【映像あり】アムールヒョウの森の美しい秋と森林火災
2015/11/26
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。
自然保護室の川江です。
先日、WWFジャパンが支援している、極東ロシアの「ヒョウの森国立公園」に行ってきました。
10月に現地から「ヒョウの森国立公園」の美しい秋の映像が届いたので、もしかしたらきれいな紅葉が見れるかもと期待していたら、渡航直前に現地スタッフから「気温が-14度になることもあるから、十分に防寒してくるように」というメールが届きました。
現地に行ってみると、雪こそ降っていなかったものの、広葉樹の葉は全て落ち、とても寒々しい光景が広がっていました。
雪が降るまでの乾燥したこの季節は、「ヒョウの森国立公園」にとって最大の脅威である森林火災が頻発する時期です。
森林火災は、タバコのポイ捨てや地域住民の野焼きなどが原因で起こります。道路周辺や農地で発生した野火は、枯れ草や枯葉をつたって、地をはうように一気に燃え広がります。
今回の訪問でも、「ヒョウの森国立公園」の周辺の道路では、火災で燃えた跡があちらこちらに見られ、日本では信じられないような頻度で森林火災が発生していることを物語っていました。
このように森林火災が頻発すると、火に弱いマツなどの木が森から消え、多様性に乏しい森になってしまいます。
松の実はカロリーが高く、冬に備える草食動物にとって重要な食物であるため、こうした松の実が森から消えてしまうと、それに比例して草食動物の数も減ってしまいます。そして、草食動物の個体数減少は、ヒョウやトラの個体数減少にもつながります。
「ヒョウの森国立公園」の美しい自然とそこに生息する多様な生物を保全するため、WWFでは火災の早期警戒や防火帯の設置、地域住民への啓発活動など、森林火災を防止する活動を行なってきました。
その結果、「ヒョウの森国立公園」内の火災面積は、2005年の72,000ヘクタールから2013年には1,600ヘクタールへと大幅に減少しました。
今、WWFロシアでは、このように成功した活動を国立公園当局に移管し、継続的に運用できるようにする手続きを進めています。
進展についてはまた改めてご報告させて頂ければと思います。
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