともに、WWFジャパンを通じた日本からの支援が本格化した2013年の半年間の活動を振り返り、さらに、7月からの今後の活動内容を検討するためにはるばるやってきたのです。

2012年にスタートした「TraMCA(国境を越えたマナス保全地域)プロジェクト」は、ブータン南部とインドの国境地帯に広がる森と川の自然を守る取り組みです。

世界的にも貴重なこの自然を守るため、WWFでは国境を越えた活動と支援を展開。日本からも、WWFジャパンに寄せられた寄付金が現地に送られ、その取り組みに役立てられてきました。

このプロジェクトを支援するため、WWFジャパンに寄せられた日本国内からの寄付総額は、約1,960万円。ご支援くださったサポーターの皆さまの数は、のべ約2,000名にのぼります。

特に、日本からの支援は「ロイヤル・マナス国立公園」と「フィブソ」そして「カーリング」の二つの野生生物保護区の、3つの地域での活動の充てられており、そのおかげで、現地では活動に欠かせない施設や資材が整いはじめました。

フィプソ野生生物保護区マネージャー、同行してきたカーリング野生生物保護区のレンジャー、WWFブータンスタッフ、カーリング野生生物保護区マネージャー、ロイヤル・マナス国立公園マネージャー

ブータン南部にある3つの保護区
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現地で活かされる日本からの支援

この3つの区域は、絶滅のおそれのある野生生物の貴重な生息域でもあります。

とりわけ、ロイヤル・マナス国立公園とフィブソ野生生物保護区はベンガルトラの、カーリング野生生物保護区はアジアゾウの重要なすみか。

国境を接したインドの側では自然破壊が進んでおり、これらの野生生物も頭数が減少していますが、ブータン側のこの3つの保護区には、今も豊かな自然が残っており、生きものにとっての貴重な生息場所となっています。

しかし、密猟者の侵入は跡を絶たず、各保護区では監視の強化など対策とその実施が求められてきました。

日本からの支援は、こうした現場の要望に応える形で活用されています。

まず行なわれたのは、トラクターやバイクの購入です。ブータンでは、保護区の道路の多くがまだ十分に整備されておらず、密猟などを監視するパトロールも困難をきわめます。

しかし、フィブソ野生生物保護区では道路整備用のトラクター1台、カーリング野生生物保護区ではオフロードバイク3台を購入した結果、パトロールの効率を大幅に上げることができました。

さらに、パトロールの拠点となる「ガードポスト」の新設と修繕も進められています。

ガードポストは、密猟や不法侵入を取り締まるレンジャー(監視員)が常駐するための設備で、保護区の管理には欠かせない施設。

今回、日本のWWFサポーターの支援によって、カーリング野生生物保護区の、古いガードポストを修繕できたほか、ロイヤル・マナス国立公園内のインドとの国境沿いに、新しいガードポストを設置する準備も整えることができました。

マナス地域の森と川

アジアゾウ

トラ

届け!みんなの声「カード・フォー・レンジャー・キャンペーン」

2013年7月に、ティンプーのWWF事務局で行なわれた会議では、こうしたプロジェクト整備の現状を報告し共有する場となりました。

そしてこの折、集まっていた各保護区のマネージャーたちに対し、日本から送られた「応援の声」も手渡されました。

WWFジャパンが2013年3月まで実施していた「カード・フォー・レンジャー・キャンペーン」を通じて、日本国内からWWFジャパンに寄せられた、481通のカードです。

このキャンペーンは、中部アフリカ、カメルーンのロベケ国立公園とヒマラヤ山麓の国ブータンの南部保護地域で、動物や植物を守るために働くレンジャーを応援するため、応援のメッセージの書かれたカードを募り、それぞれの現場に届ける、というものです。

3人のマネージャーたちはブータンの正装「ゴ」に身を包み、多くのレンジャーを代表して、この応援の気持ちの込められたカードを受け取りました。

キャンペーンにご参加いただいた皆さまの応援メッセージは、厳しい環境の中で活動を続けるレンジャーたちにとって、大きな励ましになったようです。マネージャーたち全員からは、その感謝の言葉が贈られました。

応援カードをお送りいただきました皆さま、また活動資金にご寄附をくださった皆さまに、この場をお借りして、厚くお礼を申し上げます。

このブータンでのプロジェクトは、現在も進行しています。引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。

日本のWWF会員の方が折ってくださった、千羽鶴もお渡ししました!

WWFブータンのオフィスにて


WWFの「ブータン・プロジェクト」について

ヒマラヤの東に位置する、森と山の国ブータン。この自然豊かな国で今、環境破壊が進みつつあります。世界の宝であるヒマラヤの自然を、未来に引き継ぐため、WWFは国境を越えた自然保護と、支援の取り組みを行なっています。


ブータンのレンジャーたちからの感謝の声

今回、カードを受け取った3人のマネージャーと、カーリング野生生物保護区からマネージャーに同行してきた1人のレンジャーから、日本の皆さまへのお礼のメッセージを預かりましたので、ご紹介いたします。

クズザンポー(現地語であるゾンカ語で「こんにちは」) サンガイと申します。
私はカーリング野生生物保護区でマネージャーとして働いています。
日本のみなさん、私たちが保護地域で行っているパトロールや動植物を守るための活動に関心を持っていただき、大変嬉しく思っています。 子供たちをはじめ、日本のみなさんからいただいたカードにとても感動しました。
ブータンの自然や動物たちを守るため、カーリング野生生物保護区を守るレンジャー一同これからもがんばって参ります。

こんにちは。テンジン・ワンチュクと申します。
ロイヤル・マナス国立公園で公園管理者として働いています。
私たちレンジャーはカードを送って応援してくれた子供たちをはじめ、日本の皆さんに感謝しています。
私の部下のレンジャーたちはマナスで、特に野生動物や自然保護活動を行なっています。
この度は日本からカードを送ってくれて本当にありがとうございました。
これからもマナスの野生動物や環境保全に尽力していきます。

こんにちは。フィプソ野生生物保護区で働いているジェムと申します。
日本という遠い国でありながらも我々の国ブータンの生物多様性のことを真剣に考えてくれてありがとうございます。
また、ブータンの生物多様性に関して学ぼうとする意欲と、フィプソ野生生物保護区の安全対策においてとてもよく理解してくださっていることを嬉しく感じます。

こんにちは、ブータンのカーリン野生生物保護区でレンジャーをしているカルマと申します。
野生動物や自然保護に対する素晴らしいメッセージを私たちに送ってくれた日本の子供達にお返事を返すことができ、とても光栄に思います。このブータンで働いているレンジャー達にカードを送ってくださり、本当にありがとうございます。
そして皆さんがいつかブータンを訪れ、この国の自然や素晴らしい環境や保護区、私たちレンジャーを実際に知ってほしいと思います。皆さんの健康とご多幸をお祈りしています。これからもよろしくお願いします。

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