WWFの「中部アフリカ・プロジェクト」について


カメルーンを含むアフリカ中部に広がる熱帯ジャングルは、容易に人の侵入を許さない深い森だったおかげで、ゴリラ、チンパンジー、マルミミゾウ、ヒョウなどの大型哺乳類も生き残ることができました。しかし、そのアフリカ中部に今、高性能の武器と探査機を揃えた国際的な犯罪組織が侵入し、象牙を狙った襲撃が続いています。激しさを増す密猟と闘いつづけるために。人と野生動物の双方にとって 豊かなアフリカを守るために、WWFが取り組む密猟の防止と、豊かな熱帯の森を守る活動をご支援ください。

野生動物に残された「砦」

アフリカの自然環境と野生生物は、西欧諸国による植民地支配やその後の内戦、そして第二次大戦後のハンティングブームで大きく損なわれてきました。

しかし、カメルーンを含むアフリカ中部に広がる熱帯ジャングルは、容易に人の侵入を許さない深い森だったおかげで、ゴリラ、チンパンジー、マルミミゾウ、ヒョウなどの大型哺乳類も生き残ることができました。

森に迫る危機

しかし、そのアフリカ中部に今、高性能の武器と探査機を揃えた国際的な犯罪組織が侵入、象牙を狙った襲撃が続いています。

さらに中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、スーダンでは、今も紛争が収束しきっていません。

銃を持った民兵が国境を越えてカメルーンの森にも入り込み、食料として野生生物を狩ったり、資金稼ぎにゾウの密猟に手を染めることもあります。

「アフリカの夢」を実現するために

アフリカには、生まれた国の自然に誇りをもち、自らの手で豊かな緑を守りたいと願う人々がいます。その人たちの「夢」をいつか実現すること。それがWWFのプロジェクトが目指す未来です。

密猟と戦い森を守る

WWFカメルーンのエルベール・エコデックは、密猟対策と法律のエキスパート。カメルーンの南東にあるロベケ国立公園管理事務所の所長を補佐し、レンジャー(保護官)たちを組織する立場にあります。また、組織的な密猟者が、買収や隠蔽工作などで罪を免れてしまう現状を、あらゆる法律や条令を駆使して変えていくことも、彼の重要な任務です。「大きな密猟団の摘発に成功すると、森が本当に静かになりますよ。ゴリラの家族が、草地でのんびり過ごしている姿を見ると、ロベケの豊かさを感じて心が熱くなります」。

ヒョウの美しさに惹かれて

密猟対策と、野生生物のモニタリング調査の両方を手がけていたエコデックに、頼もしい助っ人が現れました。日本からの支援*によって雇用されたマリウス・ソンバンボです。密猟をはじめ、森の野生生物に起きた異変を察知するには、普段からのモニタリングが不可欠。マリウスはその調査と、野生のゴリラを観察できるエコツアーの開発にも取り組みます。「ヒョウの神秘的な美しさに惹かれる」と笑うマリウスは植物の専門家ですが、目下、ゴリラの行動パターンを熱心に学んでいます。

  • ※2012年12月~2014年3月「ゾウの叫び、サイの涙」にお寄せいただいたご寄付の一部

頼りになる森の案内人

ロベケ地域の先住民であるバカ・ピグミー族は、狩猟採集によって暮らしてきました。その中でも特に優秀な狩人の一人、プチ・ジョンはWWFのスタッフとなり、プロジェクトを支える重要な役目を果たしています。森の中で動物をいち早く見つけるだけでなく、彼の案内なくしては、カメルーン人でもあっというまに森で迷ってしまいます。森と野生動物に関するプチ・ジョンの深い知識と経験は、WWFのスタッフや、国立公園のレンジャーたちにも受け継がれていきます。

日本からの応援が力になっています!

2013年5月、WWFジャパンは日本で募集したレンジャーへの応援メッセージをロベケ国立公園に届けました。その中には、彼らの無事を祈る千羽鶴もありました。すると誰からともなく、「一人一人、お守りとしてこの鶴を持っていたい」という声が。彼らの願いを受けて鶴を分けると、彼らはその一つを、2011年に密猟者との戦いで命を落とした仲間の遺影にも供えていました。日本から寄せられた励ましの声を胸に、彼らは今日も森のパトロールに出かけています。


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