【映像あり】極東ロシアの美しく厳しい冬


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
昨年のクリスマス、極東ロシアから美しい冬の映像が届きました。

BGMがクリスマス・ソングで少し時期はずれな感じがしますが、たくさんの動物たちも登場するきれいな映像をお楽しみ頂けると思います。

以前にも、森が赤や黄に色づいた秋の森の映像をご紹介しましたが、ご覧いただくと分かるとおり、冬にはこうした落葉樹が一斉に葉を落とします。

そして白い雪の絨毯の上に、葉を落とした木々の中に、緑の葉を残す針葉樹がまばらに見られます。

上空から見ると美しい映像ですが、森の中にすむ動物たちにとっては試練の冬。特に大雪の年は大変です。

2014年11~12月には極東ロシアで大雪が降り、草食動物が食物を採れず、多数死んでいるのが見つかりました

今年は幸い違うようですが、こうした草食動物の大量死は、それを食物とするトラやヒョウの生存も脅かすことになります。

森の中にはアムールヒョウの姿も

今冬、特に気がかりなのは、「ウポニー」と名付けられた、2015年5月に自然の森に還されたトラ。

ウポニーは、2014年11月に民家で犬を襲い保護され、半年にわたるリハビリを受けた後、野生復帰を果たしました

そしてウポニーにとって、今冬は野生復帰後はじめての冬です。

この冬を乗り越えられるかどうかが、野生復帰のリハビリが成功していたかどうかの重要な試金石となります。

ウポニーをはじめ、極東ロシアの野生動物たちが厳しい冬を乗り越えられるよう祈りつつ、暖かくなる季節には、また良いニュースをお届けできればと思います。

シベリアトラのアップ!

雪で遊んでいるように見えます

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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